出口のない部屋


2009年11月07日 読了
 差し出された小説の原稿に描かれたミステリ。
 眠くならず、喉も乾かず、尿意さえもよおさない。出口のない部屋。

 いくつかの複線が少しずつ語られ、次第に繋がっていく。

 後味は、なんとも気持ちの悪いものだった。 

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編>


2009年09月30日 読了
 前作「配達あかずきん」は短編だったけれど、今回は信州に出張し、しかも長編。

 前作から何となく気になってはいたのだけど、ちょっとした謎を気にかけ、謎解きを始めようと思うきっかけが薄い。なぜそこで気持ちがそう動くのかという動機がいまいち。そこがなければ探偵も始まらないのだから。
 それでも本屋の魅力は充分にあり、長編の意味もあった。

 中だるみな点もあったし、後半の思わせぶりは不愉快ではあったが、登場人物が魅力的。

格闘する者に○


2009年09月27日 読了
 就職活動中の女子大生。「平服で」といわれて豹柄ブーツで行ってみると周りはみんなリクルートスーツ。

 なんていう、ちょっとゆるい感じの就活話。

 とくに大きな事件が起こるわけでもなく、ちょっとした普通の出来事をだらりだらりと書いてある。

 この人の作品で最初に読んだ本の印象が強かったせいか、他の本はずいぶんと軽い後味。

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心霊特捜


2009年09月23日 読了
 心霊現象が絡む事件を捜査する「R特捜班」。持ち込まれる一見普通の事件や事故に絡む霊たちを導き、真実を探る。

 短編集。STシリーズにも似た雰囲気だけど、内容が薄くて何も残らない。
 せっかく霊能力を持った人たちが警察という特殊な仕事についているんだから、もっと使い道もあったと思う。

 あっという間に読めるのでちょっとした待ち時間に手に取るには最適。

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三年坂 火の夢


2009年09月19日 読了
第52回江戸川乱歩賞受賞作

 不可思議な死をとげた兄。事故と結論付けられたその死に納得がいかず、兄の痕跡を辿るために東京へ出る。
 
 同じ頃、予備校で先生をしている鍍金(めっき)のところへやってきた東京大火事の話。

 この二つの話が交互に語られ、やがて川の流れのように一つになる。

 坂のある土地の位置関係が要になっている話だけに、東京の地理を知らない私にはかなりわかりにくかった。
 そのためか、謎解きのあたりになってやっとおもしろくなってきた感じ。

 探偵モノという分類になっていることに不満。

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さくや妖怪伝


2009年09月08日 読了
 映画のノベライズ。
富士が噴火し、そこに封じられていた妖怪たちが一斉に溢れ出た。それを狩り、もとの平安な地上へと戻すべく、一人の少女が立ち上がる。

 この世でただ一つ、妖怪を切れる刀を持ち、河童の子を弟として育てた少女、「さくや」。
 映画は知らなかった。なんとなく「木花開耶姫命」という神の話を読みたいと思って手に取った本。

 普通に妖怪退治の話だけど、サクサク読め、豪快な娘と手の内を明かさない頼もしい助っ人たちという王道なストーリーはそれなりに楽しめた。

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ノアの徴


2009年09月07日 読了
 心理学者である立原健人が、自らの内に巣食う「モンスター」の望むままに殺人を犯す。完全犯罪を目指す傍ら、自らの存在を示す印を残し。。。

 ネットで獲物を見つけたり、心理学用語を目印としたり、多重人格や虐待といった興味をそそる題材をうまく利用しているが、最初からどうも不快感を引きずる。

 「ユグノーの呪い」と同じく読みやすかったが、こちらは後味が悪かった。

 ノアをもっと使ったほうが面白くなったんじゃないかな。
「言い間違え」についての心理学的解釈も、意味深に使われている割には説明もなかったのがものたりない。

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すべての若き野郎ども


2009年08月22日 読了
 TBS・講談社 第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞受賞作

 天下統一が目標の達夫と出会った恭平は、暴走族特攻隊長をあっさりと辞め、二人でガンガン喧嘩をすることに決めた。

 有り余るパワーとその個性が魅力的な達夫と、納得いくまで調べ、分析する恭平がうまいぐあいに周りから目をつけられていく。

 最初からずっと喧嘩シーンがとぎれない。それにうんざりしてきた頃に登場するセブンという「伝説の男」。
セブンの登場になごまされ、進行方向が変わったかなと思わせられたが、それっきりでまた喧嘩づくし。
 最後までそれだったから私には嫌悪感も大きかったけれど、最後にセブンがふらりと登場、そこからはすっきり爽やかにまとまってしまった。

 「被取締役新入社員」と違って万人受けはしなさそうだし、喧嘩ばかりでストーリーが進んでいるのかわかりにくい面もある。
 ちょっとものたりない。

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ラットマン


2009年08月18日 読了
 動物の絵と並んでいたらネズミに見える絵でも、人間の顔と並んでいたらお爺さんの顔に見える。ラットマン。
 前後の並びから推測して先入観を持ってしまったり、思惑が認識を様々に変えてしまう。

 それらのラットマンによっていろんな角度で受け取られ、少しずつ誤解を生みながら進んでいく事件。

 人は勝手な推測でそれが真実だと思いこんでしまうが、それが一人じゃなく周囲の人間それぞれがそれぞれの思い込みで行動した結果、真実を混乱させる。

 登場人物の思いを巧みに絡ませているのはすごいと思うが、ラストのあたりでどうにでも転がせるほど執拗にどんでん返しを狙うのはやりすぎてしつこかった。

 緻密に練られたシナリオというより、最後でつじつまを合わせるためにどうとでも取れるようにしておいたという感じがしてしまう。

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茗荷谷の猫


2009年08月12日 読了
 一つ一つのわずかなつながりが次の時代へと続く。
静かで、夢の中で小さな呼吸を繰り返しているような感覚になる短編集。

 それぞれの主人公がささやかだけど頑なにこだわりを持った人たちで、その強い思いはしっかりと伝わってくる。

 ただ、インパクトに弱く、引き込まれるほどではなかった。

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