前夜


 ある田舎町で伝わる〈蛭鬼〉という存在。タブーとされ、誰も口を開かないが、その町出身の兄弟は、その存在を信じていた。
映画スターとなった兄の死を受け入れず、1年後に蘇ると信じて火葬を拒否した弟。
拠り所は父の残した日記のみ。
兄がスターとなった映画の世界へ引き込まれ、学者へコンタクトを取り、探偵を雇って得た真実とは。

 土着の信仰を元に、夢と現実を行き来するような、ゆらゆらと漂い揺さぶられるような感覚。
猫を遠ざけたり、ザクロを食べたり、行動をすることでより信じていく様子が狂気を引き寄せているようで不気味な感覚を残す。
ただ、入り込めるほどの力はない。
もっと、取り込まれるような速さと力を持ったほかの作品とは大きく違う気がした。

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