あした天気にしておくれ


2017年12月13日 読了
 北海道で破格のサラブレッド「セシア」が搬送時の事故で足を痛めてしまう。
その馬は3億2千万円もする馬だったために、事故を言い出せず、関係者は周りを騙すことにした。

 自分たちが計画したことがどんどん勝手に進んでいき、最後にはまんまと身代金を盗られてしまう。
見事なかすめ取られっぷりでいっそ清々しい。
馬の事も競馬の事も知らずとも、充分に楽しめる。
ただ、デビュー作も競馬馬のことだったため、同じテイストで新鮮味は薄い。

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ブルーローズは眠らない


2017年12月08日 読了
 両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックが逃げ込んだ先のテニエル博士の家で、エリックはひと時の幸せを感じていた。
その頃、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣に、P署の刑事ドミニクから「調べてほしいことがある」と連絡が入る。

 過去の事件と現在の出来事がどこで繋がるのか、興味をそらさず話が進む。
長い年月をかけた確実な復讐のために。
人物象がつかめていなかったために混乱したりもしたが、それは作者がわざと混乱させたのだろう。青いバラにまつわる話は大抵恐ろしい。

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裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII


2017年12月05日 読了
 「誰にでもできる簡単なお仕事です」という文句と共に、数百人も集められたガキども。集まった者には白いカードが配られ、コンビニで金を下ろすことを命じられる。

 いかにも怪しい詐欺の出し子のバイト。ずぶぬれで現れた女子中学生からの依頼。別れた妻の新しい男が子供に暴力をふるっているかもしれない、といった問題が今日もやってくる。
マコトやタカシの様子はいつも通りだけど、タカシの、時に非道なほど容赦ない決着の付け方はもう最近見なくなったのが残念。

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欺きの童霊 溝猫長屋 祠之怪


2017年12月02日 読了
 溝猫(どぶねこ)長屋で亡くなったお多恵が祀られた祠にお参りしている年長の少年4人が、今回出会った怪異は。

 毎回仲間外れになっている銀太が、祠に向かって「毎回同じで芸がない」と悪口を言ったせいで順番が狂い、「見る」「聞く」「嗅ぐ」が2巡目に入る。
今度も色んなお化けが出るが、今までと違って見た目が恐ろしいものはなく、どちらかというとにこにこしている幽霊ばかり。そのためお紺ちゃんの傍若無人ぶりが極まってくる。
4人の長屋を出る日も近づいてきて、なんだかさみしい気持ちになる。

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黄泉坂案内人 三条目


2017年11月30日 読了
 この世とあの世の狭間にある黄泉坂で、迷える魂を遺恨なく送るために働いている彩葉と速人。
死んでしまってからも人に喜んでもらおうと坂の下で居酒屋をひらいた死人のおかげで、死人は増えているのに迷う者は減ってきていた。

 生きていた頃の強い迷いをぬぐい、あの世へと導く二人の話というより、後悔を抱える死人がメイン。
ちょっと面白そうな人もいたけど、中途半端なまま終わったようなものもあり、消化不良な後味が残る。

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弥栄の烏 八咫烏シリーズ6


2017年11月28日 読了
 前作『玉依姫』と同じ頃、八咫烏の郷では何が起こっていたのか。
荒れた山神に振り回される若宮は、金烏としての記憶がない事に悩み、郷の未来に悩む。そしてついに、猿の襲撃が始まる。

 話が進むにつれ、だんだん細かいところも思い出してくる。
100年まえ、猿と烏の間になにがあったのか。
参謀にまで上り詰めた雪哉の変わりようが怖かったが、若宮と浜木綿の関係にほっとさせられた。
ファンタジーだと思っていたら歴史的な側面も見えてきて、どんどん混乱させられて引き込まれていく。結末がもう少し物足りないと思ったのは、まだこの物語を「読み足りない」と思ったからか。

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風神雷神 雷の章


2017年11月22日 読了
 本阿弥光悦からの誘いを断り、俵屋の主人となった伊年。
名を宗達と変え、妻を娶り、店はますます繁盛する。
そんな折、ふらりと現れた公卿の烏丸光広によって、宗達はさらに美の奥地へと引き込まれていく。

 宗達の絵の力が益々冴える。手がける絵に衰えはなく、亡くなってからも嫉妬さえもかすれてしまうほどの力を見せる。時々入る時代考察も、教科書にもこんな風に書いてあったらさぞ興味をそそるだろうという書き方で、話の流れを少しも損なわない。俵屋宗達に興味を向かせるには充分な本だった。益々知りたくなった。

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風神雷神 雷の章 [ 柳 広司 ]
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ブラック・ヴィーナス 投資の女神


2017年11月17日 読了
 2016年第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作。
お金に困っている人を助けたいとメガバンクに就職した良太。しかし実状に失望して退職。そんな時、兄の会社がつぶれそうだということを知り、その過程で『黒女神』と呼ばれる株のエキスパートと出会う。

 難しい株や金融の話かと思っていたらそんなことはない。
困っている人の大切なものを投げ出せるかを試し、約束を守った人は必ず助けられている。
 『黒女神』の茜がとても印象的なキャラクターだけど、決して苦労知らずの小娘ではないし、良太にも茜にも心を寄せることができる。

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ブラック・ヴィーナス 投資の女神 [ 城山真一 ]
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バチカン奇跡調査官 二十七頭の象


2017年11月13日 読了
 バチカン美術館にマリア様が現れて予言をするという噂を調べるために美術館に泊まり込む平賀とロベルト。
その頃、街では十字路に描かれた魔法陣から悪魔を召喚するという事件がいくつも起こっていた。

 番外編といった感じだが、平賀とロベルトの調査の様子がちょくちょく入る割には重要でもなく、27頭の象事件は解決はするがいまいち納得もいかず、ばらばらになったままフェードアウトといった終わり方ですっきりしない。
 結局どうしたかったのかわからない。

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バチカン奇跡調査官 二十七頭の象 (角川ホラー文庫) [ 藤木 稟 ]
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疑薬


2017年11月11日 読了
大阪にある居酒屋「二歩」。生稲怜花はそこで、10年まえの病の後遺症で盲目となった母と、二人を支えてくれた育ての父と暮らしていた。
ある日、母の失明は薬害のせいだと言う記者がやって来る。

まだ認可されていない薬を巡り、命を優先して与えた薬に対して後遺症が出た時、様々な立場の人がどう考え、どう動くか。
前半は良くある話で退屈。やっと気が乗ってきたのは最後の100ページほど。
10年まえ何があったのかが少しづつわかってきてから。
最後はこんな解決法もあるのかと思わせた。清濁まるごと飲み込んでしまう大物が頼もしく思えてくる。ただでは起きないのならそれでいいかと思える始末が以外にも心地よい。

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疑薬 [ 鏑木 蓮 ]
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