シューメーカーの足音


2013年10月29日 読了
 ロンドンのジャーミン・ストリートに店を持つ靴職人の斎藤良一。
いつか「英国王室御用達」の称号を手に入れる日まで彼の野心は潰えないはずだった。

 彼がそこに店を持てたのは、13年前の出来事があったからだ。
しかしその時から、斎藤に復讐するためだけに技術を高める若い靴職人・榎本智哉がいることを、斎藤は気づいていなかった。

 すばらしい技術を使った職人の戦い。
ミステリーだけど、専門の話を飽きさせない程度に詳しく盛り込んであり、集中してあっという間に読んだ。
何かに囚われていると、これほどに視野が狭くなるものなのか。

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鯖猫(さばねこ)長屋ふしぎ草紙


2013年10月18日 読了
 猫しか描かない売れない絵師の青井亭拾楽。住処は鯖三毛柄の雄猫が一番偉いという長屋。そこは頼もしい差配と仕切り屋の女房のおかげで平和だった。
 
 ところがその長屋へ、訳ありげな女が独り身で移り住んでくる。

 訳ありなのはその女だけではなかった。
なんでも知ってる風の猫がここぞという時に出てきては、仙人のような仕切りで事を治めていく。なぜだか従いたくなるそのしぐさがすばらしい。

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娘の結婚


2013年09月16日 読了
 今年26歳になる娘が、結婚を考えているらしいと気づいた。
なんとそれは昔住んでいたマンションのお隣さん。つまり娘の幼馴染だった。

 昔のお隣さんなら、家族全員よく知っている。普通であればそれなりに嬉しいもの。
しかし父親である孝彦は一抹の不安を抱えていた。

 大きな問題というわけではないけど、少しづつ積もる苦痛。
なんとなく癪に障るという、男にはわかりにくいだろう性質が、とてもよく描かれていて少しぞっとした。
 それでも、人の意見に惑わされず流されず、違った角度から見ている他人ではなく自分の方向から見てちゃんと判断することで、自信と余裕を持つことができるんだなぁと思えた。

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GOSICKVIII‐ゴシック・神々の黄昏(下)


2013年09月08日 読了
 監獄<黒い太陽>に幽閉され、薬で朦朧としながら数日先を予言させられていたヴィクトリカは、母によって助け出される。
ロスコ―と共に国外脱出を図るが、それは古き生き物たちには困難な道であった。

 戦争によって別れたヴィクトリカと一弥は、また会える日を夢見て生きぬく力にする。
夢のような学園でおとぎ話のように始まった物語は、戦争というこれ以上ない残酷な現実の中で終わる。

GOSICKVIII‐ゴシック・神々の黄昏(上)


2013年09月07日 読了
 ヴィクトリカが誕生日に所望したのは、年の数の謎だった。
一弥は学園の中だけでは足りずに村にまで出て謎を探していたが、その村の様子がいつもと違っていることに気付く。

 二つ目の大きな嵐が近づいていた。
ヴィクトリカと一弥は引き離され、それぞれの場所で互いを思う。
これからどうなるのか、ヴィクトリカは嵐が去っても生きれるのか。

千年の黙―異本源氏物語


2013年09月01日 読了
 【第十三回鮎川哲也賞受賞作】
紫式部が描いた、あまりにも有名な「源氏物語」。
式部につかえていた少女を主人公に、式部を探偵役にして最大のミステリーを描く。

 式部の書いた物語には欠落があるのではないかという説があることを、これを読んで初めて知った。
その話を見事に、しかも雅に解決してしまう。しかも敵であったものすら心変わりをさせたうえで。
はじめは人物の区別がつきにくく読みづらい所もあったけど、後味はとても良い。

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GOSICKIV-ゴシック・愚者を代弁せよ-


2013年08月31日 読了
 ヴィクトリカが幽閉されている聖マルグリット学園の片隅に、立ち入り禁止の塔がある。
昔、その塔を工房としていた魔術師「リヴァイアサン」が描いた挑戦とも思える回顧録を図書館で見つけたヴィクトリカ。

 今度は図書館から出たヴィクトリカと、元気娘のアブリルとの掛け合いもあり、少しづつヴィクトリカの周りが賑やかに。
 いくつものトリックで隠された謎を解くヴィクトリカが、前よりずいぶん表情豊かになってきた。

GOSICK II ──ゴシック・その罪は名もなき──


2013年08月19日 読了
新聞の3行広告に書かれた不気味な文。
それを見たヴィクトリカは、出てはならぬ学園からこっそりと抜け出した。

機関車に揺られ、ヴィクトリカと一弥は、現代の文明とはかけ離れた中世の生活をしている不思議な村にたどり着く。

思いかげず大冒険となった二人。
前作では怪しげな髪形の警部との関係がわかり、今回はヴィクトリカの母親の秘密がわかる。1作に一つだけど、結構大きな秘密が明らかになるので飽きない。

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死神の精度


2013年08月18日  読了
 千葉という名前を持つ彼は、死神。
1週間の調査の後、その人物が死んでもいいかどうかを査定するのが仕事。
その千葉の、いくつかの仕事の話。

 短編で、そう特徴的な話はない。
いくつもありすぎて読み終わってしばらくすればすっかり忘れてしまう赤川次郎と似たような話。

 最初のころの登場人物がまた最後の話に関わってきたりする。時の流れを超えた人物。長編が出たようなので、そちらも読んでみたい。

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シャーロック・ホームズたちの冒険


2013年08月16日 読了
 ホームズが戻ってきてから、ロンドンに首狩りの事件が相次ぐ。
彼がその謎を追い、行き当たった真実は。
彼の助手であるワトソンが、こっそり書き残していたホームズの事件。

 ほかにも、忠臣蔵の一夜の出来事や、ヒトラーが実はシャーロキアンだったり、注目の人物の一番近くにいた者が書き残したものが見つかる。
それらを発見者のコメントと共に短編としたこれは、まるで事実のように感じられる。
 
 どこまでが史実でどこからが想像なのか、うっかりすべてを信じそうになる。

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