よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記


 高校生の滝本望は、元芸者で粋なお蔦さんと、神楽坂で暮らしている。
最近近所で万引きが増えていると、警官の馬淵刑事が商店街にチラシを持ってやってきた。
商店街の者は皆、ずっと昔からの知り合いばかりで団結も強い。
そんな神楽坂に来た、若い女性の万引き犯。

 ご近所さんのために、ただ自然に力になりたいと思って行動する高校生の望。
商店街のためだけじゃなく、部活で起こったちょっとした「事件」や、皆が知っているけど誰も触れたことがない地域猫、そしてお蔦さんの交友関係まで、いろんな方面に力を出し惜しみしない。
とりわけ、お蔦さんの芸者時代の話はもっと知りたいと思ってじっくり読んだ。
重ねた年月や苦労が、愚痴や軽口でも湿っぽさはなくてむしろ知恵や励ましに聞こえる。
そのため、お蔦さんの話は聞いておこうという気になる。

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