2014年07月02日 読了
道具屋の真之介とゆずは、駆け落ちして店を構えたばかり。
ふた親にはまだ許しをもらっていないけれど、二人はとびきり幸せで、とびきりの品を店に出す。
とてもかなわないゆずの見立てに機嫌を損ねることもある真之介だが、ゆずの明るさと度胸に助けられながら、人や品を見立てることに精を出す。
始まりは剣呑だったが、二人のやりとりは時に威勢がよく、胸のすく思いがする。
見立てを武器にする二人の生き様は、誰に邪魔されても負けないような気がする。
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読書と手芸の記録
2014年07月02日 読了
道具屋の真之介とゆずは、駆け落ちして店を構えたばかり。
ふた親にはまだ許しをもらっていないけれど、二人はとびきり幸せで、とびきりの品を店に出す。
とてもかなわないゆずの見立てに機嫌を損ねることもある真之介だが、ゆずの明るさと度胸に助けられながら、人や品を見立てることに精を出す。
始まりは剣呑だったが、二人のやりとりは時に威勢がよく、胸のすく思いがする。
見立てを武器にする二人の生き様は、誰に邪魔されても負けないような気がする。
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2014年06月30日 読了
給金も良く腹いっぱい食べられ、綺麗なお仕着せもあると伯父に騙され、お末がやってきた奉公先は、江戸の「鱗や」という料理屋だった。
料理屋とはいうものの、そこは料理も接客も三流の連れ込み宿で、毎日のように怒鳴られて折れそうになっていたお末は、若旦那の優しさに癒されていた。
ところがその若旦那の笑顔の裏に、暗く冷たいもう一つの顔に気付く。
荒んだ出だしにこちらも気が悪くなりそうだったが、だんだんと熱がこもり、最後まで全力で走り抜けるような流れが続く。時が癒す傷は多い。
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2014年06月27日 読了
山中鹿介の息子、新六。
武士の息子だが、育ての親や周りの者に恵まれ、武士ではなく商人としての道を歩き始める。
始めは注目すべき人物や物事が曖昧で何がメインの話なのかわからなかったが、酒作りが始まるととたんに面白くなる。
主人公がどれほど夢中で生きたかが伝わってきた。
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2014年06月11日 読了
木材の仲買をしていた又兵衛と妻のおいせは、商売を息子に譲って隠居する際、家を出て日本橋堀留町の会所の管理人になった。
そこへ持ち込まれる町内の人間模様のいろいろ。
夫婦は外からではわからない。
二人の間になにがあったのか、どう思っているのか、色んな男女を見て又兵衛は考える。
どの話も最後はちゃんと落ち着くところへ落ち着き、ホッとしたりホロッとしたり。
又兵衛とおいせのやり取りを読んでいると、とても穏やかな気持ちになれる。
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2014年06月03日 読了
相変わらず物が多くて汚い古道具屋の周りでは、幽霊の話が次々と出てくる。
魚屋・巳之助の知り合いのところでは二人も首をくくるものが出、肝試しに行った家では亡くなった爺さんがついて来たり、もらった観音様の夢を見ると必ず次の日に怪我をする男がいたり。
そしてそれらの話の結末では必ず猫がついてきた。
猫と水が大嫌いで幽霊が見えるという太一郎には地獄のようだが、想像すると微笑ましい光景ばかり。
あちこちの幽霊も、皆塵堂に集う者たちも最後には癒されて終わる。
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2014年05月31日 読了
夏休み、新聞部の取材で訪れた水族館。
サメの水槽の前で取材中、落ちてきた飼育員がサメに食われるという驚愕のシーンに立ち会うこととなった。
殺人だということははっきりしているのに、犯人もその動機もわからない。
刑事の仙堂と袴田は仕方なく柚乃へと連絡を取った。ダメ人間の天馬を連れてくるようにと。。。
犯人が最後まで想像できないのは1作目もそうだったので、ミステリとして充分面白かった。
あっという間に自信満々でミスなく解いてしまう探偵など面白くもないが、天馬は自信はあるのに見落としたり勘違いしたりしていて、その狼狽えぶりが見どころ。
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2014年05月21日 読了
雪が降り積もる学園で、年に一度の大騒ぎ「リビング・チェス」が行われる今日。
その学校行事にやってきたのは、ヴィクトリカの兄のグレヴィール。そしてグレヴィールの初恋の相手である町の警視総監の妻。
学園の喧騒から離れたところで、ヴィクトリカは一弥に、懐かしい事件の数々を語り始める。
白で覆われた世界で静かに語るヴィクトリカの、ビスクドールの様な姿が目に浮かぶ。
グレヴィールの髪形の所以なんかも語られる。
主役になりそうな一大イベントが脇役となっているからか、賑わいから離れたところの静けさが引き立って心地よい。
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2014年05月19日 読了
秋、大きな陰謀に巻き込まれ、やっとのことで学園に戻ってきた一弥とヴィクトリカ。
疲れが出たのか熱を出して寝込むヴィクトリカのところへは、今日も一弥が本と花をもって訪れていた。
わずかな休息の日。
穏やかな学園での毎日は、一弥の持ってくる本によって小さな謎となる。
本のなかの人物たちが語る行間から、真実と悲しみや幸せを見つけるヴィクトリカ。
微笑ましく、静かに読書に浸るには最適。
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2014年05月16日 読了
陸の民と海の民の和平のために、パンディオンの理事長・青澄は休まず話し合いを続ける。
支援団体とラブカ、宇宙開発、それぞれの団体の思いが少しも近づくことのないまま、ラブカのリーダーは死に、アニスは身を隠し、マキーリ号の打ち上げは延期になる。
タイトルも、目次の後の宇宙船の図のこともすっかり忘れていたせいで、<大異変>の事ばかり考えてしまっていたけど、本来の軸はそうじゃなかったことに読み終わってから気づいた。思いのほか青澄に感情移入していたのかもしれない。
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2014年05月09日 読了
田口・白鳥シリーズ最終章!と銘打たれた今作。
肺癌患者が手術後で亡くなったのは病理医の誤診が原因ではないかとの疑惑が浮上。
高階病院長から事の真相を追及しろという指令を受けた田口。
検体取り違えか診断ミスか。どちらにしろ病院の評判を落とす難題の上に、白鳥が舞い降りる。
小さな真相が、大きな野望や悪意と結びつき、あちこち巻き込んでくるりと反転する。
最終章というには小粒な犯人だったが、白鳥の軽快で止まらない話術がテンポ良く進んで心地よい。
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