星砕きの娘


 第4回創元ファンタジイ新人賞受賞作。
鬼に攫われ、暗い岩の底で奴隷となりながらも心を壊さないでいた少年・弦太が、ある日、弦太は川で蓮の蕾を拾う。
砦に戻るとその蕾は赤子になっていた。
不思議なことに蓮華と名付けたその赤子は、<明>の星のめぐりと共に赤子と少女を繰り返す。
弦太が囚われて七年後、ようやく都からの討伐軍により弦太たちは解放されるが、蓮華と共に家に戻った弦太にはさらなる試練が待っていた。

 暗い砦にとらわれながらも自我を放棄せず、解放されて力を振るう様子は「鹿の王」と似た流れ。
しかし鬼や技術、服装、信仰などから古い日本の様子を想像させる。
そして読みやすく、世界感に没頭しやすいため一気に読める。
知恵や力をつけていく様子も細かく描かれていて成長が楽しめる。
個人的には、蓮華に優しくはないが面倒は見ていた笛詰が好印象。