札幌アンダーソング 間奏曲


2015年04月25日 読了
 「札幌の雪堆積場に死体を埋めた」という謎の封書が警察に届き、捜査員は頭を抱える。雪を掘って確認するには金がかかりすぎ、どうせ死体なら自然に溶けて出てくるまで放っておいてもいいのではないかという思いがあるからだ。
 そんな中、駆け出し刑事の仲野久は、先輩と共にその死体と思われる被害者の家で出会った娘に目を止める。

 「変態の専門家」である春やその家族は、キャラクターとして魅力的。
でもその割にそれぞれの能力はあまり生かせていないように思える。
事件も彼らの行動も、一般人とそう変わらない。
前作の内容も覚えていないくらい薄い。

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峠しぐれ


2015年04月24日 読了
 峠の茶屋には、半平と志乃という武家の出らしい夫婦がいた。
二人は慎ましく暮らしていたのだが、ある日夜逃げの一家を助けたところから、二人の生活は変わっていく。

 静かに暮らしているというわりに、不作法者には啖呵を切り、無頼者には力でねじ伏す。
仕返しにくるのがわかっていてやるのだから、そこはかつて武士であった性質というのものなのか。
 いまいち納得のいかないところはあるものの、二人の覚悟は確か。

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金魚鉢の夏


2015年04月22日 読了
 戦後、今とは違う発展をした日本といった設定の、とある田舎の福祉施設で、老婆が転落して死んだ。
元刑事の幸祐が捜査を委託され、ちょうど夏休みで帰省している孫娘と共に施設へ向かう。
 ただの老人の転落死と思っていたことが、なんとなく長居しているうちに色んなことがわかってくる。

 大胆な政策で不思議な発展をした日本というのがとても面白く、生きる人々は変わらないのにここまで異世界になるのかと驚かされた。税金を上げるだけではなく、こんな思い切ったことをやってみれば、今の日本はどうなるだろうと考えながら読んでいた。

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フェイク 疑惑


2015年04月18日 読了
 大物歌手のアルバム収録現場、その日のレコーディングが終わった時、一人の男が殺されていた。
当然その日現場にいた者が疑われ、中でも知られたくない過去を持つ田所が、何かを知っていると思われて警察にマークされる。

 箸休め的な隙間に読むのにちょうどいい今野敏作品。
今回もさらりと時間をかけずに読めるわりにはトリックも人物も楽しめた。
レコーディング中に出てくる単語や状況がわからなかったのが残念。その様子を見たことがあったら、もっと鮮明に思い浮かべることができたのだろうと思う。

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明日の子供たち


2015年04月18日 読了
 三田村慎平は、3年の営業マンを経て、児童養護施設へ転職してきた。
その動機はドキュメンタリーを見て感動したというベタな設定で、やはり現実は大違いで色んなトラブルを起こす。しかしやがてそのトラブルが新たな絆となり。。。

 ベタな設定でベタななりゆき。
でもそこを胡散臭いと思わせずにうまく解決させる。
でも最後までやっぱりベタな作りで、やっぱりそうかとため息が出る。
ドラマにするにはいいかもしれない。

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桃のひこばえ 御薬園同心 水上草介


2015年04月15日 読了
 御薬園同心・水上草介は、武士ではあるが植物好きで、ひょろりとした体躯のせいで『水草どの』と呼ばれていた。
そんな草介は、御薬園を預かる芥川家の娘・千歳さんに縁談が持ち上がったとたん、すべてが上の空になった。

 『柿のへた』の続編。
威勢のいい千歳に言い負かされてばかりで、人より一拍二拍反応が遅いと言われても反論の怒りもわいてこないほどのんびりした草介の考えは、そんな見方もあるのかと感心することが多い。やっと自分の道を見つけた彼の行く末が楽しみである。

バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達


2015年04月13日 読了
 熊本・天草において、真夏日に大雪が観測され、空に巨大な十字架が浮かび上がった。
目撃したのは多数で、嘘はないように見えた。しかも天草は、隠れキリシタンの信仰があった場所。
平賀とロベルトは奇跡調査へやってきたが、そこで二人は土着の宗教と結びついてすでに違うものとなっていたキリスト教と出会う。

 とうとう舞台は日本へ。歴史や政治まで絡んであちこちの権力が動く地である天草で、二人はどのような結論を出すのか。
毎回、ロベルトの知識と能力が魅力的で、生真面目な平賀をどう導いていくのかが楽しみだった。今後はそれにシン博士も加わることになりそう。

何が困るかって


2015年04月09日 読了
 少しの時間でちょっとずつ読める、小さなお話の集まり。

 不思議なことや、怖い事、力が入ったり、美しかったり。
どちらかというと後味の悪い話が多いけど、色んな場面の色んな思いが次々とやってくるので、次の話でキャンセルされたりするから思いのほか悪くは残らない。

 坂木司の本としてはちょっと異色な気がするけど、近頃こんな感じのイヤミス系が増えてきたので手に取るのに躊躇する。

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何が困るかって (創元推理文庫) [ 坂木司 ]
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甘いもんでもおひとつ


2015年04月07日 読了
 天才肌の父が作った菓子屋を伯父に取られ、身一つで追い出された兄妹で営む菓子屋『藍千堂』。
小さい店ながらも繁盛し、事あるごとに言いがかりをつけてくる伯父と対峙しつつ、とびきりのお菓子を作る。

 身内の人間関係に困らされながらも、人々に喜んでもらえる菓子を作り続ける兄弟。
最後には伯父との確執が語られ、どちらも意地を張りつつそこは身内で、なんとなく好敵手になる。
色とりどりの菓子さながら、いろんな感情が湧き出てきて、さらに美しい菓子も食べたくなり、そして和菓子のほっこりとした後味が残るような読後感。
表紙は地味だがサブタイトルは美しいのも仕掛けか。

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甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 (文春文庫) [ 田牧 大和 ]
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下戸は勘定に入れません


2015年04月04日 読了
 大学准教授でバツイチの古徳は、特殊な体質を持っていた。
いくつかの条件が重なった時、過去にタイムスリップしてその様子を眺められるというもの。
ある日、28年ぶりに再会した友人と呑んでいる時にそれが起こってしまい、古徳は友人の苦しい秘密を知ることになる。

 死ぬまで秘密にしようと決心する人たちと、それを知らぬふりをする人たち。
最後はどうも煙に巻かれたような気がするが、絡み合った運命は絆も生む。

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