検察側の罪人


2016年11月23日 読了
 有能な東京地検のベテラン検事・最上のところに、教官時代の教え子である沖野が配属されてきた。ある日、大田区で老夫婦刺殺事件が起き、その関係者の中に知った名を見つけてしまう。

 すでに時効となった事件の犯人らしき人物が、また殺人犯として現れた。
法では裁けない口惜しさが、最上を追い詰める。

 法の専門家でありながら、今までの正義をあっさりなげうつ上、素人のような隠ぺい工作をする。
ばれても構わないと思っていたのならもっと雑だったろうし、見つからければラッキーというならもう少し考えて行動するはずで。
最初からどうも入り込めないところがあった。
動機となった、時効を迎えた事件への思い入れもいまいち薄い印象で、全体的に上滑りしていた感じ。

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桜風堂ものがたり


2016年10月27日 読了
 百貨店に入っている書店で働いている主人公の月原一整。
万引きをした中学生を追いかけたことで、その中学生が車とぶつかり、怪我をした。
世間から攻められた一整は、書店を辞め、心の傷を抱えながら旅をする決意をする。

 うんざりするほど無駄に長い。
半分まで読んでやっと、タイトルの桜風堂にたどり着く。
意味がある長話なら伏線として楽しめるかもしれないが、くだらなくて疲れ、投げ出したくなるほどつまらない無駄話が多すぎて少しも楽しくなかった。
さらに、本屋の内情も、もうみんな知ってる事ばかりで新鮮でもない。
書いている本人だけが楽しい物語。

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空き家課まぼろし譚


2016年09月16日 読了
 古い空き家を保存・管理し、新しい住人を見つける課「空き家課」の職員・間宮明。
ひょんなことから上司の娘の三上汀に不思議な力があることを知る。
そして二人は、空き家を巡って出会う人々の、懐かしい思い出に触れる。

 ファンタジーの要素はあるけど薄っぺらい。
童話と言っていい感じの、とても都合のいい話。

 写真やまぼろしは絵本にすればきれいなものができそうな気がしたが、小説としては納得できる構成になっていない。

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ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編))


2016年08月04日 読了
 年に一度の大イベント、書店大賞授賞式。
成風堂に勤める杏子と多絵は朝から落ち着かなかった。しかしそこへ、書店員・花乃が訪れる。
「書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしい」

 すっかり有名になった例の大賞を舞台にした謎解き。
登場人物があちこちに別れて走り回る話なのでせわしなく、本屋の実情などはもう前にも書かれたものばかり。
興味を引くものはなく、ばたばして終わり。
探偵役の多絵も印象が薄い。
注目するべきところがしっかり出てないので全体的にうっすらした印象。
残るところがない。

ソロモンの偽証 第I部 事件


2016年07月29日 読了
 クリスマスイブに、一人の少年が死んだ。
自殺と結論づけられたけど、どこからか殺人だという噂が持ち上がる。
さらに、追い打ちをかけるように学校や先生、親が警察官のクラスメイトのところへ告発文が届けられる。
 真実を知る前に次々と起こる事件に、疑惑、不審、裏切りといったあらゆる負の感情がおしよせる。

 「模倣犯」と同じ、ただ長いだけで何もない。

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フェルメールの憂鬱 大絵画展


2016年07月25日 読了
 ベルギーの田舎の教会から突如消えた、一度もホコリを払ったことがないような古くて印象に残らない普通の絵。
その協会の牧師から、絵を取り戻してほしいと依頼される詐欺師。

 日本の宗教団体が手に入れた絵は、いつものマネーロンダリングの駒と少し違っていた。
価値もわからず金に飽かせて集める美術品。それを信者たちから吸い上げた金と共に奪い去ろうとする詐欺師。
最後は鮮やかに根こそぎ盗っていくというものなのだが、どうも腑に落ちないところや違和感が多くあり、美術品や地方の歴史の蘊蓄がやたらと長い。
前作を読まないとわからないことがあるためなのかもしれないけど、とてもつまらなかった。

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選ばれし壊れ屋たち


2016年07月08日 読了
 デビューはしたものの、2作目が書けない新人作家の三崎小夜は悩んでいた。
自称クリエイターの元カレや、強烈な個性の漫画家、美人なのに自信がない先輩など、ちょっと壊れた人たちに囲まれて日々悩み続ける。

 突き抜けておかしな人たちが登場する。
彼らを知るたび思わず納得してしまいそうになる小夜だが、洗脳されつつあることにちゃんと気づき、わが身を振り返る。

 でも結局どうなるわけでもなく、ただ目の前のことをやるしかないというだけで、全体としてはいい読後感でもなく、また内容も残らない。

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シュレーダーの階段


2016年07月07日 読了
 突然誘拐され、殺風景な部屋であと2時間で死ぬと言われた。
加奈美はパニックに襲われながらも、もう一つの部屋に閉じ込められた「遠藤」と協力しながらパズルを解く。
 そして一方では、ある女性宅に侵入した少年たち。
部屋を荒らすうち、隠しカメラの存在に気づいて怖気づき、暴力に出ようとする。

 二つの場所での出来事を交互に綴り、最後は繋がるというよくある手。
でもパズルにも人間関係にも魅力はなく、うんざりするほどつまらない。
読む必要なかった。

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象は忘れない


2016年05月17日 読了
 地震と津波、そして福島の原発が壊れた日。
あの日を体験した人たちの生活と心を描く短編集。

 本当は何が起こっていたのか。
短編集とはいえ、『ジョーカー・ゲーム』ほどの充実感はない。
どれもきっちりと心の動きを描いてはいるけど、どれも尻切れで中途半端なため、共感も感情移入もできない。

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