シュレーディンガーの少女


 65歳になったらプログラムされた病原体が全世界にいきわたり、人口の調節が可能になった世界。
64歳の占い師・紫は一人の少女を拾う。
盗みをして生活していた少女に名前を与え、自分の仕事を教え込んだ紫。
太っている人を全国から5名選び、ダイエット選手権という生死をかけた戦いに強制的に参加させる政府の催し。
サンマがもう食べられなくなった未来、サンマの味を再現しようとする小学生など、ディストピアと少女を合わせた短編集。

 ディストピアというだけあってどの話にもうすら寒い雰囲気があるが、サンマの話は面白かったし、65歳で死ぬ話もそれならそれでいいかとも思ってしまい、気味が悪いだけではなかった。
もっと広がっていきそうなところで終わるものもあって、物足りない部分を想像して存分に楽しめる。