フェルメールの憂鬱 大絵画展


2016年07月25日 読了
 ベルギーの田舎の教会から突如消えた、一度もホコリを払ったことがないような古くて印象に残らない普通の絵。
その協会の牧師から、絵を取り戻してほしいと依頼される詐欺師。

 日本の宗教団体が手に入れた絵は、いつものマネーロンダリングの駒と少し違っていた。
価値もわからず金に飽かせて集める美術品。それを信者たちから吸い上げた金と共に奪い去ろうとする詐欺師。
最後は鮮やかに根こそぎ盗っていくというものなのだが、どうも腑に落ちないところや違和感が多くあり、美術品や地方の歴史の蘊蓄がやたらと長い。
前作を読まないとわからないことがあるためなのかもしれないけど、とてもつまらなかった。

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選ばれし壊れ屋たち


2016年07月08日 読了
 デビューはしたものの、2作目が書けない新人作家の三崎小夜は悩んでいた。
自称クリエイターの元カレや、強烈な個性の漫画家、美人なのに自信がない先輩など、ちょっと壊れた人たちに囲まれて日々悩み続ける。

 突き抜けておかしな人たちが登場する。
彼らを知るたび思わず納得してしまいそうになる小夜だが、洗脳されつつあることにちゃんと気づき、わが身を振り返る。

 でも結局どうなるわけでもなく、ただ目の前のことをやるしかないというだけで、全体としてはいい読後感でもなく、また内容も残らない。

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シュレーダーの階段


2016年07月07日 読了
 突然誘拐され、殺風景な部屋であと2時間で死ぬと言われた。
加奈美はパニックに襲われながらも、もう一つの部屋に閉じ込められた「遠藤」と協力しながらパズルを解く。
 そして一方では、ある女性宅に侵入した少年たち。
部屋を荒らすうち、隠しカメラの存在に気づいて怖気づき、暴力に出ようとする。

 二つの場所での出来事を交互に綴り、最後は繋がるというよくある手。
でもパズルにも人間関係にも魅力はなく、うんざりするほどつまらない。
読む必要なかった。

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象は忘れない


2016年05月17日 読了
 地震と津波、そして福島の原発が壊れた日。
あの日を体験した人たちの生活と心を描く短編集。

 本当は何が起こっていたのか。
短編集とはいえ、『ジョーカー・ゲーム』ほどの充実感はない。
どれもきっちりと心の動きを描いてはいるけど、どれも尻切れで中途半端なため、共感も感情移入もできない。

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アド・バード


2016年05月01日 読了
 第11回日本SF大賞受賞作。
いなくなった父を探すため弟とふたり町を出たマサル。
そこでは、今まで見たことがないような生物と、異常に発達した広告がすべてを覆い尽くしていた。

 SFらしい設定で大冒険をするが、世界は気味が悪い生物と危険ばかりで感動や成長といった冒険とはちょっと違う。
奇妙な生物の生態をしっかりと描いていたりして大作だが、世界観になじめず入り込めなかった。

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臥龍: 横浜みなとみらい署暴対係


2016年04月14日 読了
 偶然出くわした半グレたちのケンカを仲裁したことから、ハマの用心棒と渾名されるみなとみらい署暴対係係長諸橋夏男と相棒の城島勇一は、関西ヤクザノ組長が殺される事件にかかわることになる。

 読み終えたらすぐさま忘れてしまう程度の量産刑事物語。
ただ著作が多いだけの、どれをとっても同じで区別できず、読んだことも忘れるような部類の作家になってしまった。
「蓬莱」や「海に消えた神々」、「殺人ライセンス」の頃の様なものをまた書いてほしい。

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臥龍 横浜みなとみらい署暴対係 (徳間文庫) [ 今野敏 ]
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みどり色の星


2016年04月02日 読了
 19歳の遠山エリカは、ある夜シャンプーを買いに出た帰りに出会った近所の少年と共に、少年のクラスメイトの家に連絡網を伝えに行った。ただの気まぐれで付き合っただけだった。
 ところが訪ねた研究所にたまたま居合わせた6人で、時空を超える旅に出てしまう。
たどり着いたのは太陽が緑に輝く星。

 幻の日々をすごす6人。個人個人、幻として終わらせる人もあり、異星人との生活を望む者もあり。夢なら何でもありだけど、突拍子なく突き進むのでついていけなかった。

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誰にも探せない


2016年03月29日 読了
 疎遠になっていた幼馴染が突然帰省してきて、あの頃はたせなかった冒険の続きをやろうと誘う。

 今ではなくなってしまった幻の村には埋蔵金があるという噂を信じて、少年の晶良と伯斗は山を駆け回っていた。しかしあるときから伯斗がよそよそしくなり、それ以来交流が途絶えていたのだが、突然の再会で強引な誘いをする伯斗を断り切れずに巻き込まれる大金と命を賭けた冒険。

 幻の村を探す冒険は楽しそうだが、リアリティのないヤクザ者がしらけさせる。

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誰にも探せない [ 大崎梢 ]
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寮生 ─一九七一年、函館。─


2016年03月18日 読了
 全寮制の高校へ進学した主人公。
無事入学して寮での生活を始めた矢先、2年生たちから「入魂式」と言われるものを受ける。
浮かれた気分をただし、寮生活の心得を授けるという名目で、下級生を怖がらせる儀式。
ところがその儀式には、「入魂式」をした者の一人が、必ず死ぬという伝説があるという。

 得意の刑事ものを若者に当てはめた感じで、推理や行動はとても幼いが上級生にもひるまず疑問をぶつける仲間と伝説に挑む。
 さほど障害もなく進み、あっけなく終わるため満足感も全くない。

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寮生 一九七一年、函館。 [ 今野敏 ]
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