HEARTBLUE


2009年10月02日 読了
 前作「HEARTBEAT」の登場人物で綴られた、NYでの物語。

 前作でとても印象的だった脇役たちにまた出会えて、それだけでなんだか嬉しかった。
 事件はまさに彼らの中心で起こり、また二つのストーリーが見事に繋がる。

 そしてやっぱり「人ではないもの」の登場となるのだが、今度は前よりすんなりとなじめ、強い意志が残る。

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銀の犬


2009年09月05日 読了
 ケルトの民族に受け継がれてきた民話・伝説を題材とし、妖精や妖魔、人の魂を美しく書きあげてある。

 伝説の祓い楽人・オシアンと、その連れのブラン。二人が旅の先々で救う魂の物語。
 声を失った楽人であるオシアンの穏やかさに包まれた、幻想的な世界が素敵。

 まるで、美しい音楽を本当に聞いた後のような余韻が残り、静かで満ち足りた気分で終われる。
 途中から登場する同業者のような商売敵のような二人連れも、彼らだけで十分物語が出来そうなほど魅力的。

 続編が出そうな雰囲気なので、とても楽しみ。

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ユグノーの呪い


2009年08月27日 読了
 第八回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作

 時は2018年。精神病治療はバーチャル記憶療法士が患者の記憶に潜入し、トラウマとなっている部分の記憶を変える。

 自分をバーチャル化し、人の記憶の中に入り込み、戦い、説得し、トラウマのせいで記憶の一部をせき止めたり書き換えたりしている検閲官に勝つ。そして患者の心のトラウマを取り除いていく。

 バーチャルに入ったり、そこで気づついたらリアルでも傷を得、取り残されれば植物状態。。。
 なんだか設定が「マトリックス」に似ている。

 でも文句なくおもしろかった。小難しい設定があるのかと身構えたがそんなことはなく、ヨーロッパの歴史を絡ませていて引き込む力も大きいうえに、アリスの世界のような謎解きでかわいくもある。
 一気に読める作品だった。

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特殊防諜班 連続誘拐


2009年08月25日 読了
 宗教団体教祖を狙った奇妙な連続誘拐事件、驚くべき頭脳と体力を持つが集団行動には向いてないと評価された自衛隊員。
 そしてイスラエル大使館の肩書を持つ一人の男。
 
 あらすじを見ても分かりにくいだけでいまいち興味をそそらない。

 でも。

 軽快で一気に読める。相変わらずこの人の話はぶっとんでいる。
深いテーマだったり人が死んだり、いちいち暗い事が起こるのにざっくりとかわして豪快にまとめるので、読み終わりは充実感と達成感が残る。

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マリリン・モンローという女


2009年07月20日 読了
 世界中知らない人はいないであろうこの人。
だけど、どんな生き方をしたのかは知らなかったので、この本を読んでから少し調べてみた。

 親や周囲の愛に飢え、一生をそれを取り戻すために費やしたと言ってもいいほどの情熱をもって生きたた女性。
 それにしても、出てくる男性はなぜにここまでと思うほど自分勝手で、世界に失望するほどモンローをカモにする。魅力的な男性を書かせたら天下一品だった作者だけど、最低な男性を書かせても天下一品かもしれない。
 途中でやめられず、空腹も睡魔も我慢してまで読んでしまった一冊。

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ユグドラジルの覇者


2009年05月01日 読了
 第26回横溝正史ミステリ大賞、大賞受賞作。
 部屋の中でビール片手に胡坐を組んだ一人の男。それがネットを通して世界中を相手にする。世界樹という名にふさわしい広がりをもった作品。北欧神話のユグドラシルやラタトスクという言葉に惹かれて手に取っただけの作品だったけれど、これほど後を引いたものは少ない。
 説明のくどさや結末についてはいろいろといわれているが、デビュー作であることを鑑みれば充分な出来だと思う。

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隠居すごろく


2019年11月01日 読了
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年間待ちに待った隠居の日を迎える。
嬉々として皆に通達し、隠居宿を探し、やっと静かな生活ができると思っていたのもつかの間、あっという間に飽きてしまう。
そんな時、孫の千代太が隠居屋に訪れた時から生活は一変する。

 徳兵衛のうんざりした顔が、思案顔に代わり、良い思い付きをした時の顔、思い通りになった時のしたり顔、そして心がほこほこした時の嬉しい顔。
色んな表情が飛び出してきて次は何だとわくわくする。
子供の、思いもかけない行動が、思いがけず充実した隠居生活に結び付き、大きな問題にも次々と光が見えてくる様子が楽しかった。

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