優しい街


2017年10月05日 読了
 主人公の探偵は、名古屋から上京していた実業家から、いなくなった娘を捜してほしいという依頼を受け、娘の行方につながりそうなTwitterの履歴をさぐる。
ただの家出娘かと思っていたら、見つけた娘が自宅で殺されていた。

 タイトルとはそぐわない不穏な表紙。
「あぽやん」のほのぼのとした作風とは全く違ったハードボイルドの世界だった。
しかし、探偵のキャラクターがいまいち弱く、信念を語ってもどうもそれがうまく結びつかない感じが最後まであった。Twitterのアカウントを使い分けている若者たちと関わり、アカウント名がたくさん出てくるわりにはどれも薄い登場で印象に残りにくくて混乱が大きかったため、読み切ってもなんとなく満足感がない。

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風聞き草墓標


2017年10月02日 読了
 二十年まえ、父は何をしたのか。
佐渡島の鉱山開発、貨幣改鋳の断行など財政の舵取りを担った荻原重秀。彼は収賄の汚名を着せられ、獄中で死した。
時を経て今、その時起こったことの真相が明るみにでようとする。

 父への不審にじっとしていられず、佐渡を目指す娘のせつ。
旅立つ前の出来事と道中の思いが交互にやってきて、せつの心のように惑わす。
痛ましい死がたくさん起こり、どうにもならない悔しさが増えて、生きることのままならなさを存分に感じられた。

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すかたん


2017年09月28日 読了
 饅頭屋の娘だった知里は、江戸詰め藩士の夫に早くに死に別れ、大坂でも有数の青物問屋「河内屋」に住み込み奉公することになった。
関東と関西の文化の違いに戸惑いながらもなんとか慣れ、商いより野菜作りに情熱を傾ける若旦那に振り回される日々。

 全く違う環境に置かれ、慣れるまでの辛さもしみじみと伝わるが、しだいに食べ物の美味しさにほころび、野菜にも興味を持っていく知里が頼もしくて微笑ましい。驚くことばかりする若旦那の行いよりも知里の行動力に力が湧き、お見通しのおかみさんに背中を押され、だんだんと力がこもる。
何かをつかみ取る力ってこんな風に持つものなのかと感じることができた。

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変幻


2017年09月28日 読了
 同期の一人、警視庁捜査一課刑事の宇田川の同期、特殊班の大石から「しばらく会えなくなるかもしれないから、飲みに行こう」と誘われる。
その言葉通り、翌週から姿を見なくなった大石。
そこへ、もう一人の同期である蘇我から、大石が潜入捜査の末連絡が取れなくなり、救済措置が機能しなくなったから力を貸してほしいという連絡が入る。

 「同期」シリーズの完結編だという。
1作目は割と印象に残っていたので楽しみにしていた。
同期だというだけで、その活躍が身近に思えてしまうとろこに親しみを感じる。
完結というほど大きな出来事ではなかったし、もっと先もある気がするので、これで終わりなのは寂しい。

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ずんずん!


2017年09月25日 読了
 牛乳を配達すえるだけじゃない。
地域に溶け込み、異変を察知したり、毎日変わらず街を見廻る。

 牛乳配達の店がメインだと思っていたが、そこからいろいろ広がってなにが軸なのかが曖昧になっている。
細かいエピソードは微笑ましいものもあるが、多すぎて飽きる。
心身共に満ち足りて心に余裕のある人が持てる優しさだけを掬い取って作った、すべてがものすごく都合のいい話でうんざりする。
もっと読みたいものがあったのにと後悔するほどがっかりした。

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ずんずん! [ 山本一力 ]
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猫の傀儡


2017年09月20日 読了
 主人公は猫。
人間を操り、猫のために働かせる傀儡師として、突然姿を消した先代のあとを継いだミスジ。
まずは盗人の疑いをかけられた履物屋の飼い猫・キジのために、傀儡である狂言作者の阿次郎を上手く動かして濡れ衣を払う。

 猫目線のため人間に都合のいいような結果にはならないといいつつ、結局は皆丸く収まり、かわいい猫の姿を想像しながら楽しく読める。
慕っていた先代の行方不明の究明もでき、すっきりと終われた。

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猫の傀儡 [ 西條奈加 ]
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恋する組長


2017年09月13日 読了
 探偵事務所を開いている「俺」。
従業員は所長の自分と、電話番にしか使えない由子の二人。
そんなところに依頼が来るのは金が大好きな悪徳刑事とヤクザくらいで。

 前作があるのではと思うような作りで、昔の事件なども面白そうで気になってしまう。組長の愛犬がいなくなったので探していると死体にぶつかり、悪徳刑事の唯一の良心である妻が浮気しているかもしれないと泣きつかれ、その妻に横恋慕する違う組の組長。
登場人物がいちいち個性豊かで楽しい。

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ばけもの好む中将 六 美しき獣たち


2017年09月11日 読了
 12人の姉がいる中流貴族の青年・宗孝。そのうち、夫の赴任地に付いていかず、一人都で暮らしている9番目の姉が今回はメイン。
 夫からの文や贈り物が届かなくなったため、情が消えてしまったのではないかと思い悩む九の姉の前に、怪しい老婆集団が現れた。

 嫉妬深い母の刷り込みのせいで、何につけても自信がない九の姉。
そこに付け込まれて散々な目にあうのだが、宗孝がどんなに手を貸そうと、動き始めた不運は止められない。
今回は宗孝ではなく、九の姉があちこち振り回され、最後には不穏な暗示を残して終わるので気になってしょうがない。

ボス・イズ・バック


2017年09月07日 読了
 泣く子も黙るご面相のヤクザ組長・山虎が突然出家するという。
そんな裏稼業のところから仕事を貰ってやってきた探偵は、メシの種がなくなったら大変と、なんとかやめさせようとする。

 坊主の癖に金と女が大好きで常に何か企んでいる和尚や、ちょっとした悪事など平気でやってのける悪徳刑事がいたり、山虎の凶暴な愛犬ベルちゃんも含め、個性が強くて胡散臭い者ばかり。
ハードボイルドとは言っても、クスリと笑える部分が多くて明るくさらりと読めて楽しい。

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ボス・イズ・バック [ 笹本稜平 ]
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髑髏城の花嫁 (Victorian Horror Adventures 2)


2017年09月05日 読了
 クリミア戦争から祖国への帰途、エドモンド・ニーダムと戦友であるマイケル・ラッドは、奇妙な使命を負う。
瀕死の青年を彼の母の実家まで送り届けてほしいというものだった。
その名も奇妙な「髑髏城」。

 昔の翻訳小説のような文体と流れで、上流階級の不可思議な人物と依頼に興味はわくが、どことなく話も読め、特に印象深い部分も残らず、さらりと読み終わる。
シリーズになっているらしい。

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髑髏城の花嫁 (Victorian Horror Adventures) [ 田中芳樹 ]
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