悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎


2015年03月26日 読了
 旗本都築孝蔵厄介・弥三郎。
兄の家族に一生厄介になって生きるか、立身して己の力で生きるか。

 自由を求めた弥三郎は、運がなく、仕事を見つけてどうにか嫁取りができたというのに、すぐにすべてを失ってしまう。
報われない結末だが悲壮感はなく、自分を見つめ続けて生きた弥三郎は、充実した人生だったのではないかと思える。

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いつもが消えた日


2015年03月25日 読了
 もと芸者で粋なお蔦さんと一緒に暮らす中学生の滝本望。
ある日、友人たちと望の家で食事をして送り出した後、友人の後輩・有斗が血相を変えて助けを求めてきた。

 人生の大先輩であり、肝の据わった思慮深い祖母との生活で満たされていた望が、突然とんでもないことに出くわす。地域みんなで心配し、力を貸し、取り戻すまでの様子は、小路幸也の小説に似ている。
お蔦さんのキャラクターが軸であるはずなのだが、ちょっと存在感が弱い。

小旋風の夢絃


2015年03月22日 読了
 盗掘で生計を立てている男に拾われて墓荒らしをしていた十五歳の少年・小旋風(しょうせんぷう)は、ある日美しい少女の墓で一つの琴を見つける。
ところがその琴を掴んで脱出しようとしたとき、落盤事故で養父は死んでしまい、自由になった小旋風は琴を売って貧困から抜け出そうと、様々な策を練る。

 いつしか国のトップを決める争いに、その琴と共に巻き込まれる小旋風。
小柄で身軽という設定の小旋風にぴったりの軽やかな語り口で、なじみのない名前や表現などに流れを止められることなく読めた。
 最後の大勝負にはもう少し情景描写があっても良かったなと思うけど、名前の通りつむじ風のように終わる。
 ただ、結局その琴の事、生きた死体である少女の事、それにそっくりの猛縶の外見については謎のままで、読み終えた後も不思議な余韻が残る。

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恋路ヶ島サービスエリアとその夜の獣たち


2015年03月20日 読了
 四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉でバイトをしている理代子は、つい30分前、恋人の裏切りを目撃してしまい、最悪の気分だった。
 そんな日のバイト中、理代子はトイレで大量の血痕を発見する。
死体を運ぶ途中の兄弟や、愛人とのスキャンダルを演出しようとする女、人類嫌悪団体〈ノア〉。
 サービスエリアで巻き起こるたった一夜の事件。

 最後はきっちりいい感じに落ち着かせているが、物騒な兄弟や毒舌の司会者たちは勝手に自爆しろと言わんばかりの放置。
あれだけ丁寧に、ページもかけて描いているのに、途中で飽きたかのように乱暴に捨てている。
筋のない、地に足のついてない、深みのない、違和感が残るばかりの作品。
いっそ夢オチにしてしまったほうが納得がいく。

田舎の刑事の好敵手


2015年03月17日 読了
 主人公である黒川鈴木巡査部長のいる警察署では、今日も間の抜けたトラブルで問題だらけ。
そんな田舎の警察署を視察しに、県警本部より首席監察官が視察に来るという知らせが入り、所内はパニックになる。
 でも実はこの首席監察官、黒川刑事の高校時代のライバルだったという人物であり。。。

 久しぶりにこのキャラクターたちに会い、とても癒された。
突如現れる独特の表現に思わず2度見し、登場人物の表情を想像して笑えたりいたたまれなくなったり、、、。
 もちろん推理もあるけど、笑いがメインの不思議なミステリ。
総じて読後感は良い。

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暗殺者グレイマン


2015年03月14日 読了
 元CIAの特殊活動部のジェントリーは現在、“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者。
依頼によりナイジェリアの大臣を暗殺したために、その兄である大統領から命を狙われるはめになる。

 その暗殺により、恩人である上司の家族を人質にとられたジェントリー。あらゆる国のあらゆる暗殺チームから狙われながらも、人質を救出するために一人奮闘するジェントリーだが。
 サイボーグかゾンビかと思うほど、死にそうな怪我を負いながらも一人で戦うという、アメリカのドラマや映画に最もよくある内容。

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くるすの残光 天の庭


2015年03月11日 読了
 切支丹忍者の寅太郎は、天草四郎の復活のために“七つの聖遺物”を探す。
立ちはだかるのは幕府。
寅太郎が庭師の弟子をしながら自らの力を磨いていた時、勉強のためと訪れた安芸で宿敵の天海と会い、避けられない戦いとなってしまう。

 このシリーズはあまり手が伸びない。でもなぜか読みだすと早い。
もう続きはいいかと思っていても結局読んでしまうけど、早く終わればいいと思う。
魅力的な登場人物がいないせい。

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キャロリング


2015年03月06日 読了
 大和俊介の勤める『エンジェル・メーカー』では、子供服のセミオーダーと学童保育をやっている。しかし経営が行き詰まり、クリスマスに倒産することになった。
 そこで働くわずか5名の社員の、倒産までの短い日々に起こった出来事。

 有川浩の作品はすべてそうだが、淡々としているようで独特の言葉使いに感情が揺さぶられ、引き込まれる。そのため、その特徴的な文章だけが目立つが、ストーリーも身近だけどありえない世界で興味がわいていた。
 しかし最近のものはなんだかストーリーが浅い。
人の心を表現する場面が多すぎるうえ、読み手の罪悪感や自己嫌悪をひたすらあおるようになってしまっている。
どの登場人物の側に立ってもそうなので、読後感はとても悪くなる。
この文章は、飽きる。

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西の善き魔女 (8) 真昼の星迷走


2015年03月04日 読了
 女王候補として認められたはずのフィリエル。その彼女と共に生きると誓ったルーン。
二人はやっとお互いの気持ちを確かめ合ったのだが、その二人の前に立ちはだかる壁はまだあった。

 この世界の理がやっと表に出てきた。
事はフィリエルが女王の血縁だからというだけの話ではない。
3人目の女王候補がグラール王国をつくるものから拒まれていると知り、フィリエルが、王女が、仲間たちが、それぞれの役目を果たす。
今まではただの乙女チックなファンタジーだったのが、だんだん複雑に広がってきた。
まだまだ続くつもりか。

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ゴースト≠ノイズ


2015年02月28日 読了
 教室の中で誰にも気にされず、「幽霊」と呼ばれる位置にいる主人公。
ある日の席替えで前の席になった少女とのささやかな交流で彼の高校生活は一変する。

 行動や思考の表現がとてもちゃち。
多用される情景描写や比喩は、ラノベらしい子供っぽさでうんざりするし、次へつながる展開として突きつけたはずの衝撃の事実は、結局「嘘でした」で終わる「夢オチ」的なつじつま合わせでがっかりする。

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