2014年08月07日 読了
吉原は遊女だけではない。働く男女がたくさんいる。
これから客を取るという娘を一人前にしこむ上ゲ屋、年季を積んだ妓に活を入れる保チ屋など、彼女らを支える者たちに焦点を当てた作品。
始めはそんな彼らの仕事ぶりが興味を引いだが、だんだん中身がなくなり、読んだそばから忘れるほどの話になる。
吉原の人間関係がのぞけて、彼らのつながりもある短編集だが、読み進めるにつれて興味が薄れていく。
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読書と手芸の記録
2014年08月07日 読了
吉原は遊女だけではない。働く男女がたくさんいる。
これから客を取るという娘を一人前にしこむ上ゲ屋、年季を積んだ妓に活を入れる保チ屋など、彼女らを支える者たちに焦点を当てた作品。
始めはそんな彼らの仕事ぶりが興味を引いだが、だんだん中身がなくなり、読んだそばから忘れるほどの話になる。
吉原の人間関係がのぞけて、彼らのつながりもある短編集だが、読み進めるにつれて興味が薄れていく。
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2014年08月05日 読了
アジア初のオリンピック開催に向けて、国民は浮かれ、東京はどこもかしこも工事中だった。
そんな中、一人の若者が爆発事件を起こす。
しかしその事件は、報道されることはなかった。
秋田から出てきた大学院生の国男は、出稼ぎで肉体労働をしていた兄の死の連絡を聞いて現場に向かう。そこから国男の運命は大きく波打ち、とうていたどり着くはずのないところへと向かう。
国男のそれまでの人格から犯人とはとても思えなかったはずなのに、そこへの気持ちの動きがすんなり納得できるほど生々しかった。
いくつか切り替わる視点の中で犯人に一番感情移入してしまい、達成感まで感じてしまう。
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2014年07月31日 読了
百貨店の外商として働く鮫島静緒。
洋菓子を売るバイトから正社員になった静緒が、上流階級の方々相手に様々なものを売る。
仕事に向かう姿勢と意気込みは『トッカン』と通じるところがあった。
自分を見つけて導いてくれた葉鳥に対する気持ちや、同僚で同居することになった枡家など、主人公よりもその周りの人が魅力的。
特に枡家のセリフは印象的で心に響いた。
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2014年07月27日 読了
胸が青く光るという幻の鷺を追って旅に出たまま戻らぬ夫を待ちながら、ことり屋を守ってきたおけい。
小鳥を買いに来た客や、たびたび訪れる鳥好きのご隠居と語らううち、おけいは夫の消息を知る。
連絡もないままただ待つのは辛い。
その寂しさを夫の店を守ることでなんとか抑えていたおけいの毎日や、日々起こる出来事がズキズキと心を傷つける。
最後はいたたまれない結果になりそれがとてもリアルでまた辛くなるが、簡単な解決じゃない分納得できた。
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2014年07月23日 読了
第十二回鮎川哲也賞受賞作。
旅の途中、ある画廊で巡り合った一枚の絵。そこから不思議なトリックの世界に引き込まれていく。
作中の小説で殺人事件が起こり、そのトリックは本作の謎を解く鍵。
そんな入れ子状態が重なり、いつしかどこに立って何を見ているのか混乱させられながらも目が離せない。
歴史と地理と哲学が絡み合い、難しそうな出だしからは予想もつかないくらいあっという間に引き込まれた。
トリック自体はさほど目新しいものではないので馴染みやすかったのかもしれない。
そして最後はまた謎が手渡される。
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2014年07月19日 読了
表だって動けない秘密の仕事をするビジネス集団「シルバー・オクトパシー」。
そこへ、北朝鮮から脱出してきた女性を安全な国へ行かせてほしいという依頼が入る。
簡単な仕事と思われたそれには、様々な思惑を含んだ者たちが手を出してきては邪魔をし、全く関係ないはずだった仕事とも複雑に絡み合う厄介事となる。
癖が強く、決して情では動かない者たちの集団は、荒っぽいことをしている割にはアクション要素は少なく、知的な駆け引きが多い。
8人いるという彼らの中で登場して印象を残したものは少ないため、次作があるのではと期待する。
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2014年07月17日 読了
奄美大島に暮らす高校二年生の桐隆文は、ある日島のがけから海へジャンプする少女を目撃する。
海を好む妖怪かと思ったほど美しい少女は、隆文の高校への転校生だった。
その少女の強い意志により、奄美でノルディック・スキー部をするはめに。
美しくてつかみどころのないその少女によって、いつか隆文たちは大人も巻き込み、奄美の海へとつながるジャンプ台を作り出す。
夢の中での物語のように、その少女のようにふわふわとした掴みどころのないストーリー。
南国が舞台なのでいまいち乗り切れず。
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2014年07月16日 読了
王都から離れ、ユニコーンの子供と共に異端の研究者の下で暮らしていたフィリエル。
不可能だと思っていた他国の進行が予想もしないほどの規模で迫っているのに出くわし、捕らえられてしまう。
ルーンとユーシスに助け出されたフィリエルは、女王に国の危機を知らせるために再び宮殿へと向かう。
あらゆる危機が一度に起こり、今まで敵同士だったものが団結する。
物事が動き始め、絡まっていた揉め事がするりとほどけて解決していった。
クライマックスと書かれている通りこれで完結するような雰囲気だが、続きがある模様。
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2014年07月13日 読了
思わずうっとりと目を閉じるほどのロマンチックな文を書く恋愛小説家・夢宮宇多。
その夢宮先生の担当になった編集者の井上月子は、整った外見とは裏腹な毒を吐く夢宮先生に振り回されていた。
一つ一つの章が、誰もが知る王子と姫の物語をなぞり、物語に隠されたその時代の風習や常識をもとに本当の意味を探る。
ただ美しい恋愛物語だと思っていたものが、実は残酷な時代の風刺だったりすることはよくあることで、小さい頃はただ憧れていた話にそんな考え方もあるのかと考えさせられる。
文学は時代と共に解釈が変わる。
そして夢宮先生のトリックで、恋愛小説がミステリに変身する。
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2014年07月10日 読了
道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆずは、二人で目利きを競いながら成長している。
二人の目利きは物だけじゃなく、人も見る。
時に目利き勝負をしながら、二人は世の中の妙を知る。
目利きによって助かる物や人。それらを柔らかく優しく描いているのでこちらもあたたかい気持ちになるが、時に無茶な賭けを吹っ掛け、小さな知恵と細工によって勝ったりもする。
そんな賭けは人生の大勝負ですればいいのに、この二人は割と簡単に始めてしまう。
自信を付けるというよりただの博打のような感じで、手堅い商いとはいいがたい。
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