烏の緑羽 八咫烏シリーズ


 生まれながらに「山内」を守ることを定められ、あらゆることに恵まれ、大事にされて育ってきた長束だが、側室の子供として生まれた弟が「真の金烏」となり、自分は臣下となった。その長束は、自分の側仕えをしている路近を怖いと感じていた。
路近への恐怖は不信感となり、周囲の者に相談する。
そして今は勁草院の教師として働く路近の師を紹介された長束は、路近の人となりを知るために、彼らに師事を乞う。

 飄々として何を考えているのかつかみにくい路近を持て余し、自分の部下としてどう扱っていいか悩む長束。
今作は路近と、彼の近くで生きてきた者たちの生い立ちが語られる。
どれもなかなかに厳しかった。
そのうえ敵対したり考えが違っていたりと、様々な方面からの意見が出てきて混迷を深めていっており、どこを見ればいいのかわからなくなってくる。
でも最後でやっと本筋の出来事に追いついてきたので、次は新展開があるかもしれないとドキドキする。