手のひら、ひらひら―江戸吉原七色彩


2014年08月07日 読了
 吉原は遊女だけではない。働く男女がたくさんいる。
これから客を取るという娘を一人前にしこむ上ゲ屋、年季を積んだ妓に活を入れる保チ屋など、彼女らを支える者たちに焦点を当てた作品。

 始めはそんな彼らの仕事ぶりが興味を引いだが、だんだん中身がなくなり、読んだそばから忘れるほどの話になる。
吉原の人間関係がのぞけて、彼らのつながりもある短編集だが、読み進めるにつれて興味が薄れていく。

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写本室(スクリプトリウム)の迷宮


2014年07月23日 読了
 第十二回鮎川哲也賞受賞作。
旅の途中、ある画廊で巡り合った一枚の絵。そこから不思議なトリックの世界に引き込まれていく。

 作中の小説で殺人事件が起こり、そのトリックは本作の謎を解く鍵。
そんな入れ子状態が重なり、いつしかどこに立って何を見ているのか混乱させられながらも目が離せない。
歴史と地理と哲学が絡み合い、難しそうな出だしからは予想もつかないくらいあっという間に引き込まれた。
トリック自体はさほど目新しいものではないので馴染みやすかったのかもしれない。
そして最後はまた謎が手渡される。

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西の善き魔女5 闇の左手


2014年07月16日 読了
 王都から離れ、ユニコーンの子供と共に異端の研究者の下で暮らしていたフィリエル。
不可能だと思っていた他国の進行が予想もしないほどの規模で迫っているのに出くわし、捕らえられてしまう。
 ルーンとユーシスに助け出されたフィリエルは、女王に国の危機を知らせるために再び宮殿へと向かう。

 あらゆる危機が一度に起こり、今まで敵同士だったものが団結する。
物事が動き始め、絡まっていた揉め事がするりとほどけて解決していった。
クライマックスと書かれている通りこれで完結するような雰囲気だが、続きがある模様。

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偽恋愛小説家


2014年07月13日 読了
 思わずうっとりと目を閉じるほどのロマンチックな文を書く恋愛小説家・夢宮宇多。
その夢宮先生の担当になった編集者の井上月子は、整った外見とは裏腹な毒を吐く夢宮先生に振り回されていた。

 一つ一つの章が、誰もが知る王子と姫の物語をなぞり、物語に隠されたその時代の風習や常識をもとに本当の意味を探る。
ただ美しい恋愛物語だと思っていたものが、実は残酷な時代の風刺だったりすることはよくあることで、小さい頃はただ憧れていた話にそんな考え方もあるのかと考えさせられる。
文学は時代と共に解釈が変わる。
 そして夢宮先生のトリックで、恋愛小説がミステリに変身する。

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ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖


2014年07月10日 読了
 道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆずは、二人で目利きを競いながら成長している。

 二人の目利きは物だけじゃなく、人も見る。
時に目利き勝負をしながら、二人は世の中の妙を知る。

 目利きによって助かる物や人。それらを柔らかく優しく描いているのでこちらもあたたかい気持ちになるが、時に無茶な賭けを吹っ掛け、小さな知恵と細工によって勝ったりもする。
そんな賭けは人生の大勝負ですればいいのに、この二人は割と簡単に始めてしまう。
自信を付けるというよりただの博打のような感じで、手堅い商いとはいいがたい。

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村上海賊の娘 下巻


2014年07月08日 読了
 いよいよ戦へ。
海上での、船での戦いは陸とは違う技が必要になる。
それぞれの秘技を駆使し、一度は共に酒を飲んだ相手との戦いは壮絶。

 戦の場を恐ろしいと思っていた景もやがては自らその中に飛び込んでいき、敵の大将と長い一騎打ちに臨む。
 戦いの様子が細かく書かれているのでリアルに思い描くことができた。
でもこれは映像で見た方が楽しそう。

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ないたカラス


2014年06月25日 読了
 江戸で再会し、荒れ寺に住み着いて偽の和尚と寺男になりすました幼馴染の二人。
老け顔でお人好し、ちょっと頭の足りない三太と、ちゃっかり者で皮肉屋の弥吉が千里眼をうそぶき、うまく立ち回ってやってくる相談者から金をせしめる。

 おおっぴらには言えないことをしている二人なのに、なぜか周りからは信頼され感謝される。嘘はついているけど人を殺さないし悪事も働かない二人はなぜか憎めない。

 相談にやってくる夫婦も問題も多いけどそれなりにお似合いで、うらやましかったり悔しかったり。
右往左往する人間を上からからかうカラスがちょうどよく客観視してくれている。

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GOSICKs II ──ゴシックエス・夏から遠ざかる列車─


2014年06月18日 読了
 バカンスのためにほとんどの学生が学園からいなくなり、人気のない芝生の上で、ヴィクトリカは人目を気にせずゴロゴロする。

 普段は入れない一弥の男子寮の廊下や、学生と出くわす恐れのある食堂や庭などで、ヴィクトリカは今日も謎を欲しがる。

 コロッと転がっていきそうなヴィクトリカと、和服姿でレースの日傘を掲げる一弥の様子が目に浮かぶ。
誰にも邪魔されない、夏休みだけの自由。

GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神ー


2014年06月18 読了
東の島国から、ヨーロッパの小国ソヴュールに留学してきた一弥。
異国の地で彼は、まだ馴染めずにいた。
そんな時、寮母さんから急に買い物を頼まれて村に向かっていた一弥は、思わぬ事故に出くわす。

 一弥がヴィクトリカと出会うきっかけとなった事件。
今まで語られていなかったのかと不思議に思うほどの出来事だが、セシル先生のとっさの行動が二人の人生を変えることになる。
春の日差しの柔らかさがピッタリなあたたかい思い出たち。

朱龍哭く 弁天観音よろず始末記


2014年06月06日 読了
 辰巳芸者の娘で長唄師匠のお蝶。
母が妾であったため父とは一緒に住むことはなかったが、町方与力の父が死に、その後からなぜか野党に襲われるようになった。

 与力を継いでいる兄と、薙刀の使い手の兄嫁。
二人は持ち込まれる町の揉め事始末にお蝶を巻き込む。
そのうちに父の死と関係がありそうな出来事とぶつかり、お蝶は隠されたそのわけを知ろうと奔走する。

 痛快というほどでもないが、じっとしていることが苦手なお蝶が動くと陰謀も動く。
お蝶を見守り、助けたいと動く者たちも加わって大捕り物となる。

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