発現


2019年05月09日 読了
 昭和と平成、二つの時代で起こる、気も狂わんばかりの幻覚。
母が、その恐ろしい幻覚に悩み自殺。兄も、憔悴しきっている頃、主人公の私にも見え始める。ただ一人見えない父が、どうにかして原因を探ろうと動き始める。

 死んでいることがはっきりとわかる少女と、襲い来るヒガンバナという、いかにもホラーな幻覚。
父の理解ある言動で少しづつ過去を手繰る3人。
ホラーだけど気持ち悪いわけではないので次が気になる。
でも昭和と平成ヲ行ったり来たりしているために、人物がつかみにくい。
結末も放り出したようにブツリと終わり、なぜ登場人物はそこで納得できるのかがわからない。もう少し丁寧な描写がほしかった。

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有楽斎の戦


2019年03月29日 読了
 織田信長の弟でありながら戦が嫌いで、できれば茶の道で静かに生きたいと願う織田源五郎。
彼はどうやって数々の戦を生き抜いたのか。

 たいした手柄も上げられず、戦とは関係ないところで怪我をする源五郎。
そんな彼が戦に駆り出されて毎回弱気になりながらも、すんでのところで助けられるところが描かれる。余生は静かに茶をたてながら過ごし、息子からの提案に嬉々とする有楽斎の様子が微笑ましい。
でも戦ばかりの話は私には少しつまらなかった。

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有楽斎の戦 [ 天野 純希 ]
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under the bridge


2019年03月29日 読了
 マンハッタンで立てこもり事件が発生した。
ニューヨーク緊急出動部隊のブラウン率いる班が突入し、無事人質は保護され、犯人は射殺された。
ところが、NYに潜伏中の探偵・濱崎は、人質が旧知のヤクザの情婦だったことを知り、これには裏があると思い探ることにする。

 ハードボイルド小説『over the edge』の続篇。
前作の話は覚えていないけど、登場人物などの雰囲気は残っていた。
ブラウンと濱崎の、気に食わないけど信用してるというハードボイルド定番のやりとりが、重くなり過ぎずテンポよく進んでいくので読みやすい。

オネスティ


2019年02月20日 読了
 風が吹き抜ける丘の上に立つ双子のような2件の家。
そこに住んでいた二つの家族には、同い年の子供がいた。
彼と彼女は、二つの家の間に立つケヤキの木の下で、生涯の約束をした。

 互いに大好きだけど、恋愛はしない、結婚も、触ることもしないと言った約束を貫く二人。
純愛のように思わせるが、二人だけの世界を作り、周りを振り回している。
特にエピローグはおかしい。あれは単に続きで、エピローグというならもっと時間を区切って視点を変えてほしい。
途中で飽きたかのよう。

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オネスティ [ 石田衣良 ]
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お師匠さま、整いました!


2019年02月01日 読了
 年の離れた夫を亡くし、学者だった夫の代わりに寺子屋で師匠をしているお桃。
学問も算術も、それほど好きではないお桃だが、子供に教える程度なら大丈夫であった。しかしそこへ、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてきた。
 自分にはない発想をする春と、算術が好きで才もある生意気な鈴と接しているうちにお桃は気持ちが乱れていく。

 第11回小説現代長編新人賞受賞作。
しかし、なんだかお桃のキャラクターが一貫しない気がしてずっと違和感があった。
主人公の気質がはっきりしないのは、混乱もするし感情移入もできない。
算術の面白さは伝わるが、桃の人となりは伝わってこなかった。
それ以外の、夫や平助、春や鈴はとてもスッキリ伝わってくるのに、なぜだろう。

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お師匠さま、整いました! [ 泉 ゆたか ]
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回想のぬいぐるみ警部


2018年12月11日 読了
 ふわふわでもこもこなぬいぐるみを愛する美貌の刑事・音無美紀。
その事件にぬいぐるみが関わっていたら居ても立っても居られない。
そんな趣味を隠せていると思っているのは本人だけで、周りは薄々気づいていく。
 そしてぬいぐるみを眺めながらついでに事件も解決していく。

 個性的ではある。そして事件もそれなりに込み入っていて納得できる。
でもなぜか薄っぺらく、次の章へ行けば忘れてしまう。
事件やぬいぐるみや音無よりも、ほかの要素が多すぎるのかもしれない。

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戒名探偵 卒塔婆くん


2018年11月30日 読了
 寺の次男で、家業に興味のない春馬は、横暴な兄にこき使われながらも毎日平凡な高校生活を送っていた。
しかし彼には、妙に仏教に詳しい知り合いがいた。

 兄から頼まれた無理難題を、その友人はいとも簡単に解き明かす。
外場くんの宗教講義は私にはつまらないが、複雑で難解な宗教を不思議なほど簡単に説明する。
兄と幼馴染があまりにもな性格なせいか、外場の異様さが薄れて普通すら見えてくるため、なぜか話に耳を傾けてしまう。
 前作がありそうな雰囲気だったけど、読んでいてもきっと覚えてないな。

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戒名探偵 卒塔婆くん [ 高殿 円 ]
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悪玉伝


2018年11月01日 読了
 大坂の炭問屋・木津屋の主の吉兵衛は、家業を放って放蕩を尽くしていたが、ある日兄の訃報が伝えられた。
すぐさま実家へ向かい、我が物顔の番頭を抑え葬儀の手はずを整えるが、それがお家騒動にまで発展してしまう。

 最初から不穏な気配が続き、ずっと胸の悪くなるような出来事で一向に解決しない。最後には罪人となってしまう吉兵衛。
主人公の吉兵衛の視点からは悪人には見えず、混乱させられた。
辰巳屋騒動と言えば有名なようだが、ちっとも知らなかったせいであまり熱中できず、感情移入もできなかった。
お瑠璃の様子がもっと知りたい。

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悪玉伝 [ 朝井 まかて ]
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半端者—はんぱもん—


2018年10月28日 読了
 ススキノシリーズ『探偵はバーにいる』の俺が、まだ大学生だった頃の話。
学校にはほとんど行かず、3件の家庭教師と英語のゼミ、それに高田に習い始めた護身術の他は毎晩飲み歩いていただけの俺が、ある日であったフィリピン女性に恋をした。

 まだ探偵を始める前、何をしたいとも思わず、ただその日の金を稼ぎ、飲み歩いていた俺がだらだらと暮らしている様子がかかれているため、本当にただだらだらと続く。
フィリピン女性との恋も、終わりに差し掛かってやっと出てくるような、メインではない話。
この後、果たして俺はどんな思いがあってススキノで探偵を始めるのか。
その決意までは書かれていなかった。

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半端者 (ハヤカワ文庫) [ 東直己 ]
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ロスト・シンボル 上


2018年09月17日 読了
 キリストの聖杯をめぐる事件後、ハーヴァード大で教鞭を執る生活を送っていたラングドンに、旧友から突然に講演の依頼が入る。
会場に駆け付けたラングドンだが、そこで見たのは、空を指さす旧友の手首だった。

 相変わらずのラングドンだが、今度も強引に事件に巻き込まれる。
しかも手首を見つけさせた犯人は、フリーメイソンの謎を解かないと旧友・ピーターの命はないと脅す。しかたなく謎解きに走るラングドンがやっぱり危険な目にあう様はスピーディーで目が離せないが、宗教上の話はちっとも分からず退屈だった。
前作もそうだが、キリスト教の基礎知識がないと謎も暗黙の了解もタブーも気づけない。
だから発見も思いつきもヒラメキもなくて退屈に感じる。

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ロスト・シンボル (上) (角川文庫) [ ダン・ブラウン ]
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