2017年04月03日 読了
D県警が抱える64事件の爆弾を追う三上。
記者たちとの軋轢に頭を痛めつつ、長官視察の本意を知って憤り、ロクヨンで人生を狂わされた者たちの間を行き来する。
佳境に入るまでは、衝動が空回りして動く場面もあり、どうも一人で深刻になって走り回っている感が否めなかったが、結末には驚き、ここまで読んできたのがやっと報われたような気になる。
奥田 英朗の『オリンピックの身代金』と似た感じの小説だった。
|
読書と手芸の記録
2017年04月03日 読了
D県警が抱える64事件の爆弾を追う三上。
記者たちとの軋轢に頭を痛めつつ、長官視察の本意を知って憤り、ロクヨンで人生を狂わされた者たちの間を行き来する。
佳境に入るまでは、衝動が空回りして動く場面もあり、どうも一人で深刻になって走り回っている感が否めなかったが、結末には驚き、ここまで読んできたのがやっと報われたような気になる。
奥田 英朗の『オリンピックの身代金』と似た感じの小説だった。
|
2017年03月23日 読了
草は、引退したら「小蔵屋」の敷地に町の山車を入れる山車蔵を移転するという覚書を交わしていた。
しかし、今の場所の土地主の事情で早めたいといわれる。
でもそれでは、まだ店を続けている草には困ることになり、他の候補地を探し始める。
小蔵屋に不都合が出てくるかもしれないという状況から、草の母の問題にまで膨れ、年をとってもまだ苦労がこれだけ残っているのかとため息をつきたくなる。
草のパワーが1作目より少しづつ弱まっている気もしてきて、ちゃんとゆっくり時は流れているんだと思わせる。
|
2017年02月26日 読了
アメリカ図書販売協会(ABA)の年次大会で、ある作家がシャワー室で死んでいるのが見つかる。転んで頭を打った様子だが、死体を発見した友人のダライアス・ジャストは、殺人を疑う。
現代の小説ではあまり見ない、脱線や回りくどい説明が多いタイプ。
でもそれが、鬱陶しいとかつまらないと思わせないで素直に読ませる。それは最近ではほとんど出会わないので新鮮で楽しかった。
第一発見者のダライアスが、探偵ほどではないが疑問点を追及せずにはいられないと行動を起こし、真実を手繰り寄せる。最後は賭けのような危なっかしい行動だが、それが警察や探偵とは違うやり方といった感じで何とか切り抜ける。
作者本人が脇役として出てくるのも面白い。
|
2017年02月22日 読了
元外交官のレルヌ大公は、ある日拳銃自殺する。
残された娘のコラは、父の死によって急に明らかにされた自分の出生の秘密に振り回されることになる。そして、ロンドンで知り合い、友となった4人の男たちの正体がわかる頃、ルパンは最後の恋の結論を迫られる。
話題になった時には縁がなく、今やっと読めた。
推敲の途中らしい突飛さがあり、何度か行きつ戻りつして流れをつかみながらだったが、その分楽しめた。ジャンヌダルクやナポレオンとかが絡んで話が大きくなると胡散臭くなりそうだと心配したが、最後にルパンは大きなものを得て満足して終わる。
最初と最後の物語が同時に読めて、大変満足した。
|
2017年02月18日 読了
花簪職人の忠吉は、修行をしていた師匠が急死した後、店を追い出された。
長屋の店賃も払えなくなり、露頭に迷った忠吉を、幼馴染で僧侶となった大吉に拾われ、幼い頃過ごした寺に厄介になることになった。
寺男としての仕事と、「話を聞く」仕事をすることを条件に。
自分から働きかけることが下手で、煮え切らず、口下手で頼りないという情けない主人公だが、得意とする花簪で人の心を解きほぐそうと苦心する。
忠吉の代わりに怒り、行動する大吉と、二人を導く和尚、そして小さなさちとそらがこの物語に深みを持たせているが、忠吉は主人公の癖にあまりに何もない。簪と同じ小道具くらいにしか感じられない。
|
2017年02月16日 読了
忠次たちが住む溝猫(どぶねこ)長屋には、最年長の男の子たちが祠を毎朝お参りする決まりがある。
その訳は。。。
祠の不思議な力のせいで、たいていの子供は早々に逃げ出すのだが、今年の子たちは違った。
一つ解決してもそれは続き、いつしかすべての幽霊たちの訳がつながる。
4人の個性的な子供たちの掛け合いが楽しい。
特に「・・・お歩」は何度思い出しても笑ってしまう。
幽霊話でこれだけ楽しいのも珍しい。
|
2017年02月02日 読了
15で親に死なれ、奉公先でいじめられた主人公の結は、長屋で首をくくろうとしたところを元芸者で今は髪結いをしているお夕に助けられる。
それから結は自分の不器用さを恨みつつも髪結いの修行に励んでいた。
まだ世間知らずな結に、お夕は髪結いの技だけでなく人生を教える。
始めはすぐに謝ってばかりいた結も、次第に自分の考えを言えるようになり、生きる意味を見出していく様が微笑ましい。
お夕の強さにも惹かれる。
|
2017年01月31日 読了
我が家の、ささやかな問題。
『夫は仕事ができないらしい』と気づいた妻が、会社で嘲笑される夫をなんとか元気づけようとする。
新婚なのに家に帰りたくない夫や、急にUFOが見えると言い始めた夫など。
大事ではないけど、家族にとっては大問題な出来事を、深刻にならずになんとか解決しようとする家族の話。
みんなすごく前向きで、そんな方法もあるのかと思わず唸る。
大げんかになったり、離婚にまで発展するんじゃないかというような事にも、ちゃんと向き合う主人公たち。
それがとても面白い解決法で、嘘くさくならずに明るく行動する人たちばかりで、根本的な解決じゃなくても、いい方向へ向かって行けるんじゃないかと思わせる。
気分が明るくなる。
|
2017年01月26日 読了
第26回鮎川哲也賞受賞作
航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”のテスト飛行中、乗組員全員が死亡するという事故が起こった。
開発者も技術者も死亡したため、軍事秘密である“ジェリーフィッシュ”には謎が多く、事故機は軍があっという間に回収していったため証拠も少ない。
王道のミステリー。
いくつもの死体があり、つじつまが合わない事象が多く、秘密も多い。
解り易いミステリーだけど、面白くて一気に読んだ。
“ジェリーフィッシュ”の神秘性がまた魅力的。
最後がちょっと納得いかない。
|
2017年01月18日 読了
上流階級第二弾!
富久丸百貨店の外商員として仕事が面白くなってきた主人公の鮫島静緒。
ゲイの桝家とのシェアは続いているが、そろそろ期限の1年が迫ってきていた。
そんな時、桝家の実の母だという女性が訪ねてくる。
今度もてんやわんや。
桝家の家の揉め事に巻き込まれそうになり、また仕事で提案した企画が通ってしまったりと、今度も息をつくのも忘れて読み切った。
よくあるお仕事モノとはちょっと違う雰囲気を纏っているので、「またか」というガッカリ感がない。
途中、考えさせられるところが多いので何度も読み返した。
|