婿どの相逢席


 小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、好き合ったお千瀬と結婚でき、うれしさでいっぱいだった。
ところが、お千瀬の実家である大店の仕出屋『逢見屋』に婿入りとなった鈴之助は、驚くことを知らされる。
そこは、女が仕切り、女が最も偉い家だった。
表向きは主人となるが、商売の一切は蚊帳の外、仕事もなく、ただ無為に過ごすことだけを望まれ、鈴之助は途方に暮れる。

 逆玉の輿のつもりが、婿入り早々隠居暮らしとなった鈴之助。
だが前向きな鈴之助は、可愛い妻を助けつつ、暇なことをいいことに、気になることにどんどん首を突っ込んでいく。
鈴之助の穏やかで人を安心させる性格が、あちこちで幸せの種となっていく様子がとても気持ちがいい。
捻くれた人も多く出てくるが、そうなってしまった原因をときほぐしていく鈴之助の言動が、やがて『逢見屋』にも変化をもたらしていきそうだ。

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