マラリア


2011年06月19日 読了
 永平寺の雲水・唯慧は、かつて『奇跡のアンジェラ』と呼ばれた殺し屋だった。

 青い目を持つその雲水は、ヨーロッパ各地で起きた連続射殺事件の容疑者とされていたが、はたして真相はそれだけか。なぜ日本にきたのか、なぜ『奇跡』なのか。

 部分的にはおもしろく、真相の解明を急かす気持ちで読むことができるが、ほとんどはわかりにくく、不十分。
 作者にとってはつじつまが合っていても、こちらには伝わってこないことがあって消化不良が残る。

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フロストハート


2011年06月17日 読了
 臓器移植しか助かる道のない弟、絶え間なく妊娠している姉、臓器移植の順番待ちのためにオーストラリアにいる両親。
 ばらばらな家族が絆を謳う。

 ほとんどまともな構成になってない。
序盤は興味をひかせようとしてか所々意味深な光景をチラリと出しているが、それが全く功をなさず、引き込まれるどころか不愉快。

 フロストハートという病気自体はとても面白そうなネタなのに、それが少しも面白く感じないというのはもったいない。
 
 主人公も高校生と言う割にはおかしなところばかり。
もっとちゃんとした設定をしたほうがいい。

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エチュード


2011年06月14日 読了
 渋谷と新宿の駅前の交番近くで起こった通り魔事件は、コピーと言っていいほどよく似ていた。警視庁捜査一課・碓氷弘一は、その一致性に着目した心理捜査官・藤森紗英を相棒として捜査を始める。

 警察官の目の前で起こって現行犯逮捕されたはずの事件に、犯人の印象や、事件の記憶のすり替えでうまく煙に巻く犯人。警察庁から派遣された若い心理捜査官の活躍を、相棒となった主人公の目から語る。

 主人公のつぶやきが特徴のこの人の作品のなかでは、少し甘い作りだったように思う。
 心理捜査官があまりにも幼く、人物としての魅力がほとんど感じられなかった。

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トーキョー・プリズン


2011年06月13日 読了
 行方不明の友人を探してトーキョーにやってきたフェアフィールドは、日本人戦犯が収容されているスガモプリズンに入る。
そして、そこで調査をする交換条件として、兵隊の事故死の真相を探るよう依頼された。

 「ジョーカー・ゲーム」の重さと、「はじまりの島」の謎解きが美味く混ざり、じっくりと考えることが出来る作品。
 文体、題材共にとても好きな部類に入る。

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くるすの残光 天草忍法伝


2011年06月08日 読了
 幕府が切支丹狩りを行い、影では忍びの者達が暗躍する。
世を変えようとする人たちは、それぞれの信じる道のために命をかける。

 視点がコロコロと移り変わるため、どこが本流かわからないまま進む。軸がないために気が散り、どのキャラも一味足りない感じがある。
 「僕僕先生」のような余韻が全くなかった。

 他の作品はとても印象的なので残念。

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贋作『坊っちゃん』殺人事件


2011年06月04日 読了
 贋作『坊っちゃん』
名の通り『坊っちゃん』のパロディ。

 坊っちゃんが東京に戻って3年後、山嵐と出会い、赤シャツの死を教えられる。
 その死を調べるために、再び松山を訪れた二人。

 あの有名な『坊っちゃん』をパロディにしてしまうとは。
それでもすったもんだの出来事はちゃんとつじつまもあっており、
するすると進むが、最後がなんだか煙に巻かれたようですっきりしない。

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バチカン奇跡調査官


2011年06月01日 読了
 世界最小の独立国・バチカン。
そこには、日々世界中から持ち込まれる「奇跡」の申告を調査し、認めるかどうかを判断する機関があった。

 ある日「処女妊娠」の申告を受け、調査に向かった平賀とロベルト。そこで見た総て。。。

 少々ラノベの空気が漂うが、いろんな要素が加わってだんだん面白くなってくる。
 二人がスカッと名探偵を演じる部分はなかったが、静かに頼もしい上司が万事治めてくれるという感じ。
 その分ちょっと物足りなかったけれど、満足感はそれなりにあった。

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プラ・バロック


2011年05月29日 読了
 第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

 レンタルの冷凍倉庫から、棚に整然と並んだ14体の集団自殺体が見つかった。
機動捜査隊の刑事であるクロハは、その捜査に加わるが。。。

 人物の名前がカタカナで表記されているため、イメージとして区別しづらかったが、事件の内容に次第に興味が沸く。
 最初から最後まで雨の景色が浮かび、今の季節にピッタリだった。

 続きもあるらしい。

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鳩とクラウジウスの原理


2011年05月28日 読了
 第1回野性時代フロンティア文学賞受賞作。

 公園で鳩に餌をやっていたらスカウトされた。
その名も「鳩航空事業団」。

 つまり色々な物を伝書鳩で運ぶという仕事で、登場人物も個性的だが、どうも万城目学に似ていて新鮮味がない。

 最後も落ち着くところに落ち着いて満足感は薄かった。

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天狗の剣―幕末京都守護職始末


2011年05月25日 読了
 10年前、父は生き方を変えた。
息子である自分を、近づけず、鍛えず、目を合わせることもほとんどない。
ただ名家の息子・真之介のみに剣を仕込む。

 父への反発と友である真之介への焦燥、体の中に渦巻く気持ちを抑えきれない孝太郎はただ強くなりたいと願う。

 前作に続き幕末、作者は日本史にも目を向けることにしたのか。
幕末や革命期といった時代は、人間関係が複雑だから似ているのかな。
同じように強い流れで引き込むが、日本史はちょっと苦手。

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天狗の剣 幕末京都守護職始末 [ 藤本ひとみ ]
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