日月潭の朱い花


 25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。
誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつける。
その日は買わずに帰ったサチコだが、ジュリがプレゼントに買ってくれ、中に入っていた古い日記を見つけた事から二人の生活は一変する。
それは、70年以上前に行方不明になった少女のものだった。

 古い日記を見つけ、その書き手の事が気になり、少女の事を調べ始めた頃は、歴史を調べるくらいの気持ちでいたのに、いつの間にか少女失踪事件につながっていく。
日本と台湾の歴史的な事実による確執も加わり、どこか暗い時代。
日本と台湾をルーツとする二人が辿るのは謎解きの感覚もあって興味が続くが、次第に物騒になっていくあたりで失速。
でも、二人が前向きになっていくので辛いまま終わらなかったので気分よく読み終えられた。