土曜はカフェ・チボリで


2016年06月24日 読了
 オーナーが高校生だから、土曜日しか開いていない。
そんな変わったデンマーク料理を出すカフェ・チボリの常連となった客たち。
そこでは、それぞれが体験した不思議な出来事を話し合い、想像し、推理していく。

 アンデルセンの童話になぞらえ、様々な推理が飛び交うが、いくつかの仮説が出て満足するだけの想像で終わる。
あえて真実は明かさずにいるはずが、客たちが危ない目に合ってしまうとそうもいかず。。。
 子供らしい正義感で憤るオーナーに引きずられそうになるが、最後は大人の采配で終わらせる。でも、主人公の意見は寛容や慈悲というよりただの臆病で、それがスッキリしない終わり方となり後味の悪さとなる。

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怪物率


2016年06月15日 読了
 資産家の娘だったはずが、父が死んだために使用人に家から追い出された主人公のウサギ。
野良となったウサギがやっと見つけた住み込みの仕事は、おかしな噂のあるお屋敷だった。
そしてそこで仕えることになったのは、怪物に会うことが最大の目的だという息子のナイトさまで、彼と共に怪物の噂のあるところへと足を運ぶが。

 ホラーのようでコメディな、どこまで受け取っていいのか迷う一冊。
黒猫シリーズを描いている人とはまるで別人のよう。

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ピース


2016年05月30日 読了
 バラバラ殺人事件が起こる。
元警察官と物静かな青年がやっているスナック「ラザロ」でピアノを弾いていた女も殺され、それは連続殺人事件となった。
しかし捜査は難航し、一向に解決への道が見えてこない。
そのうち3件目の死体が見つかり。。。

 表紙とタイトルの意味がわかる頃、すべてが解決する。
しかし、刑事の坂森が最後に披露する推理は、謎が解けるようでどこか曖昧。
意味深な青年を描いたのは目くらましであっても、スナック「ラザロ」のマスターである八田が怪しいとすぐにわかる。
しかしそれも、八田の巧みな誘導と優れた知恵があればできたはずというだけの説明。
鋭い追及で解き明かしているようで何もしない坂森は、被害者の共通点や八田の仕掛けに気付いた人物と同じとは思えない。ベテラン刑事の割に日和見な最後ががっかりさせる。

 犯行の動機となったピースには説得力があり、印象にも残るが、それ以外はいまいち。

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札幌アンダーソング ラスト・ソング


2016年05月23日 読了
 キュウのドッペルゲンガーが現れた。しかも殺人容疑がかかっている。
窮地に立たされた警察官のキュウ。
調べていくうちに、どうやら山森が仕組んだらしいとわかり、キュウは先輩の根来たちと共に春のところに避難と援助を求めにやってきた。

 どうやら最後の事件。
山森とどんな対決があるのかと期待したが、そこはなんだか児童書の流れ。
殺人という言葉がたくさん出てきて物騒な割にあっけなく幕が下りる。
春や山森という天才を出したなら、もっと頭脳戦を期待してしまう。

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ひとつ目女


2016年05月11日 読了
 失業中のおれ。仕事を探して知人に頼みまくり、やっと手に入れた仕事は「逃げ出したラクダを探してきてほしい」。
ちょっと怖い思いもしながらも割と近くで見つけたラクダ。
それを連れてさっさと帰れればよかったのだが。

 ラクダと共にみつけたひとつ目の女と逃げることになったおれが、えらく遠回りして帰り着く話。

 ラクダはすっかりわきに追いやられ、メインはラクダと一緒にみつけたひとつ目女を連れて逃げる男二人。
ひとつ目女はタイトルになってはいるけどこれも脇のアイテムの一つで。
どうもちぐはぐな印象を受ける。

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ピロウボーイとうずくまる女のいる風景


2016年04月19日 読了
 どうしようもない母親から逃げて貧困のさなかにいた絢野クチルは、顔に傷があるキムラに拾われてピロウボーイとなった。いわゆる枕少年。
さらにクチルには、いきなり押しかけてきて住み着いた同級生の知紅がいた。

 キムラからの仕事で出会う女たちを癒す日々。
そして知紅とは体の関係のないままなんとなくくっついて寝ていた。

 石田衣良の『娼年』『逝年』にも似た雰囲気だが、政治の哲学的な思想が混じり、拳銃の非日常も含まれる、ごった煮的なものになった。
知紅との関係には一段落したので、結末としては日常に戻れるいい結果となった。

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寄居虫女


2016年04月15日 読了
 その女を入れてはいけない。
食いつき、吸い尽くされ、狂わせ、時には死に向かわせる。
その女の被害にあった者は数知れず。
いつの間にか家に住み着いている。

 ヤドカリというより寄生虫。
怖い怖いと思いながら読む。

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炎のタペストリー


2016年04月13日 読了
 隣国と長い戦争を続けるハルラント聖王国の西の端に住むエヤアルは、幼い頃に魔法を暴走させて炎の鳥に魔法を奪われていた。
そして<空っぽの者>となったエヤアルは徴兵吏によって砦に連れてこられ、洗濯女や食糧庫の管理、照明係などをして働きながら新しい力を目覚めさせていく。

 類まれなる記憶力のために、「話す祐筆」として戦に連れて行かされたエヤアル。
そこで見聞きしたことがエヤアルの考えを大きく変え、一つの決断をする。

 ファンタジー小説というより、童話。
自分の思いとは違う生き方を強いられて抵抗し続けるエヤアルが生き生きいていて、ただ前向きな明るい主人公ではないところに好感が持てる。
でも最後の決断は指示書めいた道徳観いっぱいの童話なところが残念。

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炎のタペストリー [ 乾石智子 ]
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インフェルノ(上)


2016年03月27日 読了
 目覚めると、知らない病院で頭を怪我して横たわっていたラングドン。
そんなことになった記憶がないまま何者かに襲われ、逃げ出した彼には、身に覚えのない持ち物と複数の敵が待ち構えていた。

 今までよりキリスト教や建築物、美術品の考察(蘊蓄)が多くて読みにくい。
また、ラングドンの記憶がないために何が起こっているのかさっぱりわからないままひたすら逃げるだけの上巻。

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GEEKSTER 秋葉原署捜査一係 九重祐子


2016年03月16日 読了
 秋葉原署捜査一係の九重祐子は、毎日オタクたちの愚痴を聞くだけの仕事に飽いていた。しかしその中で、いつしか噂になる名前が「ギークスター」。
秋葉原の街で、悪事を働いても警察の手が回らない奴らを私刑にするヒーロー。

 作者は方向転換したのか。
深みがないし斬新でもない。主人公の心情を表現することは巧みなのに、ストーリーに個性がなくなってきた。

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GEEKSTER 秋葉原署捜査一係 九重祐子 (角川文庫) [ 大倉崇裕 ]
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