2012年04月22日 読了
奇妙な旅のお話。
人々が旅をするようになり、宿や温泉の道中記が売れるようになった時代。和泉蝋庵は、旅をしてそれを記事にしていた。
だが彼には一つ、とても面倒な癖があった。
話は彼の旅の連れとなる相棒の側から語られる。
蝋庵の迷い癖のために妖しい町にたどり着き、不思議で恐ろしい体験をするも、その街へは二度と行けないため本にならない。
ホラーだけど、お伽話だからグロさはない。
個人的には、ついている栞が気に入りました。
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読書と編み物の記録
2012年04月22日 読了
奇妙な旅のお話。
人々が旅をするようになり、宿や温泉の道中記が売れるようになった時代。和泉蝋庵は、旅をしてそれを記事にしていた。
だが彼には一つ、とても面倒な癖があった。
話は彼の旅の連れとなる相棒の側から語られる。
蝋庵の迷い癖のために妖しい町にたどり着き、不思議で恐ろしい体験をするも、その街へは二度と行けないため本にならない。
ホラーだけど、お伽話だからグロさはない。
個人的には、ついている栞が気に入りました。
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2012年04月06日 読了
母親から、そろそろ自立しなさいと出された先は、2年前まで医院をしていた近所の小助川先生が始めたシェアハウス。
そこへ集まってきた同居人たちとの、ほんのり暖かくて優しい時間。
ひどいことも起こったりするけど、それが悪意に繋がらない。
この人の本はどれも穏やかで人にやさしい。
読み終わった後も安心できて、誰かにたくさん話を聞いてもらった後のような気分になる。
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2012年04月04日 読了
≪船≫を降り、地上での生活になじむための適応化プログラムを受ける主人公。
≪船≫から持ち出した封印された書物を解析するのが仕事である。しかしまだ1ページも見ることができないまま自然発火により燃え尽き、そこから不思議な蔓科の植物が芽生えた。
書かれているものすべてが、表紙にあるレースのように幻想的。
子供の頃の記憶が曖昧であるのと似ていて、夢の中でうっとりと過ごす時間のようで心地よかった。
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2012年03月12日 読了
下半身不随になり、要介護認定をうけた玄太郎おじいちゃん。
足は悪いが口も頭も達者で、不甲斐ない相手には所構わずどなり散らす。その性格のために信望者も多いが敵も多い。
昔ながらの頑固老人といった感じで、無礼や無作法は余所者であってもかまわず叱る。
そんなおじいちゃんが、警察はあてにならんとばかりに事件に首を突っ込む様子は、表紙の絵そのものでほほえましい。
是非続きが読みたい。
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2012年03月02日 読了
出版社に勤める主人公の佳孝は、社内の配置転換でローティーン向け雑誌の「ピピン」編集部へ異動になった。
ピンクでキラキラでちっちゃくてたくさんの服や髪飾りや小物達の中で一人、眩暈を覚える。
文芸部門への希望と憧れを捨てきれないまま、中学1年から高校1年までのモデル「ピピモ」達と撮影と編集の日々に浸る。
いい大人の男がそんな雑誌に関わっているなんて友達には言えないし、仕事に胸を張れない。それでも割り切って仕事を進めていくうちに見えてくるもの。
いつもの本屋シリーズより数倍はおもしろかった。
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2012年02月05日 読了
ちょっと足を踏み外し、まともな生活から滑り落ちてしまった元大学准教授の男の名は、鏑木。
ヤクザに拾われたが杯を交わしたわけではない彼が、使い走りとして揉め事を調べて回る。
一般人でもなくヤクザでもない位置にいて、気楽な探偵のようで命の危険も、ややある。
五条作品にはちょっと珍しいタイプだった。
面白くて1日で読んでしまった。
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2012年02月04日 読了
クロハの、新米警官時代の短編。
クロハが前2作のようなストイックな捜査をする原点が描かれている。
寡黙で強面の上司が見せる、親のような接し方も、クロハの危うさを引きたてていた。
毎回、表紙の闇にうかぶ蝶が切ない。
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2012年01月15日 読了
ストリート・ギャングの亞宮は抗争で捕えられ、施設に入れられた。
そこは、巨大なドームで覆われ、囚人の自治が認められた不思議な刑務所だった。
どこにあるのか、名前はなんなのか、なぜ入れられたのか。
訳がわからないまま次第に慣れ、やがて奇妙な思惑を感じるようになる。
閉鎖された空間の、何者かが操る奇妙な自由の中で、何を起こさせようとしているのか。
全体を見回せないもどかしさの中で上手く立ち回る奴らの考えが、破壊する快感を分けてくれて、なぜかとても心地よかった。
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2012年01月04日 読了
元刑事の須賀原の目に留まったのは、こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、立ち尽くしていた少年。
彼が気になり、声をかけてから、二人は相棒となる。
死者が見えるために孤独を選び、常に下を向いて生きてきた少年と、己を律する手段を孤独とした元刑事。
軽いホラーかと思っていたら、暖かかった。
小路幸也が好きな人ならお勧めしたい。
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2012年01月03日 読了
宮内庁管理部大膳課で昭和天皇の食事を担当した著者の、18年間の記録。
料理人として修業を始め、縁あって宮内庁に雇われた彼が、普通では決して見ることのできない皇室の食事事情を覗かせてくれる。
ジャムのサンドイッチが好きだったり、私たちから見ると不思議なルールだったり、昭和天皇の人柄も覗き見れて、なかなかに面白い本でした。
鶏の頭を落とす際に、意地悪な先輩が誤ったふりをして渡辺さんの指をすとんと切り落としたという話が衝撃的だった。
それほどのイジメがあるところでさえ、料理への熱意があれば耐えていけるものなのか。
私は、無理だな。。。
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