私刑


 雪の舞うセントラルパークで、全裸で殺されている女性が見つかる。
犯行手口からゴールトの仕業とわかり、スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官が捜査を進める。
やがて被害者はゴールトの双子の妹だと判明した。
ゴールトを追い詰めようと、ルーシーも含めて大掛かりな罠を仕掛け、やっと長い戦いが終わる。

 わざと自分の姿を見せつけるようなうすら寒い犯行が繰り返され、やっとゴールトの尻尾をつかむことに成功したケイたち。
薄気味悪い出来事ばかりで暗い気持ちだったのが、最後はほっとして力が抜けた。

死体農場


 ある日教会から自宅へ戻ったエミリーが何者かに連れ去られ、死体となって発見された。
死体の内腿と胸の上部及び肩の肉は切りとられていたため、テンプル・ゴールトの仕業だとみなされ、ケイとマリーノは捜査を始める。
だが、犯行手口に共通点は多いものの、一向に証拠はでてこない。
不信に思った二人が目を付けた次の被疑者は。

 マリーノが迷走している。仕事以外の面で。
ケイの行動にも精神的な揺れが見られて一貫していないので、こちらも揺さぶられてばかり。
今回はルーシーが大きな役割を持ったため、そちらへの興味が増してケイとマリーノの存在感が薄くなった。
マリーノが一番信用できそうな登場人物となってきた。

黒鳥の湖


 伯父から受け継いだ貴金属店を大きくし、今や取締役社長に収まった彰太は、美しい妻と最愛の娘と共に、幸せだと実感できる毎日を送っていた。
ある日、娘の美華が学校へも行かず、夜遅く帰宅し、着るものも派手になり、荒れ始めた。
巷では誘拐した少女の持ち物を少しづつ送り付けて恐怖を倍増させる「肌身フェチの殺人者」が話題になっており、彰太は過去の因果が巡ってきたのかもしれないと疑心暗鬼になる。

 ほとんどが暗いトーンで、恐ろしい事件や思い出したくない過去の所業を描いているので、気分も暗くなる。
でも不思議と読む手は止まらず、どこへつながるのだろうという興味の方が大きい。
やがていろんなつながりが見えてきた頃には、空恐ろしい結末が見えてくる。
でも暗いまま終わらず、明るい決断で終わったため、思いがけずすっきりした気分となった。

真犯人


 死刑囚ロニー・ジョー・ワデルが刑を執行されたその夜、まるで彼が起こした事件とそっくりな殺人事件が起こる。
その後も、女性霊能者の殺害現場ではワデルの指紋が見つかり、同僚の検屍局主任まで殺される。
ケイは身近な者として、メディアから執拗に攻撃され、辞職をするよう通告されてしまう。

 専門的な検証による証拠集めの様子が興味深かった。姪のルーシーも得意分野で活躍し、ケイのネガティブな精神状態が続いて暗くなりがちなのを時々リセットする。
ただ、真犯人を作った者が、なぜ囚人を選び出したか、逃亡を成功させられたかのところがあっさりとしか書かれてなかったので、いまいちすっきりしない。

遺留品


 カップルが殺される事件が続いていた。
今回見つかったのは次期副大統領候補ともいわれている政界人の娘だったせいで、世間から大きな注目を受け、検視官のケイにも、詳しい捜査情報は知らされなかった。
遺体はどれも半ば白骨化しており、死因さえつかめないまま。

 ケイと良い友情を作り上げようとしていたアビーが、存在感を示し始めた頃だった。
姪のルーシーといいアビーといい、いいキャラクターと思える人物に限って急に遠ざけるように話の中心からそらしていくのが気に入らない。
だが、突破口が見つからなくて苦しんでいる時、ほんの偶然から急にスピード感が増してくる展開は楽しかった。
相変わらず胡散臭い恋人のマークと、不思議に人間味を深めるマリーノが対照的。