千里伝 時輪の轍


2010年11月28日 読了
 千里は修行に出た。そして、そこの師である麻姑の元で弓を引く鍛錬をするうちに、気配もなく迷い込んできた少女をかくまうことになる。

 その少女は時空の片割れ、空。
空翼と名乗る少女は片割れの時である時車の起こすイタズラによって歪められた地を見ていた。

 千里がまた仲間と共に時空の歪みを正す旅に出る物語。
相変わらず挿絵の違和感がどうにも不愉快だが、前作よりわかりやすくなっている。

 この世界のどこかで、僕僕と王弁も旅をしていそうな気がした。

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マドンナ・ヴェルデ


2010年11月26日 読了
 「ジーン・ワルツ」の側面。
あちらで主人公だった産婦人科医・理恵の母親を主人公とした話。
同じように重く、暗い読後感が残る。
 その雰囲気を唯一削るのが、若い妊婦のユミ。

 代理母の問題はこれからもっと大きくなるだろう。

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切れない糸


2010年11月23日 読了
アライクリーニング店の息子・和也。彼の元にはなぜか、困った動物が集まる。犬や猫、ハトやスズメはもう当たり前、時にはイグアナやフェレットまで。。。

急に父が亡くなり、店を手伝うようになった彼の手に集まってくる衣類たちも、まるで意思があるように困った人たちの物ばかり。

『町の生物委員』というあだ名までついた和也だったけれど、さすがに人間の問題は大きすぎた。それを助けるのが親友の沢田。

ひきこもり探偵のシリーズと似た、ほっこりと泣ける話。いいセリフもシーンもたくさんあるから、ゆっくり読みたいのに止まらない。

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七つの海を照らす星


2010年11月21日 読了
 第18回鮎川哲也賞受賞作。
児童養護施設「七海学園」で働く主人公・北沢春菜が、日常に起こる不思議を解き明かすミステリ。

 実際は春菜ではなくて児童相談所の海王が解いていくのだが、謎はもちろん学園の児童がらみ。子供たちの心が暖かい。
 言葉では伝えられなくても、大人と同じように感じている彼らは、どんな行動をおこすのか。

 途中腑に落ちない話もあったけど、最後は妖精のような友人が惹き立って終わる。
 好き嫌いが分かれるかもしれない。

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叫びと祈り


2010年11月20日 読了
 雑誌記者の斉木。外語大を卒業し、7ヶ国語を操る斉木は、様々な国へと取材へ出かける。

 道を知る者とラクダがいなければすぐさま死につながる砂漠。聖人の存在を信じ続ける修道女。自分たち以外は無いに等しいとまで言い切る部族。

 物語の一つ一つに、必ず含まれる『ただ言ってないこと』。
消して秘密じゃないし、ただこちらが勝手に思い込んでいただけなのだが、その事実を明言していないことで起こる勘違いが、結末を惹きたてる。

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キケン


2010年11月14日 読了
 成南電気工科大学機械制御研究部。略称「機研」。
無理や無茶といった言葉を知らない若い男子大生たちの、「本気で遊ぶ」大学生活。

 自分も工学部だったせいか、どこか親近感が沸く。本当に男ばかりの環境では、きっともっと想像もつかないようなことが起こっているんじゃないかといつも思っていた。

 見ているだけでも楽しくて、仲間に入りたくてしょうがないけれど、女が一人入るだけでいつもの楽しさは半減するんだろうなぁ。

 大学時代の馬鹿騒ぎ加減は「鴨川ホルモー」よりも上品だが、パワーは負けてない。

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空へ向かう花


2010年11月11日 読了
 知らない女の子を殺してしまった。事故だったけど。たまたま僕がそこにいただけ。でも、僕が死んだらあの子にあやまれるかな。

 ビルの屋上で飛び降りようとした少年を、とっさに止めた少女がいた。
 二人の出会いは、これは運命??

 「子供は守らなければならない」作者は必ずそれを作品に示す。
詳しくは語られない事件を根として、穏やかに穏やかに進む物語。

 どうしようもないけれど、絶対に失望はしない物語。

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あぽやん


2010年11月07日 読了
 旅行会社の企画課にいた遠藤は、閑職といわれる成田空港支所に飛ばされてきた。出世コースから外れたと思ってむくれる遠藤。

 空港の仕事、本社との連携、カウンターの女の子たち。トラブルごとにわかってくること。

 大きな事件はないから、突飛だったり奇抜だったりする解決法も出てこないけど、日々の仕事ってこんなんだよなーって思ってうんざりできるくらいに面白い。

 そして「あぽやん」・・・。

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残される者たちへ


2010年11月03日 読了
 ある日届いた同窓会の通知。
なぜか行く気になって向かった主人公・準一は、かつて親友だった押田のことをまったく覚えていなかった。

 記憶からなくなっている親友、母親の記憶を<思い出す>少女、その少女を治療する女性。

 すべてに共通するのは、寂れて人がいなくなりつつある団地。

 人間とは違う<彼ら>の気配がする、記憶がある、思いに気づく。
 気味の悪さが徐々に優しさへと変わっていくが、映画にありそうな設定。

 懐かしい思い出はどこかが変化しているかもしれないという曖昧な不安をストーリーにしたらこんな感じ?

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まほろ駅前番外地


2010年10月31日 読了
 便利屋の二人。年をとるとなにかしら闇や傷を持ち、時々それらを思い出しながらも目の前のことを頑張っている。

 淡々と生きているように見える二人がしている、便利屋という仕事。前作を読んだのはいつなのか覚えていないのに、二人のことは割といつも気になっていた。 そんな続編には、やはり退屈な仕事の裏にいろんなものが見える。

 雨の日に読むにはぴったり。

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まほろ駅前番外地 [ 三浦 しをん ]
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