ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼


2014年11月15日 読了
 奇異なことを好む中将に振り回され、今宵も宗孝は人気のない暗闇へと分け入っていく。
 見た目はいいのに妖に興味があるせいで変人として名が知れ渡っている中将・宣能のお供として「泣く石」を見に行った宗孝たちが見つけたのは、石ではなく赤子だった。
その子供は高貴な生まれである印をもっており、成り行きで預かることになった宗孝は、姉たちの追及に耐え切れず自分の子だと嘘をついてしまう。

 『とりあえばや物語』や『落ち窪姫』のような、どこか滑稽に大慌てする宗孝が楽しい。
事実と思惑が複雑に絡まり合い、それぞれが画策する中で、最後はきれいにほどけて最もいい結末に落ち着くため、すっきりといい余韻が残る。

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太陽の石


2014年11月10日 読了
 捨て子だったデイスは、優しい姉と両親に愛されて育った。
ある日山で、たくさんの星々が詰まった肩留めを拾い、そして少しづつ思い出す。

 かつて、大地の力を持つ魔道師イザーカト九きょうだいといえば、コンスル帝国の近衛魔導師として強大な力と信頼を持っていた。しかし度重なる戦争による精神の疲労で兄弟の絆は崩れ、愛ゆえの憎しみにより一人の魔導師が闇に落ちる。その闇を、再び生まれなおした兄弟たちが決着をつけに蘇る。

 3百年をかけた壮大な兄弟げんか。
しかし、禍々しい霧、足元も見えない闇、身体が引きちぎられるような絶望の描写が並んだと思えば、次は息苦しいほどの緑や小鳥の小言、空や星々の歌までを清浄な空気の中で表現する。
その描き方は、読んでいるこちらが呼吸する空気までもがその世界の色をしている気がするほど。引き込まれた。

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魔道師の月


2014年11月09日 読了
 『夜の写本師』でカリュドウが使っていた本の魔法を生み出した、魔道師キアルスの物語。
 強烈で禍々しい闇が、ある日若い大地の魔道師レイサンダーの前に現れる。
なぜこの闇の存在に、誰も気づかないのか。あまりの圧力に彼は逃げ出す。

 心に闇を持たぬゆえに魔道師としての力がいまいちなレイサンダーと、この世に1冊しかない貴重な本を焼いてしまったために一生をかけてそれを復元しようとするキアルス。
二人は、その大きな闇<暗樹>に気付いたために命を賭してそれを封じる道を歩む。

 どんなに大きなことをやり遂げたと思っても、何千年と受け継がれてきた世界の前では見えないほど小さい。しかし、少年が大人になるだでは大きすぎる。
魔道師の力が全面にあった前作とは少し違った今回だが、前作では影の薄かったキアルスがこんな冒険をしていたのかと、魔道師というものにさらに興味がわいた。

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夜の写本師


2014年11月06日 読了
 3つの石を持って生まれてきたカリュドウは、女魔道士エイリャに預けられて育つ。
そのエイリャが力を奪われ、目の前で殺された。
仇である大魔道師アンジストへの復讐を誓うカリュドウは、魔道士とは違う力を求めて写本師となる。
アンジストに殺された三人の魔女の運命を背負い、数千年の時を経て二人は再びまみえる。

 デビュー作とは思えないほど厚みのある内容。本を使った魔法で、しかも発動させるためにはちょっとした遊び心も必要で、そのカギは隠されているなど、本好きにはたまらない設定だけど、壮大な復讐の話。
痛く苦しく、気も狂わんばかりの思いを受けついだカリュドウが、息をつく間もないほど濃い人生を見せてくれる。

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ファンタズマゴーリア


2014年10月31日 読了
 ミラーワールドに住む少年マルテは、友人の実験に協力するため降り立った地上世界でリヱカという少女に出会う。
仲良くなった二人は友情の証としてそれぞれの持ち物を交換しあった。
マルテは時間を折りたためるピーナッツを、リヱカは青いトンボ玉を。

 人間世界とは別の時空間で存在するミラーワールドや地中世界などが存在し、それぞれの常識や考えが異なるはずの者たちが出会う物語。

 複雑に絡み合い、時間も越えて、さらにまた出会う。
繋がりを見つけるのはおもしろいけど、ありきたりなのにその表現方法が解りにくい。
私には合わないようだ。

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黄泉坂の娘たち


2014年10月28日 読了
 『黄泉坂案内人』 第2弾。
あの世とこの世の狭間を漂う「入日村」で、日々やってくる死人たちが憂いなく三途の川を渡れるよう働いてきた村人たち。

 そこへ新しい村長がやってきた。新村長のやり方に納得いかない彩葉だが、迷える魂たちを救いたいという気持ちはどちらも同じで。。。

 正直言って少しも前作の内容を覚えていなかった。
今回もさして盛り上がらず、どの登場人物にも気持ちが入らないうえ、素晴らしい結末もない。

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スターダストパレード


2014年10月25日 読了
 5歳の少女ニノンは、声が出せない。その母親であるフランス人のジョゼットが自殺に見せかけて殺され、ニノンは犯人を見ている可能性があるとして保護された。
ニノンは、元暴走族のヘッドを務めていたマモルへ託される。

 心に傷を持つ者たちが互いを愛しく思い、守り、笑顔を引き出す。
そんな優しい小路幸也の世界。
短く、解り易い表現や展開で読みやすいが印象は薄い。

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沈黙の書


2014年10月23日 読了
 “オーリエラントの魔道師”シリーズ。
この地に大きな戦が起ころうとしていると予言した者がいた。
そして様々な力を持つ人たちの住む村が焼かれ、一人の若者が平和を求めて魔道士となる物語。

 シリーズになったのなら是非読みたいと思っていたものの一つ。
「オーリエラントの魔道師たち」で普段身近にあるものを使って力を持たせればこんな使い方ができるのかと驚いたのだけど、こちらはやや普通な魔法たちだった。

 これからどう広がっていくのかが楽しみ。

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バチカン奇跡調査官月を呑む氷狼


2014年10月19日 読了
ノルウェーの田舎町での春祭りの最中、突然停電が起き、月が消えた。
そして近くの屋敷では、凍死した当主が発見される。

 人々は北欧神話に伝わる氷狼の仕業と畏れ、それに偶然立ち会うこととなったビル・サスキンス捜査官は、バチカンの二人の友人に協力を要請した。

 北欧神話に絡め、失踪したローレンの正体、ジュリア司祭の目論見などがわかってくる。
今までは本部で頭脳として動いていただけのローレンが、突然厚みを持った存在に変わり始めた。今までのやり取りがあるために犯罪者であっても好意的にしか見れないが、これから彼は何を始めるのかが非常に気になる。

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バチカン奇跡調査官 月を呑む氷狼 (角川ホラー文庫) [ 藤木稟 ]
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迷子の王様: 君たちに明日はない5


2014年10月17日 読了
 リストラ請負会社で働く村上真介。
どんなに大きな会社でも、不況や業績不振が続けばリストラが行われる。
これまでたくさんのリストラ候補者を自主退職へと説得してきた彼の会社も、例外ではない。

 様々な会社や人を見てきたからこそ、働くことについて考える真介。
仕事を辞めるか辞めないかがその人の人生をどうするか、その後を観察する。
色んな場面でよく聞く『後悔のないように』は、しだいに意味のない言葉に思えてくる。

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