青炎の剣士 (紐結びの魔道師3)


2019年01月31日 読了
 相変わらずの執念で襲い来る化け物と闘いながら、一方では元コンスル帝国軍人ライディネスの襲撃にも備え、やることがいっぱいのエンス達。
古の巫女の結び目もまだ解けない。

 自分に悪意を持つものではないのになぜ執拗に追って来るのか。
恨みを買わなくても悪意はむけられる。ただ本人が目を付けただけで。
緊迫する戦いの中でも、時々ふっとトゥーラに向ける思いが溢れて和む。
定石の結末となったが、もっと彼らを見てみたいと思う。
特に、別の視点からのライディネス。
そしてダンダンに乗ってみたい。

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髪結百花


2019年01月25日 読了
 遊女たちの髪を結う仕事をしている母について、髪結いの見習いをしている梅。
当代一の美しさと言われる紀ノ川や、その禿になったタネとの出会いが、お梅の心に覚悟を抱かせる。
 
 遊女と恋仲になった夫から婚家を追い出されたお梅には、辛い仕事。
でも女たちとの交流の中で、次第に仕事への矜持を見つけるお梅の様子が力強く描かれている。
そして悲しい出来事をいくつも乗り越える女たちの様子に何度も泣かされる。
美しさの表現も見事で、想像するだけでも息をのむほどの光景が何度も出てきて、そのたびに繰り返し文字を追った。
最後まで満たされた思いが続く。

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対岸の家事


2019年01月23日 読了
 家族のために、家事をすること。
それがこんなにも大変だなんて、誰も言ってくれない。
家事と、育児と、仕事と。

 苦しくて死んでしまおうと思うほど追い詰められる人たちが、どんな思いでいるのかをじっくり書いてあるので、読んでいて苦しくなる。
それは女だけの話ではなく、育児休暇を取った男性でも同じ。
これは、家事を”手伝っている”と言っている人たちに是非読んでほしい。
切実すぎてうなされそう。

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百貨の魔法


2019年01月19日 読了
50年前に建ったこの百貨店は、エレベーターが手動だったり、屋上にはメリーゴーランドや観覧車もある。
そして「魔法を使う白い子猫」の伝説。

 古くても街の人々に愛されている百貨店を舞台に、そこで働く人と客たちのほのぼのとした物語。
どれもが優しく穏やかで、ファンタジーでメルヘンな世界が広がる。
ふわふわした感覚でずっといられる、夢をみたような気分。

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バチカン奇跡調査官 天使と堕天使の交差点


2019年01月14日 読了
 呪いの宝石に悩んでいるという宝石商が、偽の神父に騙されそうになっていた。
ちょうど行きあったロベルトは、平賀を誘い、呪いを解くエクソシストをしてほしと頼まれる。

 呪いの真実は、想像もつかないことだった。
特殊な目を持つ人がいることは知っていたけど、短編だけどインパクトが残った作品。
他の短編も、うすら寒食て気味が悪いものや、微笑ましいものまで、さらりと読めて楽しかった。

七つの試練 池袋ウエストゲートパークXIV


2019年01月11日 読了
 人気の若手俳優が、週刊誌に淫行のネタで強請られていた。
それは目を付けた若手に女とのスキャンダルを作り、芸能事務所から吸い取ろうとする暴力団がらみの団体だった。
 出会いカフェの客に失神させられる事件が多発したり、「いいね」をもらうために普段ならやらない無茶をする。

 いつものように切ない話ばかりだが、今回は久しぶりにタカシの冷たい判決が見れた。長く続いていて、世情に敏い話ばかりの割に、登場人物の年は変わらないので少し違和感が出てきた。

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南河国物語 暴走少女、国をすくう?の巻


2019年11月15日 読了
はるか昔のとある国、天下に名を轟かせる名将軍に似ていたことから起こった出来事で囚われの身となった飾り職人の賢良と、その娘・紅玉。
父は小心者なのに娘はたいそう肝が据わっており、その度胸と知恵で国を振り回す。

 読み聞かせか紙芝居かというようなお話。
何とも都合が良く、15の小娘に皆振り回される様が滑稽。
きちんと辻褄があっているため稚拙に見えないが、幼い子向け。

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氷獄


2019年11月03日 読了
10年務めた会社を辞め、弁護士になった日高正義が初めて担当する事件は、2年前に手術室での連続殺人として世を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」だった。弁護を拒否され、控訴もせず、減刑も求めずにいる氷室と、日高は取引をする。

 田口も白鳥も登場するが、今回は彼らは脇役。
自らの信念に基づいて行動しているはずの日高だったが、一枚も二枚も上手の面々に振り回されていく。
事の起こりからずいぶん長い時間がたっていたため、記憶がおぼろげ。
さらに外から見た世界だったためか、現実味が薄く感じてしまった。

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隠居すごろく


2019年11月01日 読了
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年間待ちに待った隠居の日を迎える。
嬉々として皆に通達し、隠居宿を探し、やっと静かな生活ができると思っていたのもつかの間、あっという間に飽きてしまう。
そんな時、孫の千代太が隠居屋に訪れた時から生活は一変する。

 徳兵衛のうんざりした顔が、思案顔に代わり、良い思い付きをした時の顔、思い通りになった時のしたり顔、そして心がほこほこした時の嬉しい顔。
色んな表情が飛び出してきて次は何だとわくわくする。
子供の、思いもかけない行動が、思いがけず充実した隠居生活に結び付き、大きな問題にも次々と光が見えてくる様子が楽しかった。

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