ルパンの娘


2017年06月21日 読了
 仕事帰りのデート中、三雲華は、恋人の桜庭和馬の家に行くことになった。しかし緊張して玄関に入った途端、この恋の終わりを予感する。

 華の家族は先祖代々一家そろって泥棒家業。対して和馬は刑事一家だった。

 ホームコメディのドタバタが賑やか。
最後はすっかりハッピーエンドで丸く収まる。
あまり深刻ではないから読みやすくて楽しく終われる。

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愚行録


2017年06月19日 読了
 一家惨殺事件が起こり、1年たっても犯人がわからずじまい。
ルポライターを名乗る主人公(?)が、隣人や友人、会社の同僚、学生時代の友人にまで話を聞き、殺された一家の人物像を探る。

 最初から最後まで主人公は「聞き役」で名前もどんな姿かも描かれていない。
皆それぞれの立場から見た被害者の様子を語るだけのストーリーだが、この事件の犯人は実はどうでもいい位置にある。
犯人がわかることよりも、事件の解決よりも、語り手たちの言動が重く残り、これこそが愚かだと言っている。
 そのうえ、あまりにたくさんの毒気を浴びたせいで、殺人がなんてことないような気にさせられてしまったことも怖い。

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カミングアウト


2017年06月15日 読了
 コインロッカーにそれぞれのキャラを詰め込んで、色んな人格になり切る女子高生。夫から「かーさん」と呼ばれることがストレスな主婦。隠してきたけどもう29歳だから卒業すべきか悩みに沈むロリィタ好きのOL。
いろんな秘密を持つ、身近な人たち。

 みんないつかぶちまけたいと思いながら隙を伺う、じくじくした気持ちがリアル。
こうゆう短編にありがちな、最後はすべての人間関係がつながっていて、めぐりめぐって全部丸く収まる的な話ではあるけど、こっそり覗いてくすっと笑う感じが微笑ましく、じめっとしない終わりも良い。

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幸福のパズル


2017年06月12日 読了
 海の見える町で生まれ育った主人公のみちるは、高校3年の夏、中学のクラスメイトだった優斗と淡い恋をするが、行き違いの末別れてしまう。
その後、小説家として高校生でデビューしたみちるは優斗と再会し、再び付き合うことになるが。

 10代の頃読んでいた少女マンガ作家。
小説はもう少ししっかりしたものかと思っていたらそのまんま少女マンガのノベライズといった感じ。
設定も展開もすべてが浅く軽い。

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藪医 ふらここ堂


2017年06月11日 読了
 江戸・神田三河町で小児科医をしている天野三哲。
無精髭とひっつめただけの縮れ髪、着物も気崩して「めんどくせぇ」が口癖の、近所でも評判の藪医者だった。
娘のおゆん、押しかけ弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さん、昔は武士だったという薬種商でイケメンの佐吉。個性豊かな面々が賑やかに周りを囲む。

 表紙の怪訝そうなおゆんの目が印象的。
いい加減そうな口調でも実はちゃんとしたことを言っていたり、子供を見て親を叱る三哲が、だんだん名医に見えてくる。
ありがちではあるが、当時の医学や家族の在り方なんかも含め、じっくり読める。

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シャルロットの憂鬱


2017年06月09日 読了
 警察犬を引退した雌のジャーマンシェパードのシャルロット。
子供のいない夫婦の家で暮らすことになり、犬を飼うことが初めての人間とゆるく幸せな生活を送り始める。

 主人公は人間で、犬の不思議を様々に描きながらも、シャルロットの表情豊かな感情をうまく描いていて、犬の行動を知っている者には納得のことばかり。
ご近所トラブルも野良猫問題も、家出娘も全部引き受ける器の大きさと、他の犬にはめっぽう気弱なギャップがかわいい。
ストーリーも、だんだん気を許してくるシャルロットの行動が面白く、相手の気持ちを汲み取ろうとするお互いの様子が微笑ましい。
そして、夫の鋭い観察力と推理力がチクリと気を引き締める素材となっていてだらけない。
 でも、最後の話はなんだか曖昧ですっきりしない。
せっかくテンポよく楽しく進んできていたのに、最後でぼんやりしたイメージが残るのが残念。

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防諜捜査


2017年06月07日 読了
「ゼロ」研修を終えた倉島。
所属は外事1課のまま、特別な任務「作業」を開始することになった。
それは、駅でロシア人ホステスが死んだことから始まる。

 ロシア人女性の死が、自殺とは思えないとつかみどころのない違和感を感じていた倉島。わずかな引っ掛かりから事件を突き詰めていくのはいつものパターン。
でも、殺し屋ヴィクトルが名前だけでも登場するわりにはあっさりといつものように進み終わる。
「曙光の街」の頃の密度はない。

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満願


2017年06月05日 読了
 いくつかの賞をとったミステリー。
刑事には向いてないと思っていた新人が、殉職する。その死の間際に漏らした言葉の意味は。刑を務めあげて出所した恩人の真の目的とは。呪われたと噂される峠の真実。

 いくつもの不思議で不気味な短編が、じわじわとしみこんでいく。
あまり好きな分野ではないが、短い中でも充分引き込まれる。
一つ一つをもっとじっくり読みたくなるが、後味が悪くて気分が悪い。

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綺良のさくら


2017年05月31日 読了
 南部藩御側用人・桜木兵庫の娘である綺羅は、幼い頃一緒に遊んだ初代藩主利直の五男・彦六郎の事をずっと慕っていた。
成長と共に二人の道は離れたが、桜木の家が落ちぶれても、お預人の方長老の御側人として通うことになっても、二人で見た枝垂桜が綺羅の心を支えていた。

 一人の藩主の心一つで人生が大きく変わる時代。
綺羅は様々な苦境に立たされながらも一人、自分の足で立っていくと誓う。
歴史的な動きも所々はさまれ、固い表現もある中、綺羅の心は「あっ」という表現が多くて子供っぽい。
最後まで彦六郎に向かう一途さよりも、なぜか倫三の不憫さが残った。

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カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女>


2017年05月25日 読了
 父の仕事の都合で、インドの駐在英国人の子女が通うオルガ女学院へ通うことになったシャーロット。
そこで出会ったのは、オニキスの瞳を持った美しい少女・カーリーと、個性的な級友たち。
初めての経験ばかりのシャーロットは、そこで様々な事を学ぶことになる。

 作者があとがきで言っているように、「ハウス世界名作劇場」のような物語。
仲間たちに恵まれ、波乱万丈な出来事が次々と起こり、ちょっと嫌な奴もいて、少女たちは賑やかに成長する。
どんなことが起ころうとも、明るくて前向きな、かわいらしい学園ロマンス。