カーリー <3.孵化する恋と帝国の終焉>


2018年05月06日 読了
 オルガ女学院が閉鎖されてから四年。大学に進学したシャーロットは今でもインドへの思いを抱き続けていた。
どうにかしてインドに行く方法はないかと様々なことをしても、どうしても出国許可が下りなくてもがいていたカーリーの前に、インドの王子ル・パオンがある提案をする。

 大人になったカーリーは、小さな閉ざされた楽園の女学校で夢見るような生活を送っていた頃とは違い、少し世界が広くなった。
でもおてんばぶりは相変わらずで、そのおかげでインドへたどり着くこともでき、やっとカーリーとの再会もできる。情熱のなせるわざ。
でもやっぱり乙女な言動もそのままで、微笑ましくもハラハラさせられ、羨ましさと応援したい気持ちでいっぱいになる。

カーリー <2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日>


2018年04月29日 読了
 シャーロットの学院に、バローダの第一王女・パティが編入してきた。
寮で一番の部屋に陣取り、コーラスの歌を返させ、象に乗って街に出る。
とんでもない行動に皆を巻き込み、振り回す王女。

 振り回され、いちいち腹を立てていた少女たちも、次第に気になり出し、王女に興味を抱く。
10代の女の子らしい発想ではしゃぐ姿が微笑ましいが、その分とんでもないことを思いついたりして、ハラハラする。
人の事には敏いシャーロットが、カーリーの様子にだけは鈍感なのも定石。
その力強さとノリが最後まで楽しかった。

奏弾室


2018年04月28日 読了
 森の中、墓地の奥にある古い洋館には、ピアノ教室があった。
そこは、彼女の音が聞こえる人だけが通える、なんでも教える教室。

 不思議なピアノ教室に迷い込んだ少年が、ひと夏そこでバイトすることになった。
始めは彼女の引くピアノに惹かれ、洋館の掃除や生徒の譜めくりをしていた主人公の祐介だが、やがて繰り返される7月の記憶に不自然を感じ始める。
どんな結末になるのかは後半に入ると予想できるが、祐介や彼女の描写が細やかでリアルなために引き込まれる。
彼女が幼い事祐介にささやいた言葉が気になって様々に空想が広がり、音であふれた余韻を残す。

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道標 東京湾臨海署安積班


2018年04月25日 読了
 東京湾臨海署刑事課強行犯第一係、通称「安積班」と呼ばれるチームのリーダー・安積が、警察学校の頃から次第に成長して今の立場になるまでの出来事を所々切り取った短編集。

 安積がどんな意志を持って警察官となったのか。
若い頃の話はまだ未熟で、でも今の面影はちゃんとある。
それでも一つ一つが短すぎるのか、身近に感じる暇もない。
さらに視点が変わっても語り口は変わらないので人物の個性が出ていない。
 今につながる小ネタだとしても満足感は低かった。

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コンタミ 科学汚染


2018年04月20日 読了
 大学院生の圭は、優秀だがわがままで横暴な指導教員の宇賀神について、研究室の雑用を一手に引き受けていた。
それもこれも就職の恩恵があるため。
しかしある時、二人で東都工科大学の蓮見教授に招かれ、出向いた先で衝撃的な事実を知らされる。

 優秀だけど軽薄な上司に振り回される主人公はとても想像しやすく、滑稽なやりとりが楽しいが、最後はシリアスで悲しい事実を知らされる。
科学に向ける視線のずれを、合コンで知り合った女の子がスパッと言い当ててくれて爽快な反面、胡散臭い科学が身近にあるのも恐ろしい。

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さよなら、わるい夢たち


2018年04月17日 読了
 ジャーナリストの長月菜摘は、学生時代からの友人・薄井麻衣亜が失踪したことを知る。
理解のない夫、仕事をしようとしているのに子供を預かってくれるところがなく、実家にも頼れない。
追い詰められての失踪と思われた。

 麻衣亜を探そうと、付き合っている彼と一緒にあちこちを回る菜摘と、失踪が公となって目撃情報から動く警察との二つの視点があり、わざわざなぜだろうと思わせる。それがわかるのは結末になってからだが、意外性という意味では大いに驚かされた。
でも、なぜか読後感がすっきりしない。

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回帰 警視庁強行班係・樋口顕


2018年04月15日 読了
 樋口の通っていた大学の近くで車が爆発し、死傷者が出た。
これはテロなのか。
すると、上司である天童隆一管理官から「かつての部下、因幡が『テロを防ぎたい』という電話をかけてきた」と打ち明けられる。

 国際テロ組織に入ったという噂のある因幡のことを信じていいのか、そして合同捜査となって一緒に捜査をすることになった公安のことも信じていいのか、樋口が悩みながら仕事をする姿が、淡々と語られる。
そしてやっぱり同じような話が多いせいか、すでに読んだような気もしてくる。

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父子ゆえ 摺師安次郎人情暦


2018年04月14日 読了
 5年まえに妻のお初に先立たれ、神田明神下でひとり暮らす安次郎。
一人息子はお初の実家に預け、摺師として生計を立てていたが、ある日実家から急な知らせが届き。。

 もとは武家の出だったのに火事で家族を亡くして町人となり、そしてまた妻を亡くした安二郎。己が大事にしたいと思うものを見つめ、そのために力を尽くそうと気づく安二郎が、穏やかな語り口で切々と迫って来る。
力になってくれる周りの人たちもそれぞれ個性的で魅力的。
本当なら主役になるほどの人物も脇役として顔を出し、強い印象を残している。

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逃れの森の魔女


2018年04月10日 読了
 誰もが知る「ヘンゼルとグレーテル」
お菓子の家を作り、子供たちを閉じ込め、食べようとして逆にオーブンに閉じ込められてしまう魔女が主人公。
彼女は何故魔女になり、いとも簡単に殺されてしまうのか。

 なぜ魔女となってしまったのか、また目が良く見えないといった小さなことまで、子供たちを怖がらせるためだけにいた人物じゃないということが短い話の中でとても濃く描かれている。
物語を魔女の視点から見るということを、純粋に楽しめる。

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松ノ内家の居候


2018年04月03日 読了
 70年まえに松ノ内家に居候していた文豪が書き残したという幻の原稿。
当時の事がうっすらと記憶にある当主の貞夫は、松ノ内家に泥を塗る内容が書かれていたのではと心配するが。

 作家の孫だという男が突然やってきて、居候を始める。
しばらくは何をやりたいのかわからず興味がわかなかったが、当時の事がわかって来るたびに松ノ内家の面々に興味が湧いてくる。
前半はつまらなかったためにさほど期待をしていなかったせいか、それなりに面白い結末だったと思う。

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