雪の舞うセントラルパークで、全裸で殺されている女性が見つかる。
犯行手口からゴールトの仕業とわかり、スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官が捜査を進める。
やがて被害者はゴールトの双子の妹だと判明した。
ゴールトを追い詰めようと、ルーシーも含めて大掛かりな罠を仕掛け、やっと長い戦いが終わる。
わざと自分の姿を見せつけるようなうすら寒い犯行が繰り返され、やっとゴールトの尻尾をつかむことに成功したケイたち。
薄気味悪い出来事ばかりで暗い気持ちだったのが、最後はほっとして力が抜けた。
読書と編み物の記録
2020年本文作成
雪の舞うセントラルパークで、全裸で殺されている女性が見つかる。
犯行手口からゴールトの仕業とわかり、スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官が捜査を進める。
やがて被害者はゴールトの双子の妹だと判明した。
ゴールトを追い詰めようと、ルーシーも含めて大掛かりな罠を仕掛け、やっと長い戦いが終わる。
わざと自分の姿を見せつけるようなうすら寒い犯行が繰り返され、やっとゴールトの尻尾をつかむことに成功したケイたち。
薄気味悪い出来事ばかりで暗い気持ちだったのが、最後はほっとして力が抜けた。
ある日教会から自宅へ戻ったエミリーが何者かに連れ去られ、死体となって発見された。
死体の内腿と胸の上部及び肩の肉は切りとられていたため、テンプル・ゴールトの仕業だとみなされ、ケイとマリーノは捜査を始める。
だが、犯行手口に共通点は多いものの、一向に証拠はでてこない。
不信に思った二人が目を付けた次の被疑者は。
マリーノが迷走している。仕事以外の面で。
ケイの行動にも精神的な揺れが見られて一貫していないので、こちらも揺さぶられてばかり。
今回はルーシーが大きな役割を持ったため、そちらへの興味が増してケイとマリーノの存在感が薄くなった。
マリーノが一番信用できそうな登場人物となってきた。
伯父から受け継いだ貴金属店を大きくし、今や取締役社長に収まった彰太は、美しい妻と最愛の娘と共に、幸せだと実感できる毎日を送っていた。
ある日、娘の美華が学校へも行かず、夜遅く帰宅し、着るものも派手になり、荒れ始めた。
巷では誘拐した少女の持ち物を少しづつ送り付けて恐怖を倍増させる「肌身フェチの殺人者」が話題になっており、彰太は過去の因果が巡ってきたのかもしれないと疑心暗鬼になる。
ほとんどが暗いトーンで、恐ろしい事件や思い出したくない過去の所業を描いているので、気分も暗くなる。
でも不思議と読む手は止まらず、どこへつながるのだろうという興味の方が大きい。
やがていろんなつながりが見えてきた頃には、空恐ろしい結末が見えてくる。
でも暗いまま終わらず、明るい決断で終わったため、思いがけずすっきりした気分となった。
死刑囚ロニー・ジョー・ワデルが刑を執行されたその夜、まるで彼が起こした事件とそっくりな殺人事件が起こる。
その後も、女性霊能者の殺害現場ではワデルの指紋が見つかり、同僚の検屍局主任まで殺される。
ケイは身近な者として、メディアから執拗に攻撃され、辞職をするよう通告されてしまう。
専門的な検証による証拠集めの様子が興味深かった。姪のルーシーも得意分野で活躍し、ケイのネガティブな精神状態が続いて暗くなりがちなのを時々リセットする。
ただ、真犯人を作った者が、なぜ囚人を選び出したか、逃亡を成功させられたかのところがあっさりとしか書かれてなかったので、いまいちすっきりしない。
カップルが殺される事件が続いていた。
今回見つかったのは次期副大統領候補ともいわれている政界人の娘だったせいで、世間から大きな注目を受け、検視官のケイにも、詳しい捜査情報は知らされなかった。
遺体はどれも半ば白骨化しており、死因さえつかめないまま。
ケイと良い友情を作り上げようとしていたアビーが、存在感を示し始めた頃だった。
姪のルーシーといいアビーといい、いいキャラクターと思える人物に限って急に遠ざけるように話の中心からそらしていくのが気に入らない。
だが、突破口が見つからなくて苦しんでいる時、ほんの偶然から急にスピード感が増してくる展開は楽しかった。
相変わらず胡散臭い恋人のマークと、不思議に人間味を深めるマリーノが対照的。
廃墟の塔が林立する“塔の森”で、大人になって魔鳥から攻撃されるまでの子供の間、孤児たちは塔に棲む魔鳥が盗んできたものを集めて暮らしていた。
ある日そこへ、魔鳥に緑の宝石を盗まれたという男が立ち寄る。
宝石を見つけたアイシャは、まさにその時、魔鳥から攻撃を受けて落下したが、気が付くと胸に宝石が埋まっていた。
宝石は取り出せず、アイシャは男と共に旅に出る。
偶然助けた子供を道連れに旅をして、やがて魔族の王と出会うというのがこのシリーズの大きな目的だったようだ。
青と赤で大きな存在感を残した翼船は世代交代をし、新しい街や、そこでの文化、不思議な力とそれを使う者たちなど、強い印象を残すものがたくさん登場した。
白の王ももれなく力強く、静かだが偉大さは十分伝わる。
一番読みごたえがあった。
豊かな水の都ナルマーンでは、王が魔族を支配していた。
その都で盗みを働いたとして捕まった少年ハルーンが、投げ込まれた枯れ井戸の先に見つけた扉の先で、捕らえられた少女を見つける。
その少女を助けて逃げるうち、運よく出会った翼船の女船長と共に、少女の名前を取り返す旅を始める。
「赤の王」とは違う眷属の、青の魔族は、長い間人間の支配下にあり、辛い思いをしてきたせいで荒んだ者が出始めていた。事情を知らずに助けた少女とハルーンとの出会いが偶然ではなかったことが最後に明らかとなり、すべては均衡の保たれた美しい時代を取り戻すまでの物語。
こちらも赤の王と同じような運命をたどり、奪われた力を取り戻すことができる冒険譚。
戦いの壮大さと、青の王城の想像できる美しさ、危機と、手助けしてくれる人たちの人物像など、「赤の王」よりもインパクトは強い。
登場人物の魅力もこちらの方が上回っていた。
栄養失調と脱水症で入院中の作家・横江の元へ、刑事が訪ねてきた。
加形野という男が、子供の頃に仲の良かった多治見康祐を殺害し、自首してきたという。
そして、事情は横江へ聞いてくれといったらしい。
加形野に覚えがない横江は、次第に多治見と過ごした40年前の記憶をたどり始める。
人間関係がややこしく、幽霊まで出てきて、40年前の出来事を振り返り始めるが、いつしか当初の事件のことは忘れ、40年前からの複雑な人間関係に振り回される。
分かりづらいうえに、出来事もおかしなことばかりで納得いかないまま進み、最後は幽霊ばかりの昔語りとなる。
煙に巻かれたような読後感。
ある喫茶店で、たくさんある時計の中で、たった一つの振り子時計だけが、なぜか毎日動き出す。
その謎を、いくつかのヒントをもとに解き明かした御手洗は、10年ほど前に起こった殺人事件のトリックと同じだと言った。
それは完全な密室となっていた家に、サンタクロースが少女にプレゼントを置き、母が殺されていた事件。
同じような現象を解き明かす話はいくつかあるため、すぐに原因は予感できるが、それが昔の殺人事件まで解決していくとなると面白くなってくる。しかし、それぞれが最後まで真実を隠していたくらいの大きな訳が、解決されていないまま。
真実を見つけたら、後はそれぞれで納得するように勝手になんとかしろと突き放された感じ。
作家ベリル・マディソンが、自宅で無残に殺されているのが発見される。
調べていくと、彼女は何かにおびえ、遠くまで逃げていたにもかかわらず、自宅に戻り、その晩に殺されていた。
防犯ベルも稼働していたのに、なぜ。
前作では、ケイはマリーノのことを嫌悪していた。
でも今回は少しづつ頼りにしてきている。そんな関係はきっと長く続くだろうと思うと先が楽しみになる。
前作で存在感を示していた姪のルーシーが登場しなかったのが残念だが、それでも十分読みごたえがあった。
そして今回は、検死官という職業でしかわからないことがキーになっているので、やっと彼女の存在感が出てきたと感じた。
ただ、マークのうさん臭さは消えないまま。ケイが簡単に信用してしまうのが不思議でしょうがない。