先生の隠しごと―僕僕先生


2011年06月21日 読了
 旅をする僕僕たちの前に、美しい王が現れる。理想の国を築いたと言うその王は、僕僕を妻にと望む。
 僕僕と王弁の距離が初めて遠くなり、道を違えることになるかもしれない出来事。

 仙人には長い過去がある。
その思い出を知る者はほとんどいない。

 初めて僕僕が思い出に引きずられる。
仙人でさえも足を止める過去と、最後まで王に振り回された一行。

 今までと違った余韻が残る。

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エチュード


2011年06月14日 読了
 渋谷と新宿の駅前の交番近くで起こった通り魔事件は、コピーと言っていいほどよく似ていた。警視庁捜査一課・碓氷弘一は、その一致性に着目した心理捜査官・藤森紗英を相棒として捜査を始める。

 警察官の目の前で起こって現行犯逮捕されたはずの事件に、犯人の印象や、事件の記憶のすり替えでうまく煙に巻く犯人。警察庁から派遣された若い心理捜査官の活躍を、相棒となった主人公の目から語る。

 主人公のつぶやきが特徴のこの人の作品のなかでは、少し甘い作りだったように思う。
 心理捜査官があまりにも幼く、人物としての魅力がほとんど感じられなかった。

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バチカン奇跡調査官


2011年06月01日 読了
 世界最小の独立国・バチカン。
そこには、日々世界中から持ち込まれる「奇跡」の申告を調査し、認めるかどうかを判断する機関があった。

 ある日「処女妊娠」の申告を受け、調査に向かった平賀とロベルト。そこで見た総て。。。

 少々ラノベの空気が漂うが、いろんな要素が加わってだんだん面白くなってくる。
 二人がスカッと名探偵を演じる部分はなかったが、静かに頼もしい上司が万事治めてくれるという感じ。
 その分ちょっと物足りなかったけれど、満足感はそれなりにあった。

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プラ・バロック


2011年05月29日 読了
 第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

 レンタルの冷凍倉庫から、棚に整然と並んだ14体の集団自殺体が見つかった。
機動捜査隊の刑事であるクロハは、その捜査に加わるが。。。

 人物の名前がカタカナで表記されているため、イメージとして区別しづらかったが、事件の内容に次第に興味が沸く。
 最初から最後まで雨の景色が浮かび、今の季節にピッタリだった。

 続きもあるらしい。

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ホテルパラダイス銀河


2011年05月19日 読了
 父が亡くなり、大学進学をあきらめた西島京志に、
経営しているホテルを手伝うことを条件に父の知人が費用を出してくれることになった。

 そこは小さなビジネスホテルだが、なぜか近隣の駆け込み寺となっていた。
 それらを解決すべく、姿を現さないオーナーから西島京志に指令が飛ぶ。

 ただの弱気な田舎者かと思ったら、きっちり冷静に周りをまとめる西島京志。
 ガサツだけどなんだか可愛い雰囲気のある話。

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はじまりの島


2011年05月12日 読了
 チャールズ・ダーウィン。進化論。ビーグル号。
その功績は大きい。

 そしてそのダーウィンが、探偵をしている。
ただの冒険史かと思っていたら、まずダーウィンの人柄に興味が沸いた。
 その後不思議な事件へとつながるのだが、私には探偵役に落ち付いてしまったダーウィンが何だか物足りなかった。

 ワトソン役といえる画家のアール氏による回顧録風に書かれているため、ダーウィンの存在がより身近に感じた。

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コンビニ・ララバイ


2011年05月07日 読了
 儲ける気のあまりないコンビニ店長と、店にやってくる人たちのお話。

 何か大きな出来事を経験し、その喧騒が過ぎたあとの静かな時間を描く様子は「珈琲屋の人々」に通じるところがある。
 
 それぞれの話は切なかったり力があったりでおもしろい。
 
 しかし、体の繋がりに関する女性の意見の描写がやたらと下品で違和感がある。
 極論過ぎて、作者はこんな考えを持っているのかと思うとあまり近づきたくはない。

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犬はどこだ


2011年05月02日 読了
 事情により仕事を辞め、引きこもり気味だった主人公が調査事務所を立ち上げた。仕事内容はただ一つ「犬探し」。

 そのはずだったのに、舞い込んだ依頼は人探しと古文書解読。
押しかけ部下となったハンペーとそれぞれ勝手に調査していたはずが、いずれ交差しやがて事件に。

 やる気のない主人公とやたら軽いハンペー。
少しずつ深刻味を増していく調査。
 うっかり浅瀬から足を踏み外したような深みへのはまり方が楽しかった。

 タイトルが、そのまま主人公の性格っぽい。

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長弓戯画


2011年04月30日 読了
 人ごみの中、和弓に射抜かれ死んだ男。
たまたま目撃したために巻き込まれる少女漫画家とその編集者。

 「田舎の刑事」シリーズと同じように、サドの編集者とヘナチョコの漫画家先生のやりとりが楽しい。
 キャラがよく生きているので、少しづつ謎が解けていくのはそれなりに爽快で、最後は意外な人物が犯人、とそれなりに定石。

 だが、最後の意外性がいまいち後味がよくなかった。
そのせいで続きがありそうな余韻も興味が半減する。

トライアングル


2011年04月24日 読了
 せっかくなった医者を辞め、インターポールに就職が決まった主人公が、研修で日本に帰ってきた。
 その時出会う、初恋の女の子。
しかしその子は、死んだはずだった。。。

 全ては後遺症のように、みんなの中に残っている事件。

 読むほどに、「このストーリー、知っている気がする」と感じていた。初めてなはずなのに。
調べてみるとドラマになっていた。もしかしてそれを観たのかもしれない。全く記憶にないけれど。

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