隠居おてだま


 優雅な余生を送るはずだった老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛。
しかし孫の千代太が犬猫にとどまらず人の子までも拾ってくる。そのため静かなはずの隠居屋は常に賑やか。
さらにそこでの出会いが新しい商いを生んだり、徳兵衛は忙しい毎日に充実していた。
しかし、家族に起こった問題ごとに気づかず、徳兵衛は家族との最大の危機が待ち受けていた。

 隠居はしても、何もないとただ暇を持て余す。
そんな生活に張りを与えていたのが、新しい商いと孫を含めた子供たちだった徳兵衛。
そんな彼が、何よりも苦手な恋路の問題に悩まされることになった。
頑固で意固地な自分を自覚しながらも、どうしていいかわからずにいる様子は微笑ましいが、当事者となると大変迷惑なもの。
だけどそれを溶かすのもまた家族で。
最後は優しく降る雪がすべて洗い流してくれたよう名ほっこりした場面で終わる。