2010年03月24日 読了
やっと入った憧れの出版会社で、配属されたのは「季刊落語」。
そのうえチームは上司と二人きり。
しかしその上司の洞察力は尊敬に値する。少しの情報とフットワークの軽さでほとんどの事は見抜いてしまう。
落語の話はよくわからないと思っていたけれど、新人教育のついでにちゃんと軽い解説もしてくれて、少しも「置き去り」にされている気がしない。
表紙の雰囲気そのままの世界。
|
読書と編み物の記録
2010年03月24日 読了
やっと入った憧れの出版会社で、配属されたのは「季刊落語」。
そのうえチームは上司と二人きり。
しかしその上司の洞察力は尊敬に値する。少しの情報とフットワークの軽さでほとんどの事は見抜いてしまう。
落語の話はよくわからないと思っていたけれど、新人教育のついでにちゃんと軽い解説もしてくれて、少しも「置き去り」にされている気がしない。
表紙の雰囲気そのままの世界。
|
2010年03月21日 読了
月に1度だけの観測日にのみ活動している天文部の4人は、いろんんなものと戦っている。
それぞれの季節で、それぞれが戦う物語が、気持ちのいい距離感で綴られる。
月に1度しか会わない仲間、沈黙が流れ、一人になって星を眺める。心地よい距離。
坂本司の本の中で一番心に残る作品だった。
星のようにあってほしい人が、私にも確かにいる。
|
2010年02月04日 読了
特殊清掃を仕事とする二人の男が、仕事場で浴槽の水に溶けた女を片づけた。彼女はなぜ死んだのか。
恐ろしい出だしですぐさま取り込まれた。だけど下品じゃなく不快感もない。
実際の医療事故や薬害についても絡めた話でよりリアルになっている。
「パーフェクトプラン」よりも凝縮されたパワーがあった。
|
2010年01月27日 読了
この世界は二人で周るには十分広い。
5年ぶりに帰ってきた僕僕先生は、王弁とまた旅に出る。
僕僕の友人や不思議な妖が登場し、前回よりお節介になった僕僕の頼もしい面が見れた。
からかわれて赤くなる王弁と、飄々とした僕僕。二人の位置は全く変わっていないことに安心する。
そして、時々甘える僕僕のかわいさに身もだえする王弁の気持ちがとてもよくわかる。
|
2010年01月23日 読了
誰も殺さない。誰も損をしない。せしめる金は5億円。
代理母で生計を立てている良江は、かつて出産した子供が母親に虐待されていることを知り、発作的に連れ出してしまう。それを知った元・愛人が友人たちとともにある計画を打ち立てた。
第2回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
これは犯罪?人助け?身代金のない誘拐の結果、子供も、世話をする老人も、生き生きとした目を取り戻し、巻き込む人に絆をもたらす。
選評にもある通り、予想のつかない展開に手が止められない。
ミステリーなのに穏やかな気分で引き込まれ、最後にはまた新しいミステリーを作り出そうとして終わる。しばらく手に持ったまま呆然としていた。
|
2010年01月20日 読了
働かず、学ばず、鍛えず、日々をただ楽しく暮らしていた王弁に、父は言う。
仙人に会ってこい
見た目は楚々とした少女。しかし何千年も生きた仙人と出会い、旅をし、惹かれ、学んだ王弁。
難しい言葉使いが混じり、わかりにくいかもしれないと思っていたのは最初のうち。いつしか引き込まれていった。
雰囲気は畠中恵の「しゃばけ」に似ているが、こちらのほうは中国の昔話を元にした伝説の物語。
久しぶりに気持ちのいい読後感の残るものを読んだ。
|
2009年11月08日 読了
どこからか届く声。1日だけ消える子供たち。
それは遠く離れていても話ができて、どこか別のところへ行ってしまった人たちを引き戻す事が出来る、力を持った子供たち。
ファンタジーともミステリともとれる、子供の頃にだけある力っていう話はよくあるけれど、それが美しくリアルですがすがしい。
むやみに追いつめられないし、意思も覚悟もちゃんと子供目線。
この人の作品には、仲間との力強いつながりをいつも感じます。
|
2009年10月27日 読了
定年退職を迎えた幼馴染の「おっさん」3人が、地域限定の正義の味方をやる。
頼りない大人も、わがままな子供も、同じようにしっかり導く強さがカッコイイ。
作者らしい甘ーい恋の話ももちろんあり、期待していなかった分読んでいる間中楽しい気分でいられた。
|
2009年10月23日 読了
オリュンポスの高みから人間の歴史に介入してきた神々の、今後の運命を占う物語。
思わぬ事故によって人間に<意思>を与えてしまった神。その良き相棒である大神が提案した<意思>をめぐる3つの賭け。
古の神話。パンドラの希望。トロイの木馬。
ギリシャ神話をよく知らなくても聞いたことがある話。関係を知らなくても名前は知っている神々。
「銀の犬」と同じ、音のない、静かで強い色を持った洪水に襲われた感じが残る本。
|
2009年10月04日 読了
21世紀の最初の年に21歳になる21人。
こんな偶然が結びつけた絆。
クラスメイトの死がきっかけで語られる同級生の今と過去と、「彼」への思い。
とても静かに涙が流れる様子をそのまま綴ったような話だった。
その絆は確かにあるのに、必死に守ろうとした彼。
ありふれた格言を言われるよりずっと心に残る。
|