2017年07月19日 読了
浅草川の岸辺にある船宿、若狭屋で女将をしているお涼。
一風変わった性格のお涼は、ちょっと変わったことにも出会う。
狐憑きと噂される女郎、息子を探す山姥、祈り続ける男など、印象深い話がいくつかあるが、どれもほんの短い話。
時々怖い話のようでひやりとしても、粋な大人たちににやりとさせられる。
何があっても笑い飛ばせる強いお涼が頼もしい。
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読書と編み物の記録
2017年07月19日 読了
浅草川の岸辺にある船宿、若狭屋で女将をしているお涼。
一風変わった性格のお涼は、ちょっと変わったことにも出会う。
狐憑きと噂される女郎、息子を探す山姥、祈り続ける男など、印象深い話がいくつかあるが、どれもほんの短い話。
時々怖い話のようでひやりとしても、粋な大人たちににやりとさせられる。
何があっても笑い飛ばせる強いお涼が頼もしい。
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2017年07月08日 読了
金持ちのボンボンがほとんどの学同院大学生が殺され、容疑者はクジャク愛好会のリーダー。事件の鍵を握るのはもちろんクジャク。
またあの素っ頓狂な掛け合いがしょっちゅう出てくる。
話の腰を折られまくりで繋がりがわからなくなるほどの話の飛びようも、むしろそこから生まれる新しい世界への想像が膨らみ、こちらもつられて広げたくなる。
事件そのものはさらりと解決し、暗い余韻は一切ないのでより動物への興味が湧いてくる。
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2017年06月27日 読了
馬喰町で幼馴染の女3人。
ある日「抜け参り」に行こうと決め、誰にも知らせず何も持たず、一路伊勢参りに出かける。
個性豊かな3人が寄れば、今の暮らしも悩みも全部ほっぽって昔のまんま。
しょっちゅうケンカしながらも助けあい、時に一文無しになってはその場で稼ぐ。
家庭も仕事も辛い事ばかりだと悩み抜いていたのがウソのように、気持ちも頭も軽くなり、無事お参りを済ませた頃には身の振り方と覚悟が決まる。
しがらみを振り切ってひたすら前向きに進む3人が清々しい。
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2017年06月15日 読了
コインロッカーにそれぞれのキャラを詰め込んで、色んな人格になり切る女子高生。夫から「かーさん」と呼ばれることがストレスな主婦。隠してきたけどもう29歳だから卒業すべきか悩みに沈むロリィタ好きのOL。
いろんな秘密を持つ、身近な人たち。
みんないつかぶちまけたいと思いながら隙を伺う、じくじくした気持ちがリアル。
こうゆう短編にありがちな、最後はすべての人間関係がつながっていて、めぐりめぐって全部丸く収まる的な話ではあるけど、こっそり覗いてくすっと笑う感じが微笑ましく、じめっとしない終わりも良い。
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2017年06月05日 読了
いくつかの賞をとったミステリー。
刑事には向いてないと思っていた新人が、殉職する。その死の間際に漏らした言葉の意味は。刑を務めあげて出所した恩人の真の目的とは。呪われたと噂される峠の真実。
いくつもの不思議で不気味な短編が、じわじわとしみこんでいく。
あまり好きな分野ではないが、短い中でも充分引き込まれる。
一つ一つをもっとじっくり読みたくなるが、後味が悪くて気分が悪い。
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2017年05月31日 読了
南部藩御側用人・桜木兵庫の娘である綺羅は、幼い頃一緒に遊んだ初代藩主利直の五男・彦六郎の事をずっと慕っていた。
成長と共に二人の道は離れたが、桜木の家が落ちぶれても、お預人の方長老の御側人として通うことになっても、二人で見た枝垂桜が綺羅の心を支えていた。
一人の藩主の心一つで人生が大きく変わる時代。
綺羅は様々な苦境に立たされながらも一人、自分の足で立っていくと誓う。
歴史的な動きも所々はさまれ、固い表現もある中、綺羅の心は「あっ」という表現が多くて子供っぽい。
最後まで彦六郎に向かう一途さよりも、なぜか倫三の不憫さが残った。
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2017年05月25日 読了
父の仕事の都合で、インドの駐在英国人の子女が通うオルガ女学院へ通うことになったシャーロット。
そこで出会ったのは、オニキスの瞳を持った美しい少女・カーリーと、個性的な級友たち。
初めての経験ばかりのシャーロットは、そこで様々な事を学ぶことになる。
作者があとがきで言っているように、「ハウス世界名作劇場」のような物語。
仲間たちに恵まれ、波乱万丈な出来事が次々と起こり、ちょっと嫌な奴もいて、少女たちは賑やかに成長する。
どんなことが起ころうとも、明るくて前向きな、かわいらしい学園ロマンス。
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2017年05月22日 読了
昔からの顔なじみがほとんどで、皆がそれぞれに皆を思う町。
そこに子供の頃住んでいた望が戻ってきて、伯父の営む深夜営業店<喫茶ナイト>でバイトすることになった。
商店街で起こる人間模様をやさしく描いたシリーズ。
どんな設定でどんなシチュエーションでもやっぱり小路幸也の話は同じ雰囲気。
どれほど辛い出来事やヒドイことに出くわそうとも、優しく静かで、必ずハッピーエンドとなる。
安心して読めるけど、読後感も同じ。
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2017年05月20日 読了
北綾瀬署刑事組織犯罪対策課の甘糟。
乱暴なことが大嫌いで、毎日いやいやながらマル暴の者たちと接している。
そんなある日、多嘉原連合の下っ端構成員・ゲンが殴り殺された。
甘糟たちは、防犯カメラに写っていた不審な車を追う。
暴力団と乱暴な先輩たちの間で毎日冷や汗をかきながらも、実は肝が据わっている甘糟。会話がメインの文体でスラスラ読める。
そして人物が混乱することもないので状況が想像しやすい。
立場は違うが気が合う男たちのやりとりが楽しい。
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2017年05月17日 読了
第八回角川春樹小説賞受賞作。
明治初期。異人さんがたくさん行き交う横浜で、海産物問屋の四女・すずは車引きの幼馴染・才蔵や、カメラマンのモーリスさん達と賑やかな毎日を過ごしていた。
ある日、一番の親友である喜代から手紙を預かったすずは、ひったくりに荷物を盗られて困っていたところを清国人の劉に助けられる。
明治の華やかな街並みや異人の麗しさの中に、昔から続く悪癖と新しい毒が入り乱れる。
すずの軽い足取りのような語り口もあるのに、所々くどく重い言い回しが混じり、印象が一貫しないので読みにくいが、序章を改めて読み直しては想像を膨らます。
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