女王さまの休日 マカン・マラン ボヤージュ


 ライターのさくらに指名で仕事が入った。
台湾へ「働くアラサー女性の息抜き一人旅」というテーマで。
王道でつまらないという陰口を気にするさくらに、シャールとジャダが同行してくれることになる。
この三人旅で、それぞれが見つける台湾らしさとは。

 もう一つ壁を越えたいと苦悩しているさくらに舞い込んだ仕事。
そこに同行したドラァグクイーンの2人。
いつものカフェとは違ってなかなか行動的で面白かった。
3人それぞれ求めるものが違ったが、ちゃんと見つけて帰ることもできたし、台湾の面白さもたっぷりあって、行ってみたいところや楽しみたいと思う事ができる。
ゆったりとした気分にさせる。

学園の魔王様と村人Aの事件簿


 学園で「魔王様」とあだ名がついている変わり者の優等生・御崎秀一。
クラスが違うが同級生の山岸巧は、御崎が雨の中猫を助けているところを目撃してしまう。
それからなぜか仲良くなり、彼の推理力を知った山岸は御崎と共に身近に起こる事件に挑む。
最初の事件は、片方のトイレだけがいたずらされるという、山岸の母から持ち込まれた悩みだった。
 
 近づきにくいオーラを持つ御崎が、実はそれほど怖いわけではないと気づいた山岸。
勝手に助手となって一緒に行動するうち、御崎のまっすぐに人をほめるところとかに照れるようになってしまう。
なんだかBLに向かいそうな雰囲気だったが、そういうわけでもなさそうで、これからの二人の関係が楽しみになる。
事件は少し怖い部分も入ってきて、高校生では無理がありそうなギリギリなところで危うい感じも御崎に似合っていた。

最後の鑑定人


 かつて科捜研のエースとして「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめ、「最後の鑑定人」として名を轟かせた土門誠。
しかしある事件をきっかけに科捜研を辞め、鑑定事務所を開いていた。
無愛想だが腕は確かで、時には警察からの依頼もあるという。
ある女性が殺され、遺体に残っていた体液から犯人と思われる元恋人を逮捕したが、犯行を否認しているうえ、どこか不自然な事案。
留学生が複数人で住んでいる会社の寮が二度燃えた事件。
化学は嘘をつかないという土門の信念が、事件を解いていく。

 持ち込まれる依頼の真相はどれも悲しい印象を残す。
様々な分析から少しづつ依頼人や犯人の心を解きほぐしていくため、無機質で揺るぎない検査の結果が人情味あふれる話になっている。
鑑定のもっといろんな種類を見たい。

魔法律学校の麗人執事3 シーサイド・アドベンチャー


 魔法律学校に入学して3か月、1学期の最後は臨海合宿を残すのみとなった。
絶海の孤島に集められた椿たちは、そこで自分で見つけた悪魔と契約をするという課題が出された。
1体以上の悪魔と契約できない者は退学となるという厳しい課題で、魔力のない椿は途方に暮れる。
青春らしいことをしたいと肝試しを言い出すもの、マリスに頼みごとをした双子の嘘、島に潜んでいた不審者と、とうてい穏やかに終わりそうにない中、伊織の優しさとまっすぐな好意に戸惑いながらも惹かれていく椿だった。

 学園生活の王道であるいじめやお家騒動を1,2巻で経験した椿。
次は課外授業での試練。
それは女とバレる機会が増し、さらに恋の予感まで出てきて椿の感情を揺さぶり続ける。
マリスの嫌みな態度にも慣れ、それ相応の理由もあるとわかってきた椿だが、今度は椿の苦手なことがたくさん出てきたせいでいつもの隣とした椿は見られなかった。
そのかわりにみせた女っぽい表情でいつばれてもおかしくない。
まだ1学期しか終わってないのに、この後どれだけのことが待っているのか楽しみになる。

難問の多い料理店


 ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の「僕」は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。
そこは客席を持たず、デリバリーのみの飲食店で、オーナーのところに入るオーダーは特別な意味を持つ。
ある特定の組み合わせの注文でのみ、意味を持つのだ。
持ち込まれる依頼は様々だが、時に配達員を手足のように使って依頼をこなす「探偵業」もその一つだった。

 配達員が、持ち込まれた依頼の調査を担うという面白い設定。
オーナーのことを深く知ろうとすると消されるという噂まであるが、オーナーは持ち込まれた情報のみで真実を探る安楽椅子探偵で、謎はどれも不思議なものだった。
毎回違った配達員で、それぞれの事情もしっかり描かれているので想像もしやすく、また短編なので読みやすい。

プラチナハーケン1980


 ブラックペアンシリーズ
昭和の終わり、東城大学医学部総合外科の佐伯教授はまだ経験の浅い渡海征司郎を大抜擢した。
皆が驚き反対する中、高度な手術を成功させる。
そして佐伯教授の名代として、オランダの国際学会へ出ることになるが、その最中に父の死の知らせを聞いて飛んで帰る。
渡海は父の引き出しから見つけたメモに書かれたことから次第に佐伯教授への不信感を膨らませていき、、。

 大学病院の政治が大きな割合を占めていた。
佐伯教授の不審な行動や、父の古傷、桜宮病院の院長の元での修行など、ブラックペアンの頃から見ると面白い昔ばなしがたくさんあった。

六色の蛹 サーチライトと誘蛾灯


 森でハンターたちが狩りをしている山で起きた、銃の誤射による殺人事件。
病院の近くで花屋をしている女性が1年前の約束を果たそうと季節外れのポインセチアを入荷していた日。
工事現場から、土器と思われるものと人骨が見つかったと歴史センターに連絡が入り、8年前の捏造事件が蒸し返された。
虫を追って日本のあちこちを旅する魞沢が出くわす事件。

 虫好きな魞沢が、なぜか事件に遭遇する。
人が死ぬ事件なのに、悲しくも優しい印象を残すのは毎度のことで、魞沢は誰も責めることなく犯人を見つける。
スカッと解決するようなミステリではないが、生きている人の心を一番大事にするような推理なのでふんわりとした印象。
そのため事件より魞沢の穏やかな印象が一番印象に残る。

高慢と偏見、そして殺人


 紆余曲折の末にエリザベスとダーシーが結婚してから六年。
2人が住むペンバリー館で、あらしの夜に起こった悲劇。
屋敷での舞踏会を控え、準備に忙しい人々のところへ、馬車が森からすごい勢いでやってきた。
乗っていたのはエリザベスの妹リディア。
彼女は、森で夫とその友人が馬車から出ていった直後、銃声が聞こえたという。
探しに向かったダーシーたちが見たのは、無惨な死体と、そのかたわらで放心状態のリディアの夫ウィッカムがいた。

 ジェーン・オースティンの古典の続きということだったが、それを知らなくても充分楽しめた。
エリザベスとダーシーの親族が起こした、残虐な犯行は、はたして本当にウィッカムの所業なのか。
状況説明がしつこすぎるくらいしっかりしていて長いと感じるが、真実は少し意外なところから出てきた。
エリザベスとダーシーの結婚に至るまでの話が気になりだす。

神学校の死

 
 サフォーク州の人里離れた全寮制神学校で、一人の学生が海岸の砂に埋もれて窒息するという不審な死を遂げた。
事故という結論に不満を持った父親が、警察に再調査の圧力をかけてきた。
真相究明のため現地へと赴いたダルグリッシュ警視長が調査を始めると、客として来ていた神学校の閉鎖を進めようとする教会幹部が教会内で殺される。
学生の死と関係があるのか、そしてダルグリッシュがいるにもかかわらず殺人が起こるという異常な状況で、真相にたどり着くことができるのか。

 危険だとわかっている場所で大量の砂で圧死という、事故か自殺かわからない学生の死から、次々と不幸が続く。
状況説明が長く、最初に明かされた少しのヒントだけで半分ほどまで進むので、何も見えてこないために飽きてくる。
最後の1/10ほどになってようやく面白くなってくるが、個性のあまりない神父たち登場人物の区別がつくようになるまで長かった。

死者の国


 パリの路地裏で、ストリッパーが殺された。
口を耳まで切り裂かれ、喉には石が詰め込まれ、裸のまま両手両足を縛られ、さらには下着で首を絞めているという異様な姿だった。
警視のコルソは、捜査を進める画手がかりは見つからず、そのうちに第二の犠牲者が見つかる。
すると、元服役囚で現在は画家として成功しているソビエスキという男が二人と付き合っていたという情報をつかみ、コルソはソビエスキを容疑者と考えた。
様々な共通点からソビエスキを追い詰めるが、コルソはどこかしら違和感も感じていた。

 思い込みが激しく、多少乱暴でも突っ走り、強引な操作を強行するコルソ。
違和感は時々見え隠れするが、それでも犯人はソビエスキしか考えられないと、突き進む。
やがてソビエスキは捕まるが、有能な弁護士が付き無罪になりそうになり、と状況は二転三転する。
決定的な証拠だと思われたものにも違和感が出てきたりと、どこかしらスッキリしない。
普通なら犯人が捕まって一件落着のはずが、裁判やら新たな死体やらとだらだらと続くには理由があるのだが、むしろ最後の事実のほうが予想ができた。
ソビエスキの強いキャラクターがなによりも印象に残る。