2017年10月25日 読了
扇屋「俵屋」の後継ぎとして養子になった伊年は、将来店を継ぐための修行などお構いなしにひたすら絵を描いていた。
ある日、幼馴染に頼まれ描いた平家納経の表紙絵の修繕を書の天才、本阿弥光悦が気に入り、料紙と下絵と文字の3つの美が一つとなった書物を作りたいと打診される。
後に天才絵師と称されることになる俵屋伊年の若い頃の話。
我を忘れるほど惹きつけられるものに出逢い、のめり込み、モノにするには、天才といえども簡単ではなく、伊年が心を動かされたり焦ったりする様が目の前にいるかのように感じられて興味をそそる。
所々入る現代との比較や当時の文化の説明なども、テンポを途切れさせずにうまく配置され、するりと頭に入って来る。
次の章も途切れずに読みたかった。
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