増山超能力師大戦争


2017年07月20日 読了
 超能力が国により認められ、資格もある世界で、超能力を研究する者たちが狙われた。
ところがその技術者たちは、ひどい拷問を受けることになっても、ある部分の記憶が抜け落ちていた。消された記憶は何なのか、それを狙うのは何物か。

 キャラの個性は強いけど、軽い。
おかげで深刻さもなくコメディとしてサクサク読める。
大きな事件のはずがさらりとあっという間に終わるために、”大戦争”というには物足りなさすぎて肩透かしを食う。
シリーズらしいがこの調子では興味はわかない。

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おっかなの晩 (船宿若狭屋あやかし話)


2017年07月19日 読了
 浅草川の岸辺にある船宿、若狭屋で女将をしているお涼。
一風変わった性格のお涼は、ちょっと変わったことにも出会う。

 狐憑きと噂される女郎、息子を探す山姥、祈り続ける男など、印象深い話がいくつかあるが、どれもほんの短い話。
時々怖い話のようでひやりとしても、粋な大人たちににやりとさせられる。
何があっても笑い飛ばせる強いお涼が頼もしい。

横道世之介


2017年07月13日 読了
 第7回本屋大賞第3位に選ばれた、柴田錬三郎賞受賞作。
押しに弱く、つい自分の意見が言えずに言われるがままされるがままの世之介が、大学進学のために東京に出てきてからの成り行き人生を描く。

 どこかのんびり抜けている世之介の、流されっぱなしの毎日が行きつく先。
驚くような出来事もたまにあるのに、世之介はそれすら成り行きまかせ。
それならそれでいいのだが、所々入ってくる時代を超えた登場人物たちの回想や、主語がないからどんなふうにでも想像できる横やりが、もうどうでもいいやという感じの意味のなさ。
さして顔も覚えてないようなご近所さんの話を延々聞かされているようで、
面白くもなんともない、人の話。

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恋する狐


2017年07月10日 読了
 俳人の与謝蕪村が出会う、不思議な話。
人から聞いた話、蕪村自身が出会った人外など、いくつかの短編が表紙の狐たちのように舞い踊っているような本。

 短い話ばかりだけど、どれも優しい終わり方で、一つの物語に1,2行づつ、心がほわっとする分があり、思いのほか癒される。

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クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係


2017年07月08日 読了
 金持ちのボンボンがほとんどの学同院大学生が殺され、容疑者はクジャク愛好会のリーダー。事件の鍵を握るのはもちろんクジャク。

 またあの素っ頓狂な掛け合いがしょっちゅう出てくる。
話の腰を折られまくりで繋がりがわからなくなるほどの話の飛びようも、むしろそこから生まれる新しい世界への想像が膨らみ、こちらもつられて広げたくなる。
事件そのものはさらりと解決し、暗い余韻は一切ないのでより動物への興味が湧いてくる。

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残り者


2017年07月07日 読了
 江戸城の明け渡しが行われる前日、大奥では官軍の襲来を恐れて我先にと逃げ出す者で騒然としていた。
そんな中、どうしても気持ちの決着がつけられずに残った女が4人。
出自も身分も違う4人が、誰もいない江戸城に残った訳とは。

 たった二日間の出来事を描いているのに、とても充実した時間が長く続いたような気になる。
それぞれの身の上話もありながら、4人が言いつけに背いて残った理由も明かされていき、ここでの経験がその後の生き方を決めるほどに強く残る物を得た4人。清々しい気持ちで終われる。

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残り者 [ 朝井まかて ]
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フォークロアの鍵


2017年07月06日 読了
 大学院生の羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」の研究の一環として、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。
そこには、個性豊かで様々な症状の認知症の入所者6人と、仕事はできるがどこか諦めて表情を消すスタッフがいた。

 表紙からもタイトルからも中身が想像できず、とりあえずホームの現状にあまり興味を持てずにいたが、全く意思疎通のできないと思われていた一人の入所者のつぶやきがひっかかって、ふとしたことで出会った闇を抱える少年とともに大きな事件を暴き出す。

 どんどん引き込まれ、最後は手を止める事が出来ないほど。
ホームの話がこんなところに飛ぶのかと驚いたが、結局口伝の話ではなくなった。法医学の話のように、民俗学の追及へは向かわないまま終わったのが残念だけど、夢中になれるところはかわらず。

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ひとめぼれ


2017年07月05日 読了
 町名主の跡取り・麻之助。
友人の二人はもう身を立てているというのに、麻之丞まだお気楽な身分。それゆえ、立場を気にする人たちの代わりに様々な揉め事の間に立つ。

 縁談に関する話が6つ。
「しゃばけ」シリーズと違ってこちらは人外が出てこないため、突拍子もないようなことは起こらず、内容も人間関係も忘れがち。
揉め事の治め方も、勘や都合よく起こる出来事などで終わり、飽きが来る。

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ひとめぼれ [ 畠中 恵 ]
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東京帝大叡古教授


2017年07月01日 読了
 明治三十八年、夏休みを利用して熊本から上京してきた少年は、帝大の叡古教授の下へと向かう。
するといきなり、帝大の図書館で死体を見つけてしまい。。。

 連続殺人が起こり、その解決に走り回る少年。
登場人物の生い立ちやその子供たちの来し方まで細々と説明があるためやたら長い。そのうえ、それぞれの話は興味深くても全体の事件に関してはなんだかぼんやりしていて充実していたとは言えない読後感が残る。

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ぬけまいる


2017年06月27日 読了
 馬喰町で幼馴染の女3人。
ある日「抜け参り」に行こうと決め、誰にも知らせず何も持たず、一路伊勢参りに出かける。

 個性豊かな3人が寄れば、今の暮らしも悩みも全部ほっぽって昔のまんま。
しょっちゅうケンカしながらも助けあい、時に一文無しになってはその場で稼ぐ。
家庭も仕事も辛い事ばかりだと悩み抜いていたのがウソのように、気持ちも頭も軽くなり、無事お参りを済ませた頃には身の振り方と覚悟が決まる。
しがらみを振り切ってひたすら前向きに進む3人が清々しい。

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