黒猫のいない夜のディストピア


2018年12月22日 読了
 大学院修了後、博士研究員となった私。黒猫としたケンカしたまま彼が出張に行ってしまったある日、白ずくめの格好をした自分そっくりの女性と出会う。
不可解な暗号が書かれたハガキが届いたり、母の不自然な行動から、私は強い不安を抑えきれなくなり。

 黒猫シリーズ第2部のスタート。
ドッペルゲンガーを見るという不気味な体験をし、奇妙な都市計画、身近な人の書く仕事など、不安を煽る出来事が続く。
美学やグロテスクの講義は相変わらず難しいけど、それ以上に不気味さが大きかったためか、黒猫の登場でほっとする。
でも最後の私の決断にまたモヤモヤし、それが全体の印象を急に悪くした。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

黒猫のいない夜のディストピア [ 森 晶麿 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

白銀の巫女


2018年12月07日 読了
 呼び起されてしまった過去の化け物に追われながら、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍にも追われるエンスたち。
そこで1500年前にかけられた結び目の呪いを見つけ、意味を見出そうとする。

 大群と闘いながら、1500年前の呪いを紐解こうと奮闘するエンスたち。
1作目の出来事を忘れてしまっている部分も多かったが、やっと本陣に迫るというところで終わってしまう。
3作目が出たらすべて読み返す気力があるかどうか。
ともあれ、エンスやリコとまた出会えたことがとてもうれしかった。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

白銀の巫女 紐結びの魔道師2 [ 乾石智子 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

別れの霊祠 溝猫長屋 祠之怪


2018年12月04日 読了
 お多恵ちゃんが成仏したと思われ、祠のお参りをしていた4人にもそれぞれ奉公先や修行先が決まり、ほっとした大家の吉兵衛。
大抵の事ではもう驚かなくなっていたが、今度はお紺の縁談が持ち上がったと聞いて息が止まるほど驚いた。
 しかしやはりお紺の相手、並の男ではないようで。

 これで皆との幽霊騒ぎも終わりかと思うと寂しくなる。
それぞれが向かう先は全く違う道だけど、4人はやっぱりしぶとい。
頼もしい働きでお紺の縁談相手をさぐり、自身の能力とも渡り合う。
変わらない4人がうれしい。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

別れの霊祠 溝猫長屋 祠之怪 [ 輪渡 颯介 ]
価格:1595円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

祭火小夜の後悔


2018年12月01日 読了
 第25回日本ホラー小説大賞〈大賞〉および〈読者賞〉受賞作
ちょっと内気でミステリアスな少女・祭火小夜は、怪奇現象に詳しかった。
下ばかり見ながら歩くのが癖の教師は、ある日旧校舎で不思議なモノに出会う。

 前半の短編は、不可思議なモノと出会った人たちがそれらをやり過ごす方法を小夜から教えてもらう。その奇妙さが恐ろしいが、小夜のラノベっぽい登場が和らげる。
後半は小夜の兄に関する大きな賭けの行動だが、こちらはちょっとありふれていて、前半の異彩さがほとんどない。進行の予測もつき、長編のわりに充実感がなかった。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

祭火小夜の後悔 [ 秋竹 サラダ ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

はしからはしまで: みとや・お瑛仕入帖


2018年11月23日 読了
 店内どれも三十八文。
兄妹で営む『みとや』だったが、突然、兄の長太郎がフグにあたって死んでしまう。
一人になっても食べていくためには店を続けなければならないと、妹のお瑛は、兄の廻っていた仕入先を巡ることにした。兄の話を聞かせてもらいながら。

 主要人物の一人が死ぬというのは、とても喪失感が大きい。
それでも仲間に恵まれたお瑛の姿が頼もしく、知らなかった兄の一面も見れて新鮮だった。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

はしからはしまで みとや・お瑛仕入帖 [ 梶 よう子 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

サーチライトと誘蛾灯


2018年11月11日 読了
 公園の治安維持のため見回りをしていたボランティアの吉森は、そこでテントを張ろうとしている怪しい人物と出会う。
その人物は魞沢と名乗り、どうにも会話がかみ合わない。
 そして見つけた他殺体と周りの状況から、魞沢は一つの答えを導き出した。

 虫を探してあちこち旅をしている魞沢が、そこで起こる事件に巻き込まれ、とぼけたやり取りから真実を見つけ出す。
魞沢の軽さがトントンと物語を進め、重苦しい雰囲気を作らない。
どんなに苦しい状況に置かれた人達の中にいても変わらないため、読んでいても苦しい思いをせずに済む。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サーチライトと誘蛾灯 (ミステリ・フロンティア) [ 櫻田智也 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

死神刑事


2018年11月07日 読了
 「警視庁の方から来ました」
詐欺が良く使う口癖でやって来る『死神』。怪しすぎるのに、優秀。

無罪が確定した事件の再捜査をするためやってきたその男は、『死神』と噂されていた。そして『死神』と一緒に捜査した警察官はもう行き場がないと。

 警察が捜査して捕まえた犯人が無罪となるということは、警察の失敗ということ。それを再捜査するのは警察にとっては負けで、『死神』は疎まれていた。
しかしその男は、事件にかかわった刑事一人を相棒に選び、再捜査したあげく置き土産までおいていく。
『笑うセールスマン』的なブラックユーモアが面白い。
悪い噂の割に、誰も不幸にはなってないし、事件の真犯人も見つかる。
サクサク読める軽い文体で痛快な短編集。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

死神刑事 [ 大倉崇裕 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

解決まではあと6人―5W1H殺人事件


2018年10月23日 読了
 平林貴子と名乗る女が、興信所をはしごしては変わった依頼をしていく。
それぞれの興信所で解った事実が何を意味するのか。
それがわかるのは平林貴子だけだと思っていた。

 すべての依頼内容がわかっているから繋がって来る出来事。
でも一つしか知らない者たちにはわけがわからない出来事。
どんどん疑問が増え、興味も増えるが、作者らしい読みやすさでサクサク進む。
でも最後は、どんな探偵でもわからないだろう。
だって伏線がなかったから。予想できるわけがない。
意外性があってずるいと言うのとは違う。
こじつけにすら思える狡さで興醒めした。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

解決まではあと6人 5W1H殺人事件 (講談社文庫) [ 岡嶋二人 ]
価格:649円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

破蕾


2018年10月05日 読了
 旗本のところへ使いに出たお咲は、そこで恐ろしい話を聞く。
「市中引廻し」の刑となった女の身代わりを受けることになったという。
あまりの羞恥に気も失わんばかりだったお咲だが、塗られた薬のせいもあり、しだいに箍が外れていく。

 図書館で借りた本には表紙がついていなかった。
不思議に思いつつも読み始め、もしかしたらあまりの刺激の強さに外されたのではないかと思っていたら、少しもおかしなところはない様子。
 女の受ける刑が、女であれば少し違和感を抱くだろうと思う。
でもその様子や気持ちの移り変わりが丁寧に書かれていたためにそれほど嫌悪感は生まれない。
その事件に絡んだ女たちがそれぞれ貫いた人生が、熱に浮かされたように描かれていた。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

破蕾 [ 冲方 丁 ]
価格:1815円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)

後ろ傷


2018年10月03日 読了
 北海道で一番レベルの低い大学に通う省吾は、ある日学友がヤクザから追われているのを見てしまう。
慌てて警察に駆け込んだが、なんと警官は皆見て見ぬふりで、省吾たちは派出所内でヤクザに暴力を振るわれる。

 ススキノで探偵をするあの二人も登場するのだが、しつこく蘊蓄を語る疎ましい存在として書かれていた。
探偵より主人公の省吾より、一番存在感があり印象に残ったのは、大学から身を投げて死んだホームレスの老人だった。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

後ろ傷 [ 東直己 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2019/11/17時点)