幽霊たち


 栄養失調と脱水症で入院中の作家・横江の元へ、刑事が訪ねてきた。
加形野という男が、子供の頃に仲の良かった多治見康祐を殺害し、自首してきたという。
そして、事情は横江へ聞いてくれといったらしい。
加形野に覚えがない横江は、次第に多治見と過ごした40年前の記憶をたどり始める。

 人間関係がややこしく、幽霊まで出てきて、40年前の出来事を振り返り始めるが、いつしか当初の事件のことは忘れ、40年前からの複雑な人間関係に振り回される。
分かりづらいうえに、出来事もおかしなことばかりで納得いかないまま進み、最後は幽霊ばかりの昔語りとなる。
煙に巻かれたような読後感。

捜査官ガラーノ


 マサチューセッツ州捜査官のウィンストン・ガラーノは、上司のラモントからの突然の命令で、いつも振り回されていた。
今回も遠いアカデミーでの研修を受けるよう指示され、そしてまた、20年前の老女殺害事件を再捜査するよう命じられる。

 結局何だったの?と言いたくなるような内容。
上司は地位ある人物としての魅力が全くないし、主人公に至っては見た目が美しいと書かれているだけで行動も仕事面でも特徴がない。ストーリーも惹きつけるところがないまま終わり、疑問すら思いつかないほどどうでもよくなった。
これはもう他を読もうと思う気が起こらない。

就職相談員蛇足軒の生活と意見


 研究者志望のシーノは就職に失敗し、職安に通う日々。
ある日目についた「急募 秘書1名」の張り紙に惹かれやってきた蛇足軒というところ。
嘘術という怪しげな道の家元だという。
すぐさま採用となったシーノは、雇い主のもう一つの顔である、就職相談員の仕事を手伝うことになる。

 現代のパラレルワールドのような、微妙に違ったところのある現代。
やってくる求職者も変わった人(?)ばかり。
彼らに適切な職業を紹介するというのは面白い視点だが、後半は失速。
独りよがりで飛び出し、ホームレスのような生活をしてみたり、これまでを簡単に捨ててしまい、人にも頼らず、本来の話からどんどん遠ざかる。
ちょっとしたトラブルや失敗で絆が深まるのとはどこか違い、気がそがれてしまった。

アリス殺し


 毎日同じ世界の夢を見ていることに気づいた大学院生の亜理。
ハンプティダンプティが死んだと聞いた次の日、大学へ行ったら、玉子というあだ名のポスドクが転落死していた。
妙な符号に不気味なものを感じた亜理。
夢の世界では自分が容疑者になっているのを知り、同じ夢を見る同級生の井森と犯人探しを始めた。

 アリスの世界の、話を混乱させる言い回しが多用されつつ、だんだん死人が増えていく。
ほとんど進展もしないうちに次々と事件は起こるが、結局はただの思い違いで決着がついた。
夢の世界である不思議の国での出来事と現実がリンクしている様子は面白いが、もったいぶったあげくの結末がこれかと思うとガッカリする。
伏線を回収し、推理してつじつまを合わせる楽しみが感じられない。

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鶏小説集


 鶏肉をめぐるいろんな小話。
似てるけど、好きなトリの部位が違う少年たち。妙に気が合って、年に一度だけ家に遊びに来ていたのに、ある時急に合わなくなった。
そしてその親たちのぼやき。
よく通っていたコンビニの事情、など。

 「肉小説集」とは違い、なんだか不幸だったり不憫だったりする読後感ばかりで気が滅入る。
移り変わる主人公同士のつながりもさして興味をひかず、ただの一人語りで終わる。
トリ料理も魅力的に書かれていないので、最後まで気が乗らないままだった。

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未来を、11秒だけ


 繁華街でトラブルに巻き込まれた早紀は、シェアハウスのオーナーに助けられ、シェアハウス“FREEDOM TREE
”の住人達と知り合う。
彼らは皆、本名や身元を隠して生活していた。
そしてそのうちの一人であるキャロが突然、姿を消す。
早紀は、特殊な力を持つ知り合いの司と共に、行方不明のキャロを探し始める。

 特殊な力を持った人が、たくさんいる。
そんな世界なのに、その力は意外と知れ渡っていないし、大きな悪さに使われたりもしていない。
おかしな設定が違和感を大きくする。
そして、どこかで読んだような出来事ばかり。

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失業パラダイス


 TV番組制作会社のADだった敦は、番組のやらせ問題に巻き込まれ、首になってしまう。
一緒に失職した先輩ディレクター・岡本が立ち上げた一般向けの撮影会社に付き合うことになり、そこでペットの撮影などをしていた。
ある日、極度の対人恐怖所の少女から、歌う様子を取ってほしいと依頼が入る。

 人の言いなりになり、強引な友人に巻き込まれ、押し切られ、迷惑を言い出せない、優柔不断な男が主人公。
相手の為人が分かっているからのいいなりだとしても、私は振り回されるのがキライ。そのせいで最初から嫌悪感でいっぱい。
コミカルかもしれないが、印象に残るほどでもなく、説明にあるような「長編」というほど長くもない。

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殺し屋、続けてます。


表の顔は企業コンサルタント。裏の顔は殺し屋。
そんな富澤のもとへ依頼された殺しは、可憐な女子大生だったり、裏切った共同経営者だったり、さらにはすでに死んでいる者だったりもする。
 一方もう一組の殺し屋も、近くで仕事を受けていた。

 つまらん。

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殺し屋、続けてます。 [ 石持 浅海 ]
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medium 霊媒探偵城塚翡翠


2019年10月05日 読了
 推理作家の香月史郎は、後輩の結花に頼まれ、一緒に霊能者の城塚翡翠のところへ向かった。そこでの相談の後、結花は何物かに殺されてしまう。真相を確かめようと、霊媒だという翡翠と共に事件を追うことにした香月は、不思議な体験をすることになる。

 警察に協力するという名目で、翡翠の力を借りていくつかの事件を解決する香月。
翡翠の挙動が嫌悪感を誘う。しかし最後にどんでん返しが待っていて、その理由が語られるのだが、これまでの悪印象を相殺する効果はなく、むしろ深まる。
読後感は嫌悪でいっぱいになり、我慢して読んだ後悔しかない。

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medium 霊媒探偵城塚翡翠 [ 相沢 沙呼 ]
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キネマトグラフィカ


2019年08月22日 読了
 老舗映画会社に入社した“平成元年組”の6人の同期が、ある映画館に集まった。
そこで、25年前に起きた“フィルムリレー”に思いをはせながら、それぞれでこれまでを思い出していた。

 マカン・マランのシリーズが面白かったので読んでみたけど、暗くて興味もわかない話がだらだらと続き、つまらない時間を過ごした。
一人一人は個性的なところも見えるが、ただやたらと苦しい出来事を誰もが繰り返しているので気持ちも暗くなってくるし、うんざりしてくる。
女性はまだしも、他の人の人物の区別もつきにくい。

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キネマトグラフィカ [ 古内一絵 ]
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