みやこさわぎ (お蔦さんの神楽坂日記)


2017年04月19日 読了
 高校生になった滝本望は、祖母のお蔦さんと暮らしている。
神楽坂の若手芸妓・都姐さんが結婚を機に芸妓を辞めると言い、あいさつに来た。
ところが、一方的に婚約解消を言い捨て、都姐さんは姿を消す。

 お蔦さんの周りには相変わらず色んな人がやってくる。
今回も都姐さんの他に、3つ後の男の子を置いて家を出たという主婦、地元の有名な画伯が若い頃に書いた絵で起こった相続トラブルなど、身近でやっかいな出来事がたくさん起こる。いつ自分の周りで起こってもいいようなことばかりで、思わず神妙に考えてしまう。
お蔦さんの采配には毎度感嘆してしまう。

立川忍びより


2017年04月17日 読了
 ブラック企業からやっとのことで逃げ出し、実家の中華料理店の2階で引き篭もっていた主人公の大倉多聞。
 ある日借金の形に見合いをさせられ、相手の家に住み込むことになる。
それだけでも充分おかしなことだけど、なんと相手の家は現代に残る忍びの家だった。

 忍者や吸血鬼、アイドルまで出てくるしっちゃかめっちゃかなお話。
子供の好きなアイテムてんこ盛りといった感じで、細かいことは気にしないほうがいい。
その分「僕僕先生」にあったような心の機微を感じる要素は少ないのでちょっと物足りない。

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悪意


2017年04月15日 読了
 人気作家が自宅で殺された。第一発見者は妻と作家の古くからの友人。
犯人は割とすぐに逮捕されるが、動機だけは真実を話さない犯人に、「新参者」シリーズの加賀は、犯人が小学生だった頃までさかのぼって調べていく。

 犯行そのものより動機に重点を置き、犯人の心理をじっくりと追っていくのだが、実に回りくどい。
小さな頃から染み付いた考え方が、執念深く周到な犯行につながったことを証明するために、最後は様々な角度から犯人を見ていくが、なんだか今一つ追い詰めるようなスピードも圧力も感じない。きっかけも大きな出来事ではあるのに、のんびりしてカーテン一枚向こうの出来事のような文章でふわふわした感触になっていた。

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青光の街


2017年04月11日 読了
 本業は小説家だけど、担当編集者だった高橋が突然立ち上げた探偵事務所の所長を兼業することになったユナ。
 旧友の秋子から、『ユナ、助けて』とメールが届いて驚くユナは、プロの探偵たちに助けられながら秋子を探すことにした。

 そして巷では、クリスマス用の電飾が置かれた、一見何の接点もない殺人が、連続して起きていた。

 接点がないように見えていた殺人の、つながりを探していくのは楽しかったが、登場人物が多く、重要なのに個性があまり出てこない人物もいて最後までつかめずにいた。結局どんな関係があったのか、所々見直してもわからない。
そして真犯人の計画した交換殺人も、なんだか犯人の人格と疾病に隠れていまいち解決されていないままなのですっきりしない。
小説家で探偵事務所の所長という立場が、とても興味深いのに印象が薄いので残念。

銀の猫


2017年04月06日 読了
 口入屋の「鳩屋」から派遣され、「介抱人」として年老いた人のいる家に行き、介護を手伝う仕事をしているお咲。
家の事は一切しない奔放な母親に手を焼き、目の前の仕事をせっせとこなすので精一杯。

 介護を通して家ごとの事情や悩みなども知り、本当に人それぞれで想像以上の事が起こる。最後はちゃんと母との確執や借金にも区切りがついて、気持ちが軽くなる。

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64(ロクヨン) 下


2017年04月03日 読了
D県警が抱える64事件の爆弾を追う三上。
記者たちとの軋轢に頭を痛めつつ、長官視察の本意を知って憤り、ロクヨンで人生を狂わされた者たちの間を行き来する。

佳境に入るまでは、衝動が空回りして動く場面もあり、どうも一人で深刻になって走り回っている感が否めなかったが、結末には驚き、ここまで読んできたのがやっと報われたような気になる。
奥田 英朗の『オリンピックの身代金』と似た感じの小説だった。

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64(ロクヨン) 上


2017年04月03日 読了
 昭和最後の1週間に起きた、誘拐殺人事件。
未解決のまま14年がたった頃、広報官の三上は、刑事部と警務部の争いに巻き込まれていた。

 誘拐事件だけがメインかと思っていたら、三上の娘の家出のほうが大きく描かれていて、何に注目していいのか戸惑った。
刑事部と警務部という馴染みのない部の争いが間延びさせ、退屈な上巻となった。

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アルテーミスの采配


2017年03月29日 読了
 フリーのルポライターである名賀尻は、あるドキュメンタリー出版物のインタビューをしていた。
短い命のAV女優達を追い、素顔を引き出すのが腕の見せ所で。

 今の自分の立場、それが運命だと思っていても、本当は何者かによって仕組まれたものだったとしたら。

 最初から最後まで「胸糞悪い」話だった。
ちょっとした悪戯で心を殺され、人生を狂わされた女の、最大級の知恵を使った復讐。
 視点があちこちに飛び、登場人物が区別しにくいのでわかりにくく、関係性を把握するのに手間取る。
舞台が苦界のせいか辛い話が多くて救いがないし、悪だくみをした者が制裁も受けないので後味も悪い。まだ続くと思わせる恐怖はホラー映画のよう。

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師走の扶持: 京都鷹ヶ峰御薬園日録


2017年03月28日 読了
 江戸時代、あちこちに作られた御薬園の一つ、京都の鷹ヶ峰御薬園。
幼い頃そこへ預けられ、育った女薬師・元岡真葛は、薬草を通じて身体だけでなく心をも病む人々を解きほぐしていく。

 薬問屋の主が買い付けから戻ってからの様子がおかしい、まだ少女のような子が懐妊したと言ってやってきたり、自分を認めなかった実家への思いなど、ただ病を治すだけではなく、患者の心に寄り添うことで気持ちも治そうとする主人公。

 こちらは京都の御薬園だが、梶よう子の『柿のへた』は江戸の御薬園が舞台で、こちらにも小石川薬園の名前も出てきてどちらの話か混乱するが、ますます薬園に興味が出てきた。

明治・金色キタン


2017年03月25日 読了
 「明治・妖モダン」シリーズ第2弾。
銀座の派出所勤務の巡査たちは、今はもう知る人も少ない怪しの者たち。
彼らが今回出くわしたのは、明治の世へと移り変わる中で捨て去られた小さな集落の物語。

 妖がたくさん出てくる割にはなんだかぱっとしない。
大きなことに絡んでいるようで印象は薄いし、「しゃばけ」シリーズと「若様組」シリーズの曖昧なところを寄せ集めたような2番煎じ感。

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明治・金色キタン [ 畠中恵 ]
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