たったひとつのプレゼント


2009年12月21日 読了
 性同一性障害。著者の自伝的恋愛小説。
どんな悩みよりも打ち明けにくいし、乗り越えにくい。でもやっぱり人を愛したい。本当の自分の性で。

 考えが煮詰まり、追いつめられ、だけどそこから別の世界を見つけて進んでみようとする。

 前に読んだ「慎治」と同じだけど、こちらはなんだかあまりリアルに感じない。むしろこっちのほうが日記な分、よりリアルなはずなのに。

 テーマが自分には遠くて感情が及ばないんだろうか?でも「女」であり「恋」ならわかるはず。。。

 それはタイトルのプレゼントと、それをくれた男があまりにも胡散臭い気がしたから。当人にしかわからない感情があったんだろうけど、小説ならそれを感じさせないと意味がない。

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スクープ


2009年12月20日 読了
 飄々とした素行不良の遊軍記者。なぜかスクープをとってくる。
連続ドラマの原作にピッタリな感じで、敵なはずの警察からも不思議な信頼を得ている。

 時にアブナイ人たちに囚われ、命の危険を悟りながらもやっぱりどこか落ち着いた態度な彼が、犯罪を犯す若者を助けようとする。

 気がつくと読み終わっていた。

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慎治


2009年12月20日 読了
 同級生にいじめられ、万引きを強要された。
死ぬことしか思いつかなかった少年が、新しい世界を持つことで今までとは違う心の動きを感じる。

 ガンダムの話、プラモデルの話、サバイバルゲームの話。
昔からのガンダムを知っている人ならきっともっとおもしろいんだろうな。
 でもそれを別にしても充分楽しめる。

 考え方は一つじゃない。違った角度から見てみればいい。
でも違った角度から見るってどうすればいいの?
 そんなことを考える方法のひとつが描かれている。

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バッド・トラップ


2009年12月19日 読了
 詐欺師のリュウは、1千万ドルを超える値で引き取ってくれるという依頼のため、行方不明の秘宝・ケツァルコアトル像を探す。

 様々な手を打ち、じわじわと標的を追い詰めているはずが、「不確定要素」がそれを阻む。

 鮮やかに騙し、それに気づかないほどのタイミングで奪う。キャラクターの個性は象徴的でわかりやすいが、話はとても普通。特に目新しいこともなく、想像を超える所もない。

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ブロードアレイ・ミュージアム


2009年12月15日 読了
 ブロードウェイの片隅、目立たない小路の先にある博物館。
そこにいる不思議な過去を持つ人たちと、小さなプリンセスフェイの楽しい生活。

 この人の作品らしい、やわらかで不思議な物語。
どんなことも子供のイタズラのようにほほえましく、許せてしまう。

 小路幸也の作品はいつも、仲間の頼もしさを教えてくれる。

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同期


2009年12月06日 読了
 「タイプは違うけど、どこか共通点があるように思う。」
それが同期だろう?

 それなりに仲がいいと思っていた同期が懲戒免職になり、行方すら分からなくなった。

 刑事としてそつなく定年まで勤めればいいとどこかで思っていたのに、今はなぜか納得いかない。

 社会人になると、そんな風に思う時が来るのかもしれない。

 私にはもう同期はいなくなってしまったのが、妙に悔しくなった。

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空っ風


2009年11月29日 読了
 清水次郎長一家の小政を主人公に、親にうとまれ博徒一家に入り、喧嘩で身を立てつつ幼馴染の娘を生涯求めた男の生きざまを描く。

 幕末の情勢が激変する時代、淡々と語られる小政の心の内は迷いを含むものながら堅く、常に愛か憎かを尋ねる。

 「枯し紋次郎以降に初めて現われた次世代股旅物の傑作」と評されるものゆえに、時代小説としては「まっとうな」ものなのだろう。

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ホームタウン


2009年11月26日 読了
 ビルの最上階の顧客管理部<特別室>に勤務する主人公。
たったひとりの身内である妹から結婚するという手紙を受け取る。
しかし彼女は突然、携帯も財布も持たず、鍵すら置いて姿を消した。。。

 妹とその婚約者を探し、いろんな人に助けられながら掴む真実。

 この人の本は設定がとてもおもしろい。
苦しい過去もなぜか柔らかに語られているため、とげとげしい後味がまるでない。

 今まで読んだ中では割とあっさりとした感じを受けたが、ここに自分の居場所を持ちたいと思って頑張っている人の背中をじっと見つめているような気分になった。

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秋の大三角


2009年11月23日 読了
 中高一環の女子校に通う中2の女の子。電車の中で痴漢から助けてくれた上級生に憧れて、ただただ目で追う毎日。

 少女向け小説のテーマのような設定。あこがれの上級生の恋人が、「本当は生きていないんじゃないか」という疑問を抱く。

 石田衣良氏が選考した作品。彼の作風にも似た、軽やかな語り口。そのため、後に残る余韻は少ない。

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茶室殺人伝説


2009年11月22日 読了
 1986年に出版された作品の初文庫化。

 次期家元の婚約発表の席で起こる事件?事故?
茶道と武士の心を持つ流派の、戦国の時代から続く思いが起こす一つの時代の終わり。

 茶道の描写が、堅苦しくなく、しつこくなく、うんざりさせない。お手前を少しも見た事がないという人は少ないだろうから、全く想像できないということはないと思うし。

 一旦解決したと思われたが、その時点でまだページは1/3が残っていた。残る疑問をこちらにも確かに抱かせ、推理させる。
 
 脇役も心に残り、爽やかな後味。

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