女たちの江戸開城


 慶応四年、鳥羽伏見の戦いに敗れた十五代将軍徳川慶喜が江戸へ逃げ帰って来た。
江戸へ向かって官軍が進発しようとしている中、慶喜の弱腰を非難する者もいたが、慶喜は江戸を戦場にしたくないと言い、自ら蟄居する。
そこへ、慶喜から朝廷との仲立ちを頼まれた皇女和宮の密命を受けた大奥上臈・土御門藤子が、京都へ向け命がけの旅をすることになった。

 藤子が持つ和宮の親書を、京都の帝へ。なんとしても。
人がたくさん死んでいく戦をなんとかして止めるため、そして和宮を京都へ戻すため、藤子は急ぐ。
その旅の中で護衛としてついてきた者たちとの絆も生まれるが、死んでいく者もいた。
怖い思いを何度もしながら、大奥で地位のある立場だった藤子がやり遂げるのは2度の旅だったのだが、話は旅のことだけだった。
江戸開城というタイトルなのに、城のことも大奥のこともほとんどなく、ただ急いだ命がけの旅のことばかり。
藤子と仙田のことは気になるが、タイトルとの違和感が大きかった。