2014年05月31日 読了
第22回鮎川哲也賞受賞作。
放送部部長が何者かに殺害された。そこは旧体育館の壇上で、周りの目や鍵など、いわゆる密室だった。
憧れの先輩が犯人にされそうだと知り、柚乃は学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼む。
頭脳以外はダメ人間の伝馬とのやりとりが面白い。
推理は可能性を全部取り出してからひとつづつ潰していくという方法でミステリとして王道の方法だけど、可能性はもっとあると思わせてしまうところが少し甘い。
|
読書と手芸の記録
2014年05月31日 読了
第22回鮎川哲也賞受賞作。
放送部部長が何者かに殺害された。そこは旧体育館の壇上で、周りの目や鍵など、いわゆる密室だった。
憧れの先輩が犯人にされそうだと知り、柚乃は学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼む。
頭脳以外はダメ人間の伝馬とのやりとりが面白い。
推理は可能性を全部取り出してからひとつづつ潰していくという方法でミステリとして王道の方法だけど、可能性はもっとあると思わせてしまうところが少し甘い。
|
2014年05月26日 読了
蝦夷松前藩の家老の妻だった絹。
夫が藩内のいざこざで死に、息子は行方知れずになったと聞き、単身深川へやってきた。
行商をしながら息子を探す絹。
生活のためにあちこちに出入りし、顔見知りも友もできて3年も経った頃、やっと息子の手がかりをつかむ。
女の生き様。
心を許せる友との語らいや、静かに育ってきた愛情。
それらが息子と出会えた後どうなるのか。不思議な縁が絹を動かす。
|
2014年05月14日 読了
25世紀、陸地の大部分が水没した世界。
少ない物資を奪い合う人間は、陸地に生きる民と、生物船<魚舟>と共に海で暮らす民とに分かれた。
そしてさらに地球すら危機にあるという発表がなされ、人々は【その日】に恐怖し、さらに物資を蓄え始める。
明らかに枝分かれして進化した2種の人間が、言葉は通じるが故に衝突する。
物語の世界に入り込めるまでは理解できない言葉も多く戸惑うが、その後は夢中であっという間に読んでしまった。
ただ、ザフィールの人格の変化は不自然。環境のせいというには違和感がありすぎた。
これには前作があるらしいのでそちらも気になる。
|
2014年05月08日 読了
竜退治に南の国へと赴くユーシス。フィリエルはルーンを追って南へ行く。
共に旅をする傍ら、フィリエルはユニコーンの子供に懐かれて道連れとなり、女王の石とは、異端の物語とはなんだろうと思い始める。
竜に襲われて命の危機を感じたとき、きっとルーンは来てくれると思い込むフィリエルと、その通りに現れるルーンは不自然なくらい都合がいいが、世界の端にある壁に引き込まれる様子などはとても不思議で面白い。
|
2014年05月06日 読了
女学校を退学になったフィリエルは、女王候補アデイルと共に王宮で暮らすことになった。
なかなかなじめないフィリエルは、夜会での出来事がきっかけでアデイルの兄ユーシスと噂になり、プロポーズされる。
自分の望みをかなえるために道を決めたはずなのに、王宮での生活に次第に違和感を持ち始めるフィリエル。
そしてやっと自分の気持ちを取り戻し、王宮を去る決意をする。
|
2014年05月06日 読了
幼馴染のルーンを守るために女王候補の伯爵令嬢アデイルへの協力を決めたフィリエルだが、貴族の教養を身に着けるために付けられた家庭教師を困らせ続け、その結果女学校への編入させられる。
女ばかりの園学校では、貴族階級の優雅な雰囲気とは裏腹に、陰謀渦巻く小さな宮廷のようであった。
駆け引きも裏工作も作り笑顔もしたことがないフィリエルにとって、そこはまるで魔女の巣窟のようであり。。。
だんだんと表舞台へ引き上げられるフィリエル。田舎の娘がある日突然地位を得る王道のファンタジーそのままで、安心して読める。
|
2014年04月29日 読了
札幌、真冬の雪の中で全裸で発見された遺体。
解剖で発見されたおかしな死因に困った刑事の根来と仲野は、法医学者の志村から紹介された「変態の専門家」を訪ねる。
紹介された天才は、とんでもなく美しい少年・春。
しかも3世代前からの記憶があるという。
彼の記憶と頭脳で犯人を刺激していく春は、犯人との危険なやりとりさえ楽しみ、時に父や祖父の人格にすら変貌する。
突飛な設定でラノベ方面だけど、小路幸也の文章で読むと深い意味があるように思えてくる。時代や伝統は繋がっているけど、ずっと昔の出来事はやがて少しづつ薄れていく。新しいものを歴史に加えながら。
それは春の記憶のように。
|
2014年04月26日 読了
物部の姫・広足(ひろたり)は、ある日、家が焼け落ちて行き場を失った。
験者の集団である賀茂の一族の長・大蔵(おおくら)に弟子入りすることになったが、大蔵は蘇我氏への反乱を企んでいた。
その後、大蔵の危機をきっかけに小角の弟子となった広足は、山の神、その神を食らうもの、様々なものたちとの出会いによって変わっていく。
神、人、獣、妖、それぞれと関わることで自分の世間の狭さを知り、考えの浅さを知る。
流れに巻き込まれる時は素直に従う方が、たくさんのものが得られるような気がする。
|
2014年04月12日 読了
真夜中にだけ営業するパン屋さんには、いつも飄々と笑っているオーナーの暮林と、口が悪いが腕はいいパン職人の弘基がいた。
そこへ、母親に放り出された女子高生の希実が居候することになり、夜な夜なパンの香りに引き寄せられておかしな客が集まりだす。
ラノベにしては面白かった。
読むだけで苦しくなるようなネグレクトや家庭内暴力も、おいしいパンと共に暖かく出口が見えてくる。
希実のクラスメイトの話は中途半端で流れを止めるが、こだまの父だという男が、最低な人間としてわかりやすく登場するので、他のどうしようもない人たちが愛しく思える。
|
2014年04月03日 読了
さっぱり仕事が入らない貧乏探偵の法間謙一。
仲間からはホウカン(幇間)と呼ばれる彼は名前の通り、太鼓持ちで渡り歩いてきた。
おべっか、お世辞を口を挟む間もないほどしゃべりつくし、その口で人をいい気分にさせ心を許させ取り入っててしまう。
ハードボイルドとはまた違う探偵。
聞く方も言う方も疲れ切るおべっかの連続で、ふと漏らした言葉や気を許した途端にしっぽをつかむ。面白いけど、読む方も疲れた。
|