薔薇色に染まる頃 紅雲町珈琲屋こよみ


 手放したことを後悔していた帯留が戻ってきたと連絡をもらい、草は東京のアンティークショップへ向かう。
しかし、そこで草は、あるバーの雇われ店長であり、幼いころから見知っていたユージンが殺されたと知らされる。
彼との約束を思い出し、あちこち回る草だが、新幹線でとある母子のトラブルに出くわし、なりゆきで子供をかくまううちに、これはユージンの大きな企ての一部などだと悟る。

 今回は、シリーズ第一作の時のような危なげな話。
普通の老婆である草が巻き込まれるには大きすぎるトラブルだが、不運な子供を放っておけない草の性質をよく見極めたユージンの勝利だろう。
なかなか解決しないトラブルと、予想はしても確認はできない真実を飲み込み、草は一人大冒険をする。
普段の穏やかな小蔵屋のお草さんとは違った、勇敢な草だった。

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