まほろ駅前多田便利軒


2009年09月06日 読了
 東京の片隅にある便利屋。そこの主である多田のところに迷い込んだ高校の頃の同級生・行天。
 一生懸命今を幸せだと思いこませようとしているような主人公と、本当に迷い猫のような行天の生活。

 カーテンごしに家族と話をしているような感覚で、どこか現実でないような雰囲気をもったお話。

 楽に読める。思いのほか爽やかな読後感が残り、疲れたなぁと思った夜に手にとったらよく眠れそうだと思った。

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殺人の四重奏


2009年09月01日 読了
 革命期フランス、作者のもっとも得意とする分野。

 宮廷内、微笑みと耳触りの良い会話に隠された思惑を読み取れない者は利用されていく。

 市井であってもそれは同じ。薪をふんだんに使える生活がしたい、ドレスをまとい、柔らかなベットで眠る生活を。。。
 
 そして今に生まれついた運命を変えたいと望む。

 短編であるため、各物語はあっというまにすぎてゆく。でも毎日はたぶんそんなもので。それでもフランス王妃マリー・アントワネットが脇役で登場する物語は、印象深い。

 信念を見つけ出すために費やすエネルギーは、静かに疼く種火のようなものかもしれない。潜む力が香り立つような目をした男の魅力が描かれていて素敵だった。

 でもやっぱり長編が読みたい。

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夜騎士物語―Night Knight Story


2009年08月28日 読了
 ホストだった父親のようにはなりたくないと思ってホストになった男に、ホストに心を壊された母をもつ男がホストになって戦いを挑む。

 私が女だからか、なんだか違和感と嫌悪感のまざった内容だったけれど、途中で投げ出すほどではなかった。結末はそれとなく窺えたし、流れも予想の範囲を超えなかったけれど、文章は読みやすかったし、集中して読めた。
 

 ただ、「この人はこんなもんではない」という意見が多かったので、ほかの作品も読んでみたいと思う。

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アコギなのかリッパなのか


2009年08月24日 読了
 21歳の大学生・聖が、元大物国会議員・大堂剛の事務所に事務員として勤めている。
 引退したとはいえ、その事務所には大勢の弟子たちから様々な「問題」がもちこまれてくる。
 
 わかってみれば「なぁんだ」と思うような小さな事件だけど、ほっておけばややこしい問題にもなりかねないようなことを、聖は面倒くさがりつつも解決していく。

 種明かしは推測もさせないで最後までとっておくのはこの作者のいつもの手。
 主人公は聖なのに、大堂剛でいる気分にさせられた。爽快。

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千里眼 優しい悪魔 上


2009年06月13日 読了
 久しぶりの千里眼。
登場するたびにだんだん憎めなくなってくるダビデとの共同作戦の話。相変わらず鮮やかな解決でした。
 でも、今までの作品では冒頭に出てきた人や出来事が必ず最後に出てきて、最初と最後が見事に繋がったのだけど、今回はそれが薄かった。そのため、下巻だけでも充分だったんじゃないかという印象。
 まだまだ続きそう。ちょっとクドイけど。

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とっても不幸な幸運


2009年05月31日 読了
 新宿の片隅にある酒場、その名も「酒場」。
そこに集う常連と店長の手になぜか転がり込む、100円均一の「とっても不幸な幸運」という名の缶。
 その缶をあけると何かが見え、何かが起こる。
缶を開けた人の運命を少しずつ変えていく、短編集。

 「しゃばけ」の作者であるがゆえに短編は得意なのだろう。
一つ一つがきれいにまとまり、それぞれの主人公の人生を鮮やかに語りだす。家族のようにそっけなく、信頼し、助けあう人たちの歴史。
 ただ、短編であるがゆえに印象は薄く、余韻も少ない。
この人の長編をもっと読みたいな。

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セカンド・サイト


2009年05月17日 読了
 第20回サントリーミステリー大賞受賞作。
キャバクラのボーイである主人公が、キャストの女性たちの間に流れる暗いしがらみを辿っていくうちに出くわす事実。
 最初はストーカー被害の相談だったり連続通り魔事件への危惧だったりしたものが、やがてすべてを繋げる大きな輪の中に取り込まれていく話。

 ミステリーというだけあって、最初は些細なことが次第に大事へと発展していく様は見事。
 満足度は低めに設定したけれど、初作品なら上等。
他の作品も是非読みたい。

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山猫


2009年05月16日 読了
 恩師だった人が殺された。
フリーのライターである主人公に依頼された窃盗事件の、初めての被害者。
 「山猫」と名乗るその窃盗犯を追っていた主人公の前に、本人が現れた!

 八雲シリーズの作者らしい文で、豪快に読める一冊。
八雲に比べると下ネタも豪快。

 でも清々しいくらいの展開で見事に終わらせてくれる。
不快な余韻を一つも残さないのは上手い。

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永遠の森―博物館惑星


2009年05月04日 読了
 どうにかして月を地球と同じ軌道上にもってこれたら住めるようになるんじゃ。。。

 昔、こんなことを考えていました。

 この本はそんなイメージに似ていたので思わず手に取った。
「地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館」
女神の名を冠した各部署、脳内手術によりデータベースに直接接続できる主人公たち博物館職員。

 先端技術と美術品という、新旧の美をうまく取り混ぜた作品。でも短編集で解決も早いため、ちょっと物足りない。
 最後の章が美しく締められているのでまとまった1冊となっているが、この設定で長編だとかなりおもしろいものが出来ると思う。

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星の綿毛


2009年05月02日 読了
 叙情SF小説。大地が砂に覆われている世界、7本の脚を持つ蜘蛛のような甲殻生物に乗り、マチからムラへとドウグを売りに来る交易人。ムラではハハと呼ばれる銀色の巨大な装置が種をまき、それに寄生するように人々が暮らす。
 SFの世界にどっぷりとつかることができ、現実を忘れ一時、美しい夢を見た気分です。注目すべき人物が誰なのかをさらりとかわしながら淡々と語られる文が印象的です。

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