2018年06月13日 読了
友人と二人、デパートの屋上でひたすら空を蹴り上げる男に会いに行く。
その男は、空から降って来る「不幸」を落とさないよう、空に返すために蹴っているのだそうだ。
人生に悩む10代の生徒たちを主人公にした悩みを、それぞれの視点からちょっと滑稽な表現で描く。
どんなに切ないことでも、悩みも、まるでたいしたことがないという口調で描かれるが、何度も繰り返されることで重大さが協調される。
彼らの繋がりを考えながら読むと楽しい。
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読書と編み物の記録
2018年本文作成
2018年06月13日 読了
友人と二人、デパートの屋上でひたすら空を蹴り上げる男に会いに行く。
その男は、空から降って来る「不幸」を落とさないよう、空に返すために蹴っているのだそうだ。
人生に悩む10代の生徒たちを主人公にした悩みを、それぞれの視点からちょっと滑稽な表現で描く。
どんなに切ないことでも、悩みも、まるでたいしたことがないという口調で描かれるが、何度も繰り返されることで重大さが協調される。
彼らの繋がりを考えながら読むと楽しい。
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2018年06月08日 読了
警視庁捜査第一課科学捜査係文書解読班。
捜査資料の整理と分類に明け暮れる毎日の主任・鳴海理沙と、配属されたばかりの矢代朋彦。
ある日、杉並区で起きた殺人事件で初の出動命令が下った。
筆跡や書かれた文章の内容から、書いた人の人となりや状況を読み取り推理する理沙。
その推理の様子は興味深いけど、事件が複雑でわかりにくい。
ただ、ドラマよりは数倍面白い。
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2018年06月05日 読了
三万石の鈴江藩へ奉公へ上がった呉服商の娘・お糸は、すぐに正室の珠子が人外であることに勘づく。
呑気な殿を蹴落として当主に成り上がろうと目論む先代当主の弟から、執拗に嫌がらせを受ける珠子を守り通せるのか。
早々にうんざりした。
ライトノベルというよりも子供向け。
お糸の気風の良さを表すのに江戸っ子の言い回しが使われているが、それが似合ってないし読みにくいしテンポを外す。
珠子の本性がさして魅力的ではない。
あげく、見せ場の盛り上がりも締まりがなくてありきたり。
個性的な脇役にだけは相応の役割があったか。
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2018年05月31日 読了
第158回直木賞受賞
岩手県花巻に生まれた宮沢賢治。裕福な家に生まれたが、家業を嫌い、東京と実家を行き来しながら曖昧な夢を追った青年時代。
そして、やっと自分の道を見つけ、それに没頭する日々。
若くして逝った文豪の生き様を賢治の父の目線で見る。
常に親の金を当てにする賢治が、幼く見える。
明治の時代の父が、まだ小さい賢治の病気につきっきりで看病したという話が妙に印書に残っていたせいか。
父を主人公にしたおかげで、賢治を英雄の様な扱いにはせず、迷いの多い一人の若者として見れた。
思いのほか楽しい時間だった。
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2018年05月28日 読了
湿原に建つラブホテル。
従業員も客も、知れば複雑な事情を持っていた。
そのホテルを背景に、いくつかの人物を掘り下げた短編。
なんだか後味の悪いものが最初にあったせいか、だんだんその場所に同情心が芽生えてくる。
静かに海の底に住む生き物を観察している気分。
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2018年05月25日 読了
ある日届いた小包に、半世紀前の記憶がよみがえる。
それは旧友が書いた短い小説だった。
それを活版印刷で自費出版しようと思い立った草は、印刷会社を訪ねる。
行った先の印刷会社で漏れ聞いた情報漏洩の噂が身近なところまで飛び火してヤキモキさしたり、近所の印刷屋では、自殺したという女性の行動に疑問をもったりと、お草さんは忙しい。
でも、ふとした日々の行動や思いがじんわりと沁みて、その間に考えがまとまるような間がいつも心地よい。
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2018年05月23日 読了
江戸で名の知れた寺の高僧が、薬種屋たちを集めて話があるという。そのさなか、突然父の藤兵衛が倒れた。
どうやら、いくつもの薬を同時に飲んだらしい。
藤兵衛が死ぬかもしれない。
そんな事態になったらさすがの若だんなも寝付いていられない、と動き出す。
今回は若だんなもいつもより危ない目に合う。
いつものほのぼのさがなかったためか、妖たちも活躍する割に印象が薄い。
毎回一つはしばらく余韻の残る話があるのに、今回は死にかけた印象しかなかった。
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2018年05月18日 読了
平安、元服したばかりの夏樹は、最近近衛府に勤め始めたばかり。
なにかと面倒なことも多いが、それなりに楽しんでいたのだが。
ある夜、夏樹は恐ろしい鬼を目撃する。
『ばけもの好む中将』で人気の瀬川 貴次。
しかしこれはあまりにも幼い感じで説得力もないと思っていたら、かなり昔のものらしい。
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2018年05月15日 読了
舞台上での事故で左足を砕き、姿を消したストリッパーのノリカ。
故郷の北海道でダンスシアターを開くことにしたノリカは、二人の若いダンサーと、腕のいいバーテンダーに出逢う。
もう怪我は治っているはずなのに、踊れない。
葛藤を隠しながらも若い才能に魅せられ、育てることに力を注ぐことにしたノリカだが、その語り口がどんな時も静かで、じっくりと読ませる。
暗い話ではないし、踊り子としての矜持や力強さがしっかりと伝わってきて、踊りに興味がなくても自然と想像してしまう。
ひと時の夢のような時間を、自分も過ごした気分になる。
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2018年05月12日 読了
なかなか就職先が決まらず、焦りの末に飛び込んだメンタルクリニックで採用され、晴れて新米心理療法士となった森野美夢。
そこでは、変人に見える院長が実は名ドクターで、そこでの仕事は刺激に満ち溢れていた。
いろんな悩みを抱えた患者との触れ合いの中で、その人の悩みや問題はどこから来るのか、少しづつ心を解きほぐし、気づかなかった問題に目を向けさせる。
事例は面白くて、こんな動きがあるのかと興味が湧いてくるものの、特に注目させるような大きな出来事もなく、どちらかというとまだ導入といったところで終わってしまった気がして物足りない。
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