テーラー伊三郎


2018年02月05日 読了
 福島の保守的な田舎町で暮らす、高校生の海色(アクアマリン)。
ポルノ漫画家の母を持つという特殊な家庭環境が、紳士服仕立て屋「テーラー伊三郎」に飾られた美しいコルセットに興味を持たせ、田舎町の窮屈を吹き飛ばす。

 「法医昆虫学者」シリーズの赤堀くらいのハチャメチャぶりが、海色の母だけではなく、町のお年寄りにも広がっていて、ずっと大騒ぎな気持ちで読み進められる。窮屈で息苦しい出だしが、次第に大きく爆発するよう。
 あっという間に読めて満足感も大きいけど、出来上がったコルセットやおばあさんたちが着た着こなしを実際に見てみたい。想像だけではきっと追いつかない。

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マイ・ディア・ポリスマン


2018年01月31日 読了
 元捜査一課の刑事だった宇田巡が、幼い頃住んでいた街の交番勤務になって戻ってきた。
幼馴染の副住職と一緒に街を見守っているつもりでいたら、漫画家志望の女子高生から遠回しなSOSがやってくる。

 穏やかに過ぎる毎日のなかで、事件というほどでもないけど困っている人がいて、それを知った天才的な掏摸の技を持つ女子高生がこっそり助けを求めるという、静かなオオゴト。作者の本では一番よくある話。
そして主人公やその周りの人間も、何か重いものを抱えていそうという思わせぶりところも同じ。流れですいすい読めるけど、何も残らない。
 で、金貸しの天野さくらはなにしたのさ。恩を返すって大きなこと言って何もしてないじゃないの。

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7日間の身代金


2018年01月28日 読了
 弟と先妻の息子が誘拐されたと友人から打ち明けられた千秋。
一緒にプロのミュージシャンを目指す恋人の要之助と一緒に、にわか探偵となって犯人を捜す。

 まだ携帯が珍しかった時代。身代金受け渡しに出かける友人の車を尾行する二人が取れる連絡手段が公衆電話というもどかしさ。
関係者がほとんど殺され、すっかりすべてが終わった頃になって、犯人が予想されてくる。ある意味想像通りだけど、展開はとても楽しく、トリックや周到で大がかりな工作は犯人の狂気と覚悟の大きさをよく表していた。

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キネマの天使 レンズの奥の殺人者


2018年01月24日 読了
 スクリプターという、映画政策においてフィルムを繋ぐときに矛盾が出ないようにすべてを記録する仕事。
そんな仕事をする亜矢子の毎日は忙しい。
ところが、撮影が佳境に入ったという時に、主役のスタントをしていた男性が殺されてしまう。

 久々の赤川次郎。
相変わらずのスピード感で気持ちよく読める。
そしてちょっと間抜けな掛け合いも。
印象に残るほどではないけど、ハズレがない安心感がある。

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バック・ステージ


2018年01月15日 読了
 新入社員の松尾はある晩会社で、先輩の康子がパワハラ上司の不正の証拠を探している場面に出くわし、なぜか手伝わされる。
よくわからないままつき合わされ、犯罪すれすれのことまでして証拠をつかむが。

 賑やかに大騒ぎの短編がいくつか。
それは一つの出来事をそれぞれの人たちが自分の視点で見た事件。
最後はちゃんと繋がるが、一つ一つがぶつ切りで終わっているためにすべて読み終えるまでは消化不良でもやもやしたまま。
濃い人たちが自由に動き回るために未完成感が大きく、終わってもすっきりした気分になれない。

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夢の花、咲く


2018年01月11日 読了
 朝顔を育てるのが何よりも好きという同心、興三郎。
仕事は奉行所の姓名掛だが、なぜか人殺しの捜査に加わることになってしまう。
荒事はからっきしながら、毎日眺める人別帳の記憶が不可思議な行動をする者と結びつき。。。

 また黄色い朝顔の話か、とうんざりしたが、それがメインではなく、陰謀渦巻く朝顔の品評会の話だった。
だが盛り上がりに欠け、うっすらとした余韻が残るくらいでさして印象深い出来事もなく、そっと終わる。
読後感も薄すぎて読んだ感想が出てこない。

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カッコウの卵は誰のもの


2017年12月26日 読了
 スキーの元日本代表・緋田の娘は、今急成長中のスキー選手で、将来を期待されていた。
ある時緋田は、妻が昔流産していたことを知る。そして会社から、緋田親娘の遺伝子パターンを調べたいとの依頼が来た。

 自分の娘だと思っていた子は、実は他人かもしれないと恐れる緋田の心がたっぷりと描かれ、その動揺がどくどくと流れるように伝わってくる。
 ただ衝撃の事実が出てくるだけじゃないのでひやひやしながら楽しめた。

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福袋


2017年12月20日 読了
 江戸で起こる日常の出来事を短編で。
その日暮らしの仲良し男二人が、死のうとしていた男からもらった櫛を売り始める話。羽織の裏地に絵を描くことを専門としている女絵師の話。手習塾を休んででも三助をしたいという湯屋の娘。

 一つ一つは面白い設定だけど、いまいち話に力がなく、短編にするために端折った部分が読み取り切れずにいる感じですっきりしない話が多い。
この人はじっくり長編の方が面白い。

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千夜と一夜の物語


2017年12月16日 読了
 声が魅力的だけど他は地味な千夜は、仕事の帰りに「魔王」と名乗る男に攫われる。
「面白い話をするうちは生かしておいてやる」という魔王に、思いつくまま語るうち、それが現実の世界にも影響をし始める。

 表紙のうすら寒い印象そのままの話。
現代の「耳なし芳一」的な話で、解決はするけど救いはない。
「僕僕シリーズ」と同じ作者とは思えないくらい作風が違った。
イヤミスが好きな人向け。

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千夜と一夜の物語 [ 仁木 英之 ]
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酒が仇と思えども


2017年12月14日 読了
 酒で悩んでいる人に手を貸したい。
酒屋の若旦那は、様々な悩みを聞く。

 単に酒癖が悪いとか身を持ち崩したとかいう話ではなく、親友と最高の酒を飲むつもりが相手に死なれてしまうといった、切ない話が6つ。
人を救い、そして最後には自分も救われ、ほっこりとさせられた。
酒は一緒に飲む相手によって味が変わる。
名前が出てきた酒を少し、飲んでみたくなる。

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酒が仇と思えども [ 中島要 ]
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