村の名主の弟であった杜宇は、ある日武士と悶着を起こし、村を出奔した。
放浪の末たどり着いたのは、青姫とよばれる統領の下で自由経済の郷だった。
そこで杜宇は米作りを命じられ、田を開墾から始める。
そのうち郷にもなじみ始めるが、ある日ぼろぼろの男が郷にやってきた。
それは杜宇の出奔の訳となった武士であった。
これまでの朝井まかての作品とは全く雰囲気が異なり、ファンタジーのような趣があった。
不思議な郷で米作りに奮闘し、わがままで意地も悪い青姫に振り回されながらも郷になじみ、そこでの居場所を見つける杜宇。
やがてすべてを思い返す年まで長生きをする杜宇の一生を、その場にいたような感覚になって読んだ。
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