闇の虹水晶


2015年02月13日 読了
 一世代に一人だけ現れるという「創石師」のナイトゥルは、子供の頃に〈塩の魔女〉に出逢い、呪いをかけられた。

 その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう――。

 呪いをその身に受けたナイトゥルは、侵略者によって一族を殺されても、恨みや憎しみの気持ちさえ感じないほどに、様々なものを無くしていた。
ある日闇の水晶がその手にやってくるまでは。。。

 不思議な力を持つために、あちこちで利用されるナイトゥル。
すべてをなくしたと思っていた彼は、やがていろんなものを手に入れていくのだが、予想される結末だったので少しがっかりした。
ここまで異世界な物語でも、やっぱり人のやることはさほど変わらないのか。

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イツロベ


2015年02月09日 読了
 アフリカの奥地にボランティアとして派遣された産婦人科医・間野祥一は、禁忌とされていた森に入り、そこに住むラウツカ族と交流を持つ。
そして見てはいけないと言われている者たちの正体に気づいてからは、日本に戻ってきてからも奇妙な体験が重なり、次第に正気を失う。

 結論の出ないホラー。
始めは貴重な体験をし、ラウツカ族に認められ、一人特別な存在となっていくのかと思いきや、どんどん奇怪なものと出会い、夢と現を繰り返して境目が曖昧になっていくような不気味な感触が増えてくる。
 煙に巻かれた感じ。

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かぜまち美術館の謎便り


2015年01月28日 読了
 少しづつ鼓動が弱まっているような、さびれゆく町。
その町の美術館館長として赴任してきた父子の身近で、18年前に死んだはずの少年から絵葉書が届いた人たちが困惑する。

 有名な画家の絵を模して書かれた、一目で書き手がわかる絵。
それらからは、18年前の町の人々の思いだけではなく、一人の郵便局員の不気味な行動も見えてくる。

 話の一つ一つが、その頃の出来事と気持ちを解きほぐし、新しい関係を紡いでゆく。
仄暗い過去の事件が見えてくる中、ほのぼのと暖かい父子のやり取りがふわりと空気を換えていて暗くなりすぎない。絵にも興味が持てる。

 これまでの作者の本の中では読みやすいが、それが物足りなく感じる。

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連写 TOKAGE3-特殊遊撃捜査隊


2015年01月26日 読了
 東京都内、コンビニ強盗が連続して起こった。
バイクを使い、目撃者や痕跡をほとんど残さず行われた犯罪に、警察はトカゲの採用を決める。
 
 次の犯行が起こるたび、だんだん規模が大きくなる捜査。
それでも犯人へつながる糸口が見つからない。
そんな時、新聞社の記者があることに気付く。

 本の厚さの割に読みやすい今野敏作品。
今回も淡々と何もわからぬまま進む序盤と、いきなりスピードアップする最後の急展開でだんだん止まらなくなる。
いくつか引っかかる謎は残るが、トカゲのスピード感が楽しい。

すえずえ


2015年01月17日 読了
 幼馴染の栄吉に縁談が舞い込み、ひと騒動の末、嫁となる娘を決める。
そして若旦那のところにも縁談が舞い込み、離れの者たちはそれぞれの未来を考え始める。

 いつまでも安全なままの離れではいられないかもしれないと思い始める妖たちと、どうも今一つ実感のわかない若旦那。
皆それぞれ変化を感じ始めた時、兄や達が買ってくれた土地に建てた長屋を妖たちの場所にすることにして、若旦那はひとまずの解決としたはずだったが。
 最後に登場した山童が、どうも後味悪い。次へつなげる布石だろうが、若旦那はどう解決するのか。

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アクアマリンの神殿


2014年12月17日 読了
 桜宮市にある未来医学探究センターで、日々大事な仕事をこなしつつ暮らす佐々木アツシには、5年間の空白がある。
 人類初のコールドスリープを体験したアツシが今見守るのは、アツシの後でコールドスリープに入った涼子さん。そしてアツシを社会に適応させるための師匠として、彼に様々な課題と力をもたらす西野さん。
亮子さんの目覚めが近づいたことでアツシの周りが賑やかになってきた時、西野さんはアツシにある大きな決断を迫る。

 『モルフェウスの領域』の続編。バチスタのメンバーとはあまり関係はないが、近未来の話であるため別物として楽しめる。難しそうな話も出てくるが、基本的に学園ものであっさり読める。

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竜鏡の占人 リオランの鏡


2014年12月15日 読了
 <獅子星王朝>の第2妃カトラッカは、その美しさと優しさで人々を虜にしていた。
彼女は鏡の占人で、鏡をのぞきこめば過去と現在が見える。
人心も政治も操る彼女は、ただ一つ<未来>を見せる鏡を手に入れるために、3人の王子を罠にはめる。

『太陽の石』と同様の流れ。
あちらは長い兄弟げんか、こちらは永遠に自分を認めない美女。
鮮やかな景色の描写は相変わらず素晴らしいが、今一つのめり込めないままだった。
引き込み方が前より弱い。

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憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパークXI


2014年12月11日 読了
脱法ドラッグ、ノマドワーカなど、どこかで聞いたことのある事件がきっかけとなってマコトたちが動く。
タカシの氷の結晶のような冷酷さも健在で、懐かしくてうれしくなった。

 でも今までなら、タカシたちのちょっとやりすぎなお仕置きもある意味解決になっていいと思っていたけど、タイトルになっているヘイトスピーチの話は後味が悪かった。
季節のめぐりを感じられる終わりで結末は良かったが、ネタになるものが不愉快な事件だと感情も引きずられる。

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憎悪のパレード 池袋ウエストゲートパーク11 [ 石田 衣良 ]
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仙丹の契り 僕僕先生


2014年12月04日 読了
 旅の仲間が一行を離れ、突然また二人の旅が始まる。
国境を守る街で、王弁は吐蕃の医師ドルマと再会をするが、そこでは今まさに世代交代の謀略が渦巻いていた。
巻き込まれた王弁と僕僕。城の王を救うには、王弁と僕僕が深く交わることでできる仙丹を作るしかなかった。

 二人の長い旅が、大きな岐路に立つ。
仲間が去り、二人の関係が深まるはずの時、王弁は怖気づいてしまう。
ここへきて積極的なのは僕僕の方になり、なにやら今まで通りにはいかない二人。
そこまで近づくことを許す僕僕は何かを焦っているようで、何かが変わる予感。

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仙丹の契り 僕僕先生 [ 仁木英之 ]
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ホリデー・イン


2014年11月26日 読了
 『ワーキング・ホリデー』のスピンオフ短編集。
しっかり者の小学生・進が父親に会いに行くまでの話が、いろいろな人の目線であちこちの時間を切り取って書かれている。

 ホストクラブの経営者であるジャスミンが拾ってきたヤマトの過去と共に、その周りの人々の思いも綴られ、合間合間に飛び出してくる言葉たちが鋭い。
優しい語り口でふわりと出てくる言葉なのに、もやもやした思いをグサリと言い当てていて、もうそれ以外の表現はないんじゃないかと思えてくる。

 相変わらず悪い人は出てこないし、優しく都合よく終わるところもあるけど、それ以上に納得できるところが多い。
映画も見てみたくなった。

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ホリデー・イン [ 坂木 司 ]
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