道標 東京湾臨海署安積班


2018年04月25日 読了
 東京湾臨海署刑事課強行犯第一係、通称「安積班」と呼ばれるチームのリーダー・安積が、警察学校の頃から次第に成長して今の立場になるまでの出来事を所々切り取った短編集。

 安積がどんな意志を持って警察官となったのか。
若い頃の話はまだ未熟で、でも今の面影はちゃんとある。
それでも一つ一つが短すぎるのか、身近に感じる暇もない。
さらに視点が変わっても語り口は変わらないので人物の個性が出ていない。
 今につながる小ネタだとしても満足感は低かった。

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コンタミ 科学汚染


2018年04月20日 読了
 大学院生の圭は、優秀だがわがままで横暴な指導教員の宇賀神について、研究室の雑用を一手に引き受けていた。
それもこれも就職の恩恵があるため。
しかしある時、二人で東都工科大学の蓮見教授に招かれ、出向いた先で衝撃的な事実を知らされる。

 優秀だけど軽薄な上司に振り回される主人公はとても想像しやすく、滑稽なやりとりが楽しいが、最後はシリアスで悲しい事実を知らされる。
科学に向ける視線のずれを、合コンで知り合った女の子がスパッと言い当ててくれて爽快な反面、胡散臭い科学が身近にあるのも恐ろしい。

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さよなら、わるい夢たち


2018年04月17日 読了
 ジャーナリストの長月菜摘は、学生時代からの友人・薄井麻衣亜が失踪したことを知る。
理解のない夫、仕事をしようとしているのに子供を預かってくれるところがなく、実家にも頼れない。
追い詰められての失踪と思われた。

 麻衣亜を探そうと、付き合っている彼と一緒にあちこちを回る菜摘と、失踪が公となって目撃情報から動く警察との二つの視点があり、わざわざなぜだろうと思わせる。それがわかるのは結末になってからだが、意外性という意味では大いに驚かされた。
でも、なぜか読後感がすっきりしない。

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回帰 警視庁強行班係・樋口顕


2018年04月15日 読了
 樋口の通っていた大学の近くで車が爆発し、死傷者が出た。
これはテロなのか。
すると、上司である天童隆一管理官から「かつての部下、因幡が『テロを防ぎたい』という電話をかけてきた」と打ち明けられる。

 国際テロ組織に入ったという噂のある因幡のことを信じていいのか、そして合同捜査となって一緒に捜査をすることになった公安のことも信じていいのか、樋口が悩みながら仕事をする姿が、淡々と語られる。
そしてやっぱり同じような話が多いせいか、すでに読んだような気もしてくる。

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父子ゆえ 摺師安次郎人情暦


2018年04月14日 読了
 5年まえに妻のお初に先立たれ、神田明神下でひとり暮らす安次郎。
一人息子はお初の実家に預け、摺師として生計を立てていたが、ある日実家から急な知らせが届き。。

 もとは武家の出だったのに火事で家族を亡くして町人となり、そしてまた妻を亡くした安二郎。己が大事にしたいと思うものを見つめ、そのために力を尽くそうと気づく安二郎が、穏やかな語り口で切々と迫って来る。
力になってくれる周りの人たちもそれぞれ個性的で魅力的。
本当なら主役になるほどの人物も脇役として顔を出し、強い印象を残している。

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逃れの森の魔女


2018年04月10日 読了
 誰もが知る「ヘンゼルとグレーテル」
お菓子の家を作り、子供たちを閉じ込め、食べようとして逆にオーブンに閉じ込められてしまう魔女が主人公。
彼女は何故魔女になり、いとも簡単に殺されてしまうのか。

 なぜ魔女となってしまったのか、また目が良く見えないといった小さなことまで、子供たちを怖がらせるためだけにいた人物じゃないということが短い話の中でとても濃く描かれている。
物語を魔女の視点から見るということを、純粋に楽しめる。

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松ノ内家の居候


2018年04月03日 読了
 70年まえに松ノ内家に居候していた文豪が書き残したという幻の原稿。
当時の事がうっすらと記憶にある当主の貞夫は、松ノ内家に泥を塗る内容が書かれていたのではと心配するが。

 作家の孫だという男が突然やってきて、居候を始める。
しばらくは何をやりたいのかわからず興味がわかなかったが、当時の事がわかって来るたびに松ノ内家の面々に興味が湧いてくる。
前半はつまらなかったためにさほど期待をしていなかったせいか、それなりに面白い結末だったと思う。

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本格的―死人と狂人たち


2018年03月29日 読了
 数学科助教授の増田は、異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態するという奇妙な性質を持つ。
そして今の研究テーマを「覗き」によってデータを集めようとしていた。
自分の研究室の女生徒の部屋を覗き、その性生活を記録するという、おそらく誰にも理解されないであろうフィールドワークで。

 変態さが際立っているせいか、気持ち悪さはない。そしてそんな性質のせいで事件に遭遇しても身の潔白を証明し辛いというコミカルな部分が、増田を憎めないキャラクターにしていた。
二つ目の話も、最後まで意図がわからず、普通に講義としても興味深かった。
ただ、最後の補講については蛇足の様な気がして興醒めしてしまった。

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異常探偵 宇宙船


2018年03月24日 読了
 異常な事件を専門に扱う探偵、「宇宙船」。
彼女は常に頭巾をかぶり、頭の中に流れ込んでくる雑多な声から身を守っている。
そんな中、小児性愛者の女性「苺さん」が自殺する。
自殺を疑う同じ趣向を持った「お嬢さん」は、宇宙船に捜査を頼むが。

 奇怪なことが淡々と、空々しく描かれている。
探偵自身も、その部下も、周りの連中も、おかしな言動で周囲を煙に巻き、うんざりしながらも慣れてきた頃に解決する。
結局何だったんだと思わせることが目的?

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死と砂時計


2018年03月21日 読了
 国の政策として、死刑囚を集めて収監し、死刑まで行う終末監獄をビジネスにしたジャリーミスタン首長国。
そこに収容されたアラン青年は、老囚シュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わることになる。

 脱獄不可能なこの監獄からただ一人逃げ出した囚人を追うために街へ出かけたり、死刑前日に独房に入っていた囚人二人が惨殺されたりと、物騒な話ばかりだけど、鬱々とした雰囲気はなく、最後まで興味が薄れず楽しめた。
最後まで驚きが待っていたが、主義や考え方が違う人の気持ちを推し量るのはとても無理なのだとうすら寒い気持ちになる。
それでもイヤミスではなく、シリーズだったらぜひ読みたいと思えた。

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